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アートケアだより☆2024年11月号 中学生と小さい子たちが一緒に

●中学生と小さい子たちが一緒に鑑賞

今年も中学高校生と小さい子たちが一緒に鑑賞する機会を持ちました。茅ヶ崎市内の中学校美術部の皆さんがお手伝いに来てくださって、小さい子たちと一緒に「茅ヶ崎 寒川地区 中学校美術作品展」を鑑賞します。当会「アートケアひろば」OBの皆さんも駆けつけてくれます。
11月24日(日)は、梅田中学校美術部の6名の生徒さんと顧問の先生2名、アートケアOBの中学生1名が参加してくださいました。

中学生の皆さんは、初めて会う人と話すことに、かなり緊張しています。小さい子と接するのが得意な人は稀で、「何を接点に話したらいいんだろう?」と考える生徒さんが多いです。加えて、この現場では子どもとその家族、つまり大人もいます。初めて会う大人と話をすることも、中学生にはあまりない機会かと思います。

開催についてSNSで周知していますが、今回は初めてのお子さんの申し込みはなく、「アートケアひろば」に来ているお子さんたちのみの参加となりました。恥ずかしがりの子は、中学生のお姉さんお兄さんとお話することにドキドキして、そっけない態度を示すこともあります。
中学生の皆さんは、そんな子どもたちの態度に、めげずに優しく、だんだん距離を縮めてくれました。

●ペアでじっくり鑑賞、お話

この日は、お子さんご家族と中学生の人数が同じで、ちょうど組みになって鑑賞できました。それぞれの組のペースで回ります。

1歳と年少さんのきょうだいを大人1人で連れて来たお母さんは、中学生が2人付き添ってくれたことで、とても助かったご様子でした。いつも恥ずかしがりの上のお子さんも、お姉さんたちに心を開いていて、たくさん質問していました。

みんな少しずつお互いにドキドキしながら一緒に鑑賞
中学生が乳幼児とそのご家族と交流する機会です

「アートケアひろば」には中学生の子も来ているので、中学1年生が2年生とペアになって鑑賞した組もありました。違う学校の人と、作品を介して話す機会。
6年生とアートケアOB中学1年生のペアは、入口すぐのデッサン画のコーナーでポケモンが描かれていた作品を観たことをきっかけに、開始すぐから話が盛り上がっていました。たった1学年の差なのに、ハマったポケモンのシリーズが微妙に違う、と笑っていました。

デッサン作品 ポケモンも見事に陰影のある描き方で表現されていました

「小学3年生で『色相環について知っているよ』って、私より美術のことを知っている!」と生徒さんが驚いたペアも。その3年生の子は、日頃から YouTubeで検索して学んでいて、いろんなことを知っています。ここ数年は、キャンバスにアクリル絵の具で抽象画のシリーズを描いています。

毎年、圧巻の中学校展 *撮影:袴田由利子
日頃から関心のあることに出会うと写真を撮るお子さん
制作が広がるきっかけになっています *撮影:袴田由利子

●幼い頃を思い出す
30分で鑑賞を終えたペア、1時間近く展示室にいたペア、いろいろでした。
鑑賞会のあとに通常の「アートケアひろば」のワークを実施する日でしたので、見たい生徒さんには子どもたちの制作の様子を見ていただきました。年長さんで、折り紙のバラをたくさん自宅で作って準備してきて、ワークで大きな紙に水彩で草を描いてバラを貼っていた子がいました。
生徒さん「わ~懐かしい!私も小さい頃に折り紙たくさん折ってました~」
冨田「小さい頃、折り紙をたくさん折る時期ってあるよね」
生徒さん「今でも1000枚くらい持ってます。柄のある折り紙とか、なんか捨てられないんですー。何枚か使って、同じ柄のは『これはとっておく』って残して」
冨田「持ってるだけで幸せよね~。でも1000枚ってすごいですね。お家の人がそれだけ買ってくれたってことでしょう?」
生徒さん「『これ買ってくんなきゃヤダー』って、結構、粘って。折ったのもすごい量で」
冨田「お家の人が捨てたら怒るでしょう」
生徒さん「でも自分でも『捨てないとな』って思うくらいの量だったので(笑)」
中学生、小さい頃の自分や家族のことを思い出し、目の前にいる小さい子の「作ることへの熱量」に共感していました。

中学生がご自身の幼い頃の「折り紙愛」を思い出した、Mちゃん(年長さん)の作品

●中学生の感想 
・少しだけ、誰かの役に立ったと思えた
・小さい子の視点で発見
・説明することで制作物を見直す

感想を一人ずつお聞かせいただきました。最初にお願いした生徒さんは、え?感想をいう?!と驚いた目をしていらっしゃいましたが、自分の思ったことが伝わるように、言葉を選びながら、誠意を持って話してくださいました。
「一緒に回った子が、たくさん質問してくれて(間合い)、一緒に過ごすことで(間合い)、もしかしたら自分が少しだけ誰かの役に立ったかなと思えました
人と人が出会って共に時を過ごすことは、私たちにいろんな力を与えてくれます。そんな原点を言葉にして聞かせてくださったように感じました。

その生徒さんの感想を聞いて、他の生徒さんも様々に語ってくださいました。
小さい子の視点で作品を観たので、自分では思わなかったようなことを見つけることができました
小さい子に寄り添ってくださったんですね! そして、まさにこの経験を皆さんにしていただきたくて小さい子の鑑賞会をしています。共に経験してくださって嬉しいです。

質問されると、説明をするので、自分でどこまで理解できているかがわかると思いました
このことは顧問の先生も、鑑賞中に私に知らせてくださっていました。
「生徒たち、説明できているんですよ。課題(制作)について説明するのは、理解し整理されていて初めてできることですから。質問されることで、改めて考える機会にもなりますし、いい機会です」

忙しい中で参加してくださった中学生の皆さん、顧問の先生方、ありがとうございました!
「茅ヶ崎 寒川地区 中学校美術作品展」は、小さい子から大人まで感銘を受ける作品ばかりです。毎年、この鑑賞会を楽しみにしているお子さんもいるので、続けられたらと思います。
今年は12月8日(日)まで開催しています。

今年は高校生の参加がありませんでしたが、中高校生、専門学校生、大学生のボランティアは随時受け入れています。

アートフレンドシップ協会では様々な現場作りをしていまして、「アートの場での多世代交流」は大切にしている活動の1つです。長年続けている「夏のユースボランティア受け入れ」「中高校生と小さい子たちが一緒に中学校展を鑑賞」に加え、昨年度からは茅ヶ崎市民文化会館と共催で「のんびり アートのひろば」を開催しています。追々、ご紹介します。

(写真は、ご本人とご家族、顧問の先生の許可を得て掲載しています。転送等はご遠慮ください)
(写真  *印と表紙はスタッフの袴田由利子、その他は冨田が撮影しました)


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