AAの仲介手数料に対するスタンスとは?#AAの仕事
こんにちは。アラウンドアーキテクチャー(以下、AA)の長谷川です。平素よりお世話になっております。
入社以来不思議に感じていたことがあります。AAでは「高い物件を売っていこう!」という社風ではないのです。不動産売買における仲介手数料という制度がある以上、高い物件が売れたほうが儲かるはずです。なのに何故?
そこで今回の「建築のまわり」シリーズ1回目では、一般的な不動産会社とは違い、高い土地の仲介を目標としなくてもAAがやっていける理由について語ろうと思います。
前回もお話ししたように、AAは建築家と一緒にお仕事をする不動産の会社です。それが特殊だなっていうことはなんとなくわかるのですが、実は私、正直そもそも普通の不動産業界のことも知らずに入社しました。青いスーツを着て、金色の腕時計を付けているようなビジネスマンが大きなお金を動かす世界観だなあ..というイメージでした。そして、お仕事をしていく中で触れ合う一般的な不動産の方々は、それまでのイメージと相違ないなと思いました。
不動産を購入する際に支払う仲介手数料って、不動産の価格が高ければ高いほど多くもらえる仕組みになっています。逆に不動産会社の立場で言えば、より高い不動産を買ってもらうことでしか1つの契約での報酬の額を増やすことができないということなので、不動産会社からしたらできるだけ高い土地を買ってほしいと考えるわけです。すべての会社がそうというわけでは決してないけれど、なんとなくゴリ押し感があるな、とか景気のいいことを言ってくるなとか、そういうイメージがついている原因のひとつはここなのかなと思いました。
じゃあ、そこに対しAAってどういうポジションを取っているんでしょうか。不動産業を営む会社である以上そのルールから外れることはできない上で、他の不動産会社と、どのように差異をつけているのでしょうか。
■リピートがあるから、仲介手数料の高さよりも「良い家」を目指すことに注力できる
通常の不動産取引ではお客さんに土地を紹介し、購入してもらったらそこで終わり。のちの建築のことは不動産屋にはあまり関係ありません。そのお客さんから別のお客さんへ仕事が繋がっていくルートは口コミくらいでしょうか。土地購入~設計~施工まで一貫して進めるハウスメーカーもあるけれど、基本的には土地を紹介してしまえばそこで誰かにつながることはありません。しかしAAの場合では、しっかりとお客さんに土地探しから貢献できれば建築家から次のお客さんを紹介していただくことができ、1組で終わることなく次のお客さんに繋がっていく場合が多いです。そしてもちろん、ちゃんと繋がっていくには理由があります。
家を建てるのにかかるお金は大きく分ければ「建築に係る費用」「銀行に係る費用」「土地に係る費用」が必要になってくるのですが、そこの計画を立てず見切り発車で不動産屋に言われるままに土地を購入し、建築にかけられるお金が足りないということが発生することもしばしばです。
よく周りに勘違いされることとして、AAは家を建てたいお客さんに建築家を紹介していると思われることが多いです。でも実はそうではなく、建築家から、「家を建てたいけど、土地が決まっていない」というお客さんを紹介していただくことがほとんどなんですよね。
そこでまずは紹介いただいたお客さんに人生設計や経済的な事情を伺い、家を建てるためにかけられる総予算を一緒に考えるところから始めています。総予算が決まると、土地にいくらかけても大丈夫なのかが明確になるので、建築家の立場からしても資金不足で計画がとん挫するという可能性も下がり、仕事がうまくいく確率が上がります。
また土地探しの段階からをAAと建築家とお客さんとで情報を共有し、共に進めていくことで、土地選びの段階で建築家の目線からどんな建築ができるかというアドバイスももらえたりします。そんな理由から、一度一緒にお仕事をさせていただいた建築家から次のお客さんを紹介してもらうことが多いです。
このwin-win-winの関係でうまくいって良いプロジェクトになれば、建築家から新しいお仕事を紹介してもらえるサイクルが生まれます。そのサイクルがあるからこそ、目先の仲介手数料の多寡に捉われる事なく、3者が良い家をつくるという同じゴールをしっかり目指す事が出来ている状態になるのです。お客さんの理想の家を実現するために価格として安い土地を探していくこともしばしば。それは普通の不動産では難しいことだと思います。
これを書いていて気づいたのですが、土地探しのお仕事をしているときに、この高い土地を絶対買ってほしい!という気持ちがないので、私としてもメンタル的に余裕を持てています。だからお客さんの希望に合う土地を探すことは前提なんですけれども、「ひと癖あって安くなっているけれど、面白い土地」を見つけたときにテンションが上がります。私だったらこういう設計にして...という妄想もしたりしてます。逆に面白いと思ったのに建築家やお客さんにウケなかったときは「え~いいと思ったのになあ」と少し残念に思うこともありますが(ウケないときの方が多いです)、土地のポテンシャルについて考えることは学生の時の設計課題を思い出して楽しいです。というか、これはもはや設計行為なのではとも思います。AAでは設計は行わないけれども、頭の中で何を考えるかは自由だなということで、楽しみながら仕事に取り組む、そんな日々です。
今回は不動産仲介に関する内容でしたが、次回は住宅ローンについてのお話です。家にはお金がかかるし、ましてや建築家住宅なんて...未知数ですよね。一体どうすればそんなお金が準備できるのでしょうか。乞うご期待です!
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