トランプ大統領の挽回は不確実性に繋がる

■ トランプ、バイデン、いずれの候補が勝利しても、株式市場の方向感に違いは生じにくいか

■ トランプ大統領が勝利、もしくは接戦に持ち込めば、投資家の警戒感が強まる可能性も

 米大統領選まで残り2週間を切ったが、メディアの世論調査等ではバイデン候補の優勢が伝わっている。しかし、法人税率やキャピタルゲイン課税の最高税率引き上げ、環境や金融などの分野における規制強化を理由に「バイデン候補勝利=株安」とする見方はすでに後退しており、足元では、民主党政権による大規模な財政出動が景気を押し上げるとの観測から、「バイデン候補勝利=株高」とする見方が増えている。議会選の結果との兼ね合いにより政策実現の可能性は変化するうえ、財政拡大に伴い米長期金利に上昇圧力がかかるとみられることから、安易に「いずれにせよ株高」と解釈するのは避けた方がよいと考える。ただ、米大統領選の結果次第で株式市場の方向感に違いが生じるかどうかという観点では、影響は限定されつつあるといえよう。

 しかし、大統領選とあわせて実施される議会選については、上院は改選議席数35のうち共和党は23と多く、現在、過半数を占める共和党にとって不利な構図。下院は、知名度がある現職議員が再選されることが一般的であるうえ、引退する共和党議員が多いため、共和党は上院よりもさらに厳しい状況にある。仮にバイデン候補が勝利すれば、大統領、上下両院、いずれも民主党が占める「トリプルブルー」となる可能性がある。一方、トランプ大統領が勝利したとしても、下院の民主党過半数がほぼ確実視されるため、議会のねじれ解消は見込めない。そのうえ、上院も民主党が過半数を占めれば、大統領と議会の対立が鮮明になり、国政が停滞する懸念さえ生じる。なお、トランプ大統領は、郵便投票による不正を巡り法廷闘争に持ち込む考えを示唆しており、大統領選が接戦となった場合、結果判明が大きく遅れるリスクも浮上している。これらを踏まえると、大統領選に向けてトランプ大統領が巻き返しを図れば図るほど不確実性が高まるとみられ、ボラタイル(激しい値動き)な相場が投資家の警戒感を強める可能性があるだろう。

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