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紅茶も一種のアロマテラピーです

紅茶を淹れる時、立ち込める香りに癒されることがあるかと思います。香りがついた紅茶を「着紅茶」といい、フレーバーティー(flavored tea)や、パフュームドティー(Perfumed Tea)などと言います。今回はそんな香り高い紅茶の中でも、特に人気なアールグレイに焦点を当てたレッスンを開催しました。紅茶のレッスンは、その道23年の大ベテラン先生をお呼びしました。

今回飲み比べをした紅茶(アールグレイ)3種です。
イギリスのフォートナム&メイソン社のものです。

アールグレイとは、ベースの茶葉をベルガモットで香り付けした芳醇でフルーティーなフレーバーティーのことです。香り付けで使われるベルガモットは、エッセンシャルオイルとしても人気で、リラクゼーション作用の高い芳香成分を含むイタリア原産のミカン科の果物です。苦味や酸味が強いので、食用には向かないため、ほとんどが香料抽出の為に栽培されていますが、Aromatiseでは、香り高い植物をただブレンドするだけでなく、蒸留し、食べたり、飲んだりすることをテーマにレッスンをしているので、今回は食べるところまで楽しみました。

ベルガモット蒸留の様子です。今回使用したベルガモットは日本産。広島の農園から取り寄せました。ベルガモットは、採れたては緑のものが多く、完熟すると黄色になります。

ベルガモットは、柑橘系でありながら主成分がリナロールと酢酸リナリルという、ラベンダーやお花系と同じような芳香分子の集まりです。なので柑橘でありながら、女性に嬉しい作用も多く、リラックスとリフレッシュのどちらも叶えてくれる万能なエッセンシャルオイルです。ラベンダーやイランイラン、クラリセージなどとブレンドすれば、安眠ブレンドになりますし、レモンやローズマリーと合わせれば、リフレッシュブレンドにもなります。香り成分は、果皮に多く含まれるので、皮を蒸留し芳香蒸留水を採り、実はジャムにして食べました。マーマレードジャムのようで美味しかったです。

自宅で、お砂糖やはちみつを加えてジャムにしました。

ベルガモットが食用として使用されるようになったのは1500年代。皮を砂糖漬けにしたものが、皇帝の祝宴などで出されていた様です。17世紀には、イタリア人の理髪師が、ドイツのケルンで「アクア・アドミラビリス(素晴らしい水、または不思議な水の意)」という名前で、ベルガモットを基調にブレンドした、シトラス系の香水を販売していました。この香水を当時第二次世界大戦中だったナポレオン率いるフランス兵が、母国に持ち帰り、家族や恋人に贈ったところ、大評判となりました。フランス人はこれを「ケルンの水」と呼び、これをフランス語に訳すと「オーデコロン(Eau de Cologne)」の意味になり、近代の香水文化へと発展するきっかけとなったものです。その後、フランス軍の混乱を防ぐために、ケルンの建物に番号を表示するように命令。ドイツの4711地区に大規模な香水工場を建てたことが、世界最古の香水「4711」の誕生です。

ケルンの水の処方で作られている世界最古の香水4711

この香水は、ナポレオンやゲーテ、ワグナーも使用し、インスピレーションを得ていたと言われています。一度は見たことがあるのではないでしょうか。ベルガモットがなければ、今の香水文化は広がってなかったと思うと、ベルガモット!大尊敬です。

ベルガモットとベルガモット精油です。

さて、そんなベルガモットがアールグレイと出会ったのは、1830年頃。イギリスの首相を務めていたグレイ伯爵は、中国の着香茶に魅せられ、イギリスの老舗紅茶メーカーのジャクソン社に依頼し、そのレシピを元に紅茶を作らせたそうで、そのレシピというのがベルガモットの香りのするものだった様です。「アールグレイ」は、アール(伯爵)グレイ(固有名詞)でグレイ伯爵という意味があり、こうしてフレーバードティーの「アールグレイ」が誕生したと言われています。一重にアールグレイといっても、メーカーによって種類が違います。様々な紅茶を試すのも楽しいですし、薄く切ったベルガモットを紅茶に浮かべるだけでも、香りをさらに味わうことが出来そうです。

今回は紅茶の先生のおかげで、いつもよりゴージャスな会となりました♪

芳香成分だけでも、十分魅力的なベルガモットですが、食べるとどんな栄養があるのかといいますと、ベルガモットにはビタミンBやB12やCが含まれ、優れた抗酸化作用や、血中に鉄分を吸収しやすくする働きなどがあります。最近の研究では、ベルガモットに含まれるフラボノイドは癌の予防にもなることが分かっているのだとか。まさに魔法の食材かもしれません。

癒された1日でした~。

私たちの回りは、沢山の良い香りで溢れています。朝起きてから、会社に着くまでなど、何でもいいので、香りに意識を向けてみてください♪ 身の回りの香りを、自分の好きな香りにしておくことで、毎日が少し楽しくなったり、自分を整えるきっかけになるかもしれません。それは、紅茶でも良いし、コーヒーでも良いのです。自分の好きな香りで癒されることが、ナチュラルなアロマテラピー=芳香療法ですよね。次はアッサムティーの会もやりたいな。ここまでお読み頂き有難うございました!

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