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物理数学の世界 #23 〜ベクトル解析(1)〜

物理数学の世界。始まります!

前回は連続体の運動に関する力学的条件と、連続体の内部の運動(変位)の記述について話をしました。

今回からは再び数学の話に戻ります。ベクトル解析(ベクトル関数の微分)について扱います。前半となる今回は勾配まで話を進めます。

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整理したノートを公開

実際にノートにまとめてみました。ベクトル解析の基本的な考え方は、これまで話をしてきた1変数関数の微分や2変数以上の関数の偏微分と同じです。

ベクトル関数の微分は、そのベクトルの軌跡が表す曲線ないし曲面の接線になります。また、2階微分すると法線ベクトルになります。

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今回扱う「勾配」というものは、スカラー場(Φ)の傾き(変化の割合)を各軸方向に分解したもの。どの方向がどれだけ変化しているかを知ることができます。各軸方向に分解する必要があるため、スカラー場(Φ)からベクトル場(∇Φ)に変換します。

微分演算子(∇)は偏微分に対応する指示記号です。次回も出てくるので、意味を留めて頂ければ良いです。

スカラー場ベクトル場という言葉が出てきますが、スカラー場とベクトル場の違いは、大きさに加えて成分表示を持つか否かです。持たない場合はスカラー場で、持つ場合はベクトル場です。

スカラー場とベクトル場は、ひとつの式に混在することはありません。この点は注意が必要です。

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ベクトル解析で「場」を理解する

物理学を学んでいくと、何かと「場」という概念にぶつかります。私が専門とする材料力学だと「応力場」という言葉をよく聞いたものです。

このような「場」の共通点は、方向と大きさの2種類の概念を持ち合わせている点です。今回のベクトル場と同じ考え方です。

実際に「場」が出てきたところで、次に知りたいのは場の状態です。その場が回転しているのか、噴き出しているのか、どの程度の方向と強度を持つのかなど。それに対する答えを導くために必要となるのが、ベクトル解析の手法です。

上記に挙げた3つの特性は、ベクトル解析で言うところの「回転」「発散」「勾配」に対応します。今回は勾配のみ紹介しましたが、次回で残りの発散と回転を紹介します。

ちなみに、それぞれ英語表記(略語)で表す場合もあります(Φはスカラー場でAはベクトル場です)。

・勾配(gradient):grad(φ)
・発散(divergence):div(A)
・回転(rogation):rot(A)

この辺は好みの差でもあるので、覚えておいて損は無いくらいです。

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おわりに

今回はベクトル解析の前半ということで、ベクトル関数の微分の意味、勾配という操作の意味について話をしました。

それぞれイメージを掴めれば理解は早いと思います。今回の勾配であれば、物理量に対応する「場」における各軸方向の変化の割合の程度を意味します。

次回は「回転」と「発散」について話を進めます。引き続き宜しくお願いします。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。

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