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職人のモノづくり

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ときに、生活とは無関係の無用の用で、遊びの世界かもしれない。 それなのに? それだから? より美しく、心をこめて、魂をこめて、生み出されるモノと、人との関係に焦点を当てています。
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2021年8月の記事一覧

アーティストは、いつ誕生したの?

ルネッサンス時代のマルチな天才、 レオナルドダヴィンチ。 彼の功績は多岐に渡りますが、 工房の世界に一石を投じたのも レオナルド。 レオナルド以前にも、 絵を描かせれば、 彫刻を彫らせれば、 建築を建てさせれば、 素晴らしい腕を発揮する人たちがたくさんいて、 依頼人が、彼らや、彼らの 所属していた工房を指名して、 製作を依頼していた時代。 ただ、 彼らがどんなに腕が良かろうと 「工房の職人」というカテゴリーから 脱することはありませんでした。 ここで登場するのが、

絵画と額縁の関係

ご訪問頂いた方に質問です。 「絵を見るとき、額縁も見ますか?」 ヨーロッパで絵を鑑賞するとき、 絵の迫力に勝るとも劣らない立派な額縁が 中心の絵を支えていたりします。 額縁って、単純に木枠。 たかが木枠、されど木枠。 壁に直接描くフレスコ画から、 板絵に変わったのが1300年代。 それ以降、 額縁製作は工房の重要な仕事の1つになります。 板絵をそのまま飾るのは味気ない。 板絵を守る木枠が欲しい。 旅路には持ち運べるようにしたい。 1300年代は ゴシック教会の縮小バ

中世時代の工房風景

工房は、イタリア語でボッテガ(Bottega)と呼びます。ボッテガベネタは「ベネト州(ベニスがあるところ)にある工房」という意味。ボッテガベネタの商品は、職人技が光るものが多く、ベネト州で設立した会社なので、まさに!というネーミング。 18世紀半ばから19世紀にかけて、イギリスで産業革命が興り、大量生産の道へと歩むようになるけど、それまでは、すべて手作り。職人が作る一点ものばかり。 産業革命が起こる前の「工房」は、モノをつくって、それを店頭で販売するスタイル。商業ベースな

レトロでかわいい小物を、ひとつづつ作っています。

ジュリアーノさんの工房へようこそフィレンツェの対岸、 アルノ川を渡った先にある地区には、 古き良きフィレンツェの雰囲気が残されている。 フィレンツェ中心街とは時間の流れが違う、 ゆったりまったり フィレンツェの生活地区。 この一角にある 歴史ある重厚な建物の呼び鈴を押すと ガーっと重い音がして、扉が開く。 60年代の空間が広がり、 匂いも、音も、見るものも、 外とは別世界。 正式名は、 チェッキカルロ・ディ・リッキジュリアーノ CECCHI CARLO DI RICC

世界一を誇る、世界で一番の自分たちの寺院を作るんだ!

マリア様に捧げたれた、 フィレンツェの大聖堂。 サンタマリア・デル・フィオーレ。 花の聖母大聖堂。 1296年に着工され、 正面の部分が一度取り払われ、 空白の時間を経て、 ようやく完成したのが 1887年。 その間、591年。 完成から現在まで134年。 建設途中を見てきた人たちの方が、 完成後の姿を見ている私たちより ぜんぜん多い。 まるでサグラダファミリアのようだが、 こちらは1882年に着工し、 2030年前には完成予定。 もちろん約6世紀の間、 中断して