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~読むアロマ~「西の魔女が死んだ」梨木香歩

物語の世界観を香り(精油)で表現する「読むアロマ」。「読むアロマ」は、思わず手に取ってしまう美しい装丁のように、イメージを香りでデザインしたもの。物語と、精油が持つ香りや働き、様々なエピソードをつなげて、オリジナルのアロマブレンドを作ります。

新旧、ジャンル問わず、好きな物語、気になる話をランダムにピックアップして、作った香りのご紹介です。


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西の魔女が死んだ 梨木香歩著/新潮文庫


ここで暮らしたい。ラベンダーの茂みで乾かした洗いたてのシーツにくるまって眠りたい。若い楠や栗の木に囲まれた、居心地のいい小さな巣のような、日当たりのいいその場所でひなたぼっこして過ごしたい。

愛情いっぱいの言葉のシャワーを浴びせてくれる、おばあちゃんのそばにいたい・・・と、やさぐれた大人こそ憧れてしまう世界です(笑)

主人公のまいは、中学校をお休み中。手仕事や自然を大事にする暮らしをしているイギリス人のおばあちゃんと過ごしたひとときの成長物語。

人のなかで疲れ、傷ついたまいが、自分の力でしっかりと生きていけるよう<西の魔女>が<魔女修行>と称して導きます。

1、早寝早起き。食事をしっかりとり、よく運動し、規則正しい生活をする。

2、大切なのは、意志の力。自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力。

この2つができるということは、すなわち、こころと体が健やかということ。健やかなこころと体があれば、生きやすくなるということ。

すべてはつながっていて、そしてシンプル。


お話の中には、たくさんの珠玉の言葉がちりばめられていて、読む人それぞれに響くところがあると思います。例えば、「春になったら種から芽が出るように、それが光に向かって伸びていくように魂は成長したがっている」

まいが「(辛い経験をしてまで)成長なんてしなくたっていいじゃない」と少し腹をたてながら言ったのに対して、おばあちゃんの答えたものです。

「魂は成長したがっているし、体験によってしか成長できない」

いろいろなところで、「これは学びだから」とか「何事も経験だし」など、「自分の視野をひろげる、器を大きくする」的な個人的なスタンスで口にしてた気がするのです。

それが、もっと根本的で理屈抜きのことだったのか!という驚き。そっか、それじゃもう、すべて受け入れるしかないよねという納得感。「腑に落ちる」がとても気持ち良かった!


<読むアロマ「西の魔女が死んだ」ブレンド>
・マンダリン
・カモミールローマン
・マグノリアリーフ
・クスノキ
・クロモジ
・パチュリ


大人でも子供でもないまいちゃんの象徴のマンダリン。成熟した知性と母性をあわせもつおばあちゃんは、パチュリとカモミールローマンで。

その土地のものを愛することから、日本生まれの香りクスノキとクロモジ。マグノリアリーフはまいのサンクチュアリに咲く朴(ほう)の木をイメージして。


遠く故郷を離れ、愛する夫をなくし、一人暮らしをしていた西の魔女。魂を十分に成長させて光に帰っていった彼女に祝福を。

そんな思いを込めたブレンドです。

#読むアロマ #読書感想文 #アロマセラピー #梨木香歩 #西の魔女が死んだ




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