絵画と額縁の関係
ご訪問頂いた方に質問です。
「絵を見るとき、額縁も見ますか?」
ヨーロッパで絵を鑑賞するとき、
絵の迫力に勝るとも劣らない立派な額縁が
中心の絵を支えていたりします。
額縁って、単純に木枠。
たかが木枠、されど木枠。
壁に直接描くフレスコ画から、
板絵に変わったのが1300年代。
それ以降、
額縁製作は工房の重要な仕事の1つになります。
板絵をそのまま飾るのは味気ない。
板絵を守る木枠が欲しい。
旅路には持ち運べるようにしたい。
1300年代は
ゴシック教会の縮小バージョンのように、
尖塔が三角形だったり、
両脇に柱があったりするデザインが主流。
暗い教会内にぼんやりと灯るろうそくの火。
細い窓から差し込む陽の光は、
ろうそくの煙のなかで一筋の光となり
まるで神の光のよう。
これらの光の効果を利用し、
額縁には金箔が貼られ、
薄暗い光でぼんやりと額縁が浮かび上がり、
ゆらゆらとゆらめくような絵画。
お香が焚かれ、賛美歌が歌われる。
ミサにおける教会の演出に
民衆の心が捉えられたのは想像に難くなく。
現在は、美術館で
宗教絵画を鑑賞する機会が多いけど、
当時のこのような環境を再現し鑑賞すると、
同じ絵画でも、
まったく異なった印象を受けるに違いない。
そういう展示館を企画してくれないかなぁ。
心があちらに飛んでしまったので、
本題に戻ります。
ざっくり、世紀ごとのアートの発展はこの通り。
1200年代 ロマネスク時代
1300年代 ゴシック時代
1400年代 ルネッサンス文化誕生
1500年代 ルネッサンス全盛
1600年代 バロック時代
1700年代 ロココ時代。
1800年代 新古典主義やロマン主義
その後、印象派、象徴主義、現代と続きます。
それぞれの世紀で、
それぞれの絵画の特徴があり、
それに合わせて、
額縁の装飾も変化していきます。
ゴシック時代は、
教会を真似たような額縁が主流で、
ルネッッサンス時代と以降は、
絵画の迫力に迫る、
素晴らしい装飾を見ることができます。
絵の空間を切り取る窓のような存在、
絵のモチーフに合わせた装飾、
本当にさまざまな種類の額縁があります。
画家は自分の作品に署名を残すけど、
額縁を製作した人は、
仕事として行っていただけなので、
署名は残されていず、
製作者の99%は分かっていません。
無名の芸術家。それが額縁職人。
見出し画像にある写真は、
フィレンツェのバルディーニ美術館。
額縁コレクションの一部です。
絵の所有者が、
好みで額縁を取り替えてしまうので、
額縁だけ残されてしまう傾向が多々あります。
いまわたしたちが見る絵画も
もともとの額縁と一緒になっているかは、
わかりません。
額縁コレクションの額縁達にも、
絵というパートナーがいたはず。
どんな絵が嵌められていたのかなぁ。
そんな風に想像しながら
1つ1つの額縁を眺めると楽しいですよ。
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