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土地を紐解いていく ⑥

「土地の因縁があるわね」

霊能を生業としていないけれど、「見える」という女性に言われた。
ちなみに、私を煙をつかって浄霊してくれた女性とは別の人物だ。
この「見える」女性のもとで疲れ果てた後に、浄霊してくれた占い師(霊能者?)と出会っている。

呼び方がややこしくなるので、「見える」女性はIと呼ぶことにする。

「土地の因縁」と言われて、思いつくのは曽祖母の土地を奪われた恨みだが、I曰く、それだけではないらしい。
私が住んでいる土地だけでなく、その周辺の土地も含めて因縁が強く、ネガティブなエネルギーが満ちているのだそうだ。
ことさら私の家はお化け屋敷状態だという。

うちの周辺に何があるのか。
もともとはただの農村にすぎない。
今でこそ、マンションや家が立ち並ぶようになったが、私が小学生の頃は、まだまだ水田と畑、梨畑が多かった。

Iが言っていたのは、先祖が「水争い」で多くの恨みを買っていることと、うちの家がある場所はもともと「投げ込み寺」だったということだ。

沢山の目がうちをじっと見ているのだという。

Iには姿は見えず、あまたの目玉だけが見えるのだとか。

多くの目玉がうちを見ている、というのはぎょっとするけれど納得できる。幼いころから、常に見られていることは感じていた。
それほど多くの目玉だとは思わなかったけれど。

先祖が水争いで多くの恨みを買っているというのも、農村で住んでいるのだから、遠い昔に何か諍いがあったのかもしれない。
「先祖」というのが、何代前なのか、いつの時代なのかがさっぱりわからないが、このことも理解できる内容だった。

ただ、「投げ込み寺」だったというのが全く腑に落ちない。
田畑になるずっと前にお寺だったのだろうか。
「投げ込み寺」というと、遊女を投げ込んだ浄閑寺が有名なので、どうしても遊女と結びつけてしまうが、このあたりに遊郭や飯盛り女がいた旅籠があった形跡はない。
身寄りのない人を埋めた土地なのだろうか。

そもそもは何がきっかけだったのかはわからない。
水争いなのか、投げ込み寺だからなのか、はたまた他に何か原因があるのか。
ただ、それらのネガティブエネルギーが新たなネガティブなことを引き寄せているのだという。

それ以外にも、うちは井戸を埋めている。
祖母の代で古井戸を埋めたのだが、それが障りとなっているのだという。
祖母は信心深い人だったので、井戸だって勝手に埋めたわけではなく、ちゃんど手順を踏んで、息抜きも作っていた。
それでも、障りとなっているのだという。

極めつけはお稲荷様だった。
うちと隣家の間にあるお稲荷様。
正確には隣家の敷地に祀ってあるお稲荷様なのだが、勝手に何度も場所を移動している。そういったことが理由なのか、ちゃんと祀られていないのが理由なのかわからないが、お稲荷様のお怒りは相当なものなのだそうだ。
うちは関係ないと思うのだが、まったく関わっていないとも言えないので余波が来ているのだとか。

他にも、いくつか土地に関する障りがあるのだが、一度に書くと混乱するので、少しづつ記事にしていこうと思う。

I曰く、「こんなに呪いのある家は見たことがない」そうだ。
Iは「呪い」という言葉を好き好んでよく使っていた。
そして、いつも私にこうやって不安を植え付けていった。

Iが話す見えない世界の話は、おどろおどろしく、私が子供の頃にテレビで見ていたオカルトの世界観そのものだった。
私に霊感が全くなければ、荒唐無稽な話として鼻で笑ったかもしれない。
だが幼少期から少しは見たり感じたりしている私は、どこか疑いつつも結局は信じてしまうのだ。

どこから手を付けたらいいのかわからない。
土地の因縁がごちゃごちゃしすぎていて、何からしたらいいのか…。
そもそも、何をしたらいいのかもわかっていないのだが。

Iに聞いても「さぁ?」という。
先祖がしたことへの謝罪が必要だが、そもそも何があって苦しんでいる人たちが今でもいることを、ちゃんと理解しないまま謝罪したところで受け入れてもらえないのだそうだ。

曽祖母を憎しみから解放したかったが、その前に、もしくは並行して、自宅周辺の土地の紐解きをすることになった。





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