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物理数学の世界 #19 〜コーシーの応力原理〜

物理数学の世界。始まります!

前回は、連続体力学の前説として、2回にわたり「テンソル解析」の話をしました。

今回から連続体力学の本題に入ります。本日のテーマはタイトルの通りなのですが、頻出用語の「応力」のところから説明していこうと思います。

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整理したノートを公開

実際にノートにまとめてみました。一般的に、外界から加わる力を「外力」と呼びます。対して、物体内部で外力に抗う力とされるのが「内力」です。

この内力を単位面積あたりに変換したものが「応力」になります。

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コーシーの応力原理について。数式で表現するとノートに書いた通りになりますが、仮想の微小面積が限りなくゼロに近づいた場合(極限)を考えます。

(1)断面上の点Pに作用する単位面積あたりの平均の内力ベクトルは、一定の有限ベクトルに収束する(この有限ベクトルのことを表面力ベクトルと呼ぶ)。
(2)断面上の点Pにおける、点Pまわりの力のモーメントはゼロに収束する。

これらの原理に基づいて導かれる内力(単位面積あたりに換算)を「コーシー応力」と呼びます。また、テンソル量として表される「コーシー応力テンソル」は2階テンソルであり、3行3列の行列として表現されます。

コーシー応力テンソルは転置をしても変わらない対称テンソルです。対角成分は断面に垂直な応力であり、非対角成分は断面に平行な応力となります(それぞれ、垂直応力とせん断応力と呼びます)。

なお、応力は力を面積で除算しているので、次元(単位系)は圧力と同じです。

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コーシー応力の用途

前回も触れましたが、同じく形状という情報をもつ「剛体」と「連続体」の決定的な違いは、変形(形を変えること)を扱うことができることです。

変形は基本的に物体の内部で発生するものなので、外力と合わせて内力についても見ていく必要があります。その際に、物体内部の任意の断面(任意の点)における力の状態を表す物理量こそが、今回で紹介したコーシー応力になります。

コーシー応力テンソルは2階テンソルであり、2次元の正方行列として表すことができます。

この正方行列の中には、3つ(3方向)の垂直応力と3つのせん断応力の情報が含まれます。コーシー応力テンソルの行列表記は対称行列なので、6つの非対角成分のうち独立する数は3つになるからです。

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おわりに

今回は連続体力学の本題(初回)として、コーシーの応力原理とコーシー応力(テンソル)の特徴について説明しました。

コーシー応力は連続体力学において基礎とも言える概念です。導出過程こそ複雑ですが、連続体力学を理解していく際にはぜひ覚えておくと良いです。

次回はコーシー応力における不変量の話について書きたいと思います。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。

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