見出し画像

物理数学の世界 #20 〜主応力と不変量(1)〜

物理数学の世界。始まります!

前回は連続体力学の基本原則であるコーシーの応力原理について説明し、コーシー応力(テンソル)について導出しました。

今回はコーシー応力テンソルに関する座標変換について説明し、コーシー応力の本質である主応力と不変量に発展させます。

画像2

整理したノートを公開

実際にノートにまとめてみました。まず、座標変換とは読んで字の如く、座標軸を並進移動もしくは回転移動させること(ここでは主に回転移動を使います)。座標変換により、旧座標系で表した点(状態量)の情報が変化します。

画像5

重要なこととして、一般的な座標系においては、コーシー応力テンソルの各成分は座標変換を行うことで変化します。

それはノートの例題からわかるかと思います。

一方で、座標変換を与えても応力成分が変わらない場合があります。これは固有値問題を解く要領で導くことができ、このときの応力を「主応力」と呼びます。

この主応力は固有方程式(特性方程式)による固有値問題から求めます。固有値に関する話は前にしていますので、そちらも見てみてください。

なお、一般的な座標系を参照すると、コーシー応力テンソルの成分は独立な6成分で表されます(コーシー応力テンソルは対称行列で表現できる)。これを主応力で表現すると、独立な3成分で表されます。

この主応力の考え方については、実際に使われる場面が多いので、重要事項と言えます。

画像3

コーシー応力テンソルの対角化

まず、3x3の対称行列には、固有値は3つ(重根を含めて)の実数として存在しており、それぞれの固有値の固有方向(主応力方向)は互いに直交する、という重要な性質あがあります。

そして、主応力方向に沿う新しい座標系で座標変換を行うと、行列は対角項に固有値が並び、非対角項は全てがゼロの「対角行列」になります。これは前に書いた対角化と呼ばれる手法です。

つまり、主軸に垂直な3つの面で切れば、面に垂直な表面力ベクトルが現れるということを意味します。

また、コーシー応力テンソルの表現行列は座標を変換すると成分は変わるわけですが、座標変換しても変わらない基本的な量があります。それがノートの最後に書いた3つの不変量になります。

その辺の話は次回でやることにします。

画像5

おわりに

今回はコーシー応力テンソルの座標変換を起点としまして、主応力と不変量の話をしました。なお、次回もまた続きます。

今回の話(特に主応力)は実用レベルでも使うことが多いので、連続体力学の中でも重要な概念のひとつですので、意味を含めて理解してみると良いです。

次回は主に不変量について話を深めていきます。引き続き、宜しくお願いします。

-------------------------

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。

-------------------------

⭐︎⭐︎⭐︎ 谷口シンのプロフィール ⭐︎⭐︎⭐︎

⭐︎⭐︎⭐︎ ブログのロードマップ ⭐︎⭐︎⭐︎


この記事が参加している募集

#私の作品紹介

97,343件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?