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スポーツアロマ体験記 その1

シドニーオリンピックにアロマセラピスト参加した体験記

目次

1. 選手村セラピストオファー

2. セラピスト研修

3. 壮絶トリートメント体験

4. ご褒美

5. こぼれ話


1. 選手村セラピストオファー

「来年の夏オリンピックに行ってみない?」

「それって、私シドニー行くんですか!?」

22年前の妊娠5ヶ月目の夏のできごと。

『シドニーオリンピック選手村でアロマトリートメントしませんか』という夢のようなお誘いが舞い込んできたのです。

心臓バクバク!!

「それって、中田英寿さんとか、松坂大輔さんとか、室伏さんとか、、

アスリートに触れられるチャンスってこと??」

「もうこんなチャンスは2度と巡って来ないかも。行きたい。!!」

心の声が叫んだので、妊娠5ヶ月のラージポンポンだったのに、、オファーに即レスしてしまいました。


2. セラピスト研修

飛行機搭乗したら、気圧で母乳がピューって吹き出してきました。おっぱいパンパン。そうしてオリンピック開幕10日くらい前にシドニー入り。

世界9ヵ国からセラピストたちが集結、1週間は選手向けアロマトリートメントの研修でした。

研修内容は、フェイシャルとか、背中とか、足とか、部位別15分トリートメント10種くらい、施術商材の知識、コンサル方法などでした。まさかフェイシャルを真夏のぎんぎん太陽の下で行うとは思わなかったけど。。 

🟣アロマトリートメント目的は、以下3つ。

 1.メンタルコンディショニング(精神ケア、安眠誘導など)

 2.ボディーコンディショニング(リンパを流して、トーニング)

 3.インターバルリカバリー(競技と競技の間の回復力を高める)


🟣印象深かった選手向けコンサルテーションの発言禁忌事項

 ●選手に競技の結果内容を聞いてはいけません。

 ●選手が触れてほしくない部位には触れないでください。


3. 壮絶トリートメント体験

アロマブースは、選手村とプレス村二つに設営。早朝、常勤、夜間の3交代シフト体制にて行われました。

ブース内は、トリートメントベッドが9台、カーテン間仕切り、マッサージカウチそれぞれに非常ボタンが設置。この非常ボタンはアスリートに万が一襲われたとき用と判明。

開催期間中、アスリートたちは途切れることなく訪れ、1日の平均施術人数15〜17名程度、のべ260〜270人。3週間の開催期間で休暇は2日間。ハードワークの極みで体重5キロ減少。

世界代表アスリート達をトリートメントさせてもらえるというビッグチャンス、最初は毎日ワクワクでした。

しかーし、リピートかかっても、レセプトオージー娘が、自分の予約表に勝手に好みの選手入れちゃうの。私に回ってくるのは、ホワイトではない人種ばかり。(明らかに差別)

⭐️大変だった事例

 ●毛深い中東系レスリング選手のフェイシャル。髭が首の後ろまでまわっていて、パックが全部髭に刺さって、しかも首周りが太い、どこまでパック伸ばしていいの? どうやってパック取れば良いの? 途方に暮れました。

 ●アフリカパンチドランカーキックボクサー。でかい、カウチからからだが落っこちちゃう。トリートメントのたびに大声であえぐ。まじ怖かった。

 ●ものすごい動物臭を放つアスリート、だめだ、モウロウとしてしまう。

オリンピックといえば、筋肉祭り。世界中の人種と筋肉に触れましたよ。そして私の手の感触に一つの法則が芽生えていったのです。

メダリストには、筋肉のどこにもこりがない。からだが柔軟、そして心は平静。

対して弱そーな選手、毎日暇そうに来るアスリートがいました。からだのどこかが必ずこってる。あっちが痛い、眠れないと言いながらトリートメント受けにくる。完全に依存体質なんです。


うーん、わかりました。まさに心技体(しん、ぎ、たい)なんだと。。

心と体と技術が備わったアスリートは最高のパフォーマンスを発揮するってヤツです。


4. ご褒美

さて、皆さん、およそ1ヶ月の施術で、私はいくら報酬を得たでしょう?

答えばマイナス持ち出しです。トリートメントはボランティア、航空費は自分持ちでしたから。

ご褒美は、世界のアスリートボディに触れられるという実経験、選手村フリーパス、選手村内の食事、競技チケットフリーで競技観戦できたこと。運よく、陸上決勝を観戦できました。プレミアだったかと、、。


5. こぼれ話

選手村内部、どんなことが気になります? 

選手村の食事が、私の楽しみにしていたことの一つだったの。

初日、レストラン行って、世界中の料理をよそってたら、スタッフに   思いっきり叱られちゃいました。

ロープで選手用とボランティア用がゾーニングされていました。

選手と違ってボランティアは、マクドナルド系ファストフードしか食べることが許されなかったのでした。

それと、夜中の選手村は、ことのほか物騒(競技の後、アドレナリンが出過ぎて野獣と化した人たちがいた模様)で、襲われないよう、夜シフトの時には集団帰宅を義務化されました。大声のランチキ騒動があちこちで繰り広げられておりました。

サッカーの中田英寿選手と、松坂大輔選手は、残念ながらどちらも選手村ではなくアウエィだったのです。選手村に滞在していた日本人アスリート様には何人かしっかりトリートメントさせていただけて一生の記念ですが。。


さあ、折りしも間もなく東京オリンピック。

開催議論はともかくとして、アスリートへのアロマケアは、シドニー以後急速に広まり、拡大し、今ではアスリートたちに普通に取り入れられている模様です。

アスリートの方々、遠征の待ち時間にゲームしすぎて安眠できないのが悩みと聞きました。特にインターバルリカバリーには、アロマで睡眠導入とリラックスをたやすく創出できるので超おすすめ。

1ヶ月間の奮闘を終え、実家に息子をお迎えに行きました。最初はママのこと忘れちゃってましたが、抱っこしたら思い出したみたい。多分ママの匂いってやつです。でもおっぱい出なくなっちゃって、、それでもママの武勇伝、そのうち話して聞かせたいなあ。













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