【靴屋の小話】ミッドソールのこと(後編:革靴目線)
こんにちは、blueoverチームのzuccoです。
昨日はミッドソールの前編のお話をさせていただきました。スニーカー目線ではアウトソールの上にありました。
今日は革靴の観点からお話していければ、と思います。
革靴目線のミッドソール
革靴目線、というと語弊があるかも。
ここで説明したいミッドソールは、靴の底縫いと深く関係しています。
靴の底縫い
靴の底付けの製法はたくさんあります。
日本の多くのブランドはセメンテッド製法という底付けの方法を採用しています。アッパーと呼ばれる靴の上部分と、アウトソールを接着剤で圧着し、くっつけます。(さらに詳しくは別の会で。)こちらは底縫いをしていない製法です。
他にグッドイヤー製法やマッケイ製法など、アッパー部分とアウトソール貼った後、底を縫う製法があります。
レザーソールの靴は、とくに底縫いをしている靴が多いです。
底剥がれ防止も出来ますし、見た目のかっこよさも増します。
セカンドソール/トリプルソール
底縫いのとき、アッパーとアウトソールの間に、革やゴムシートなどを一枚挟んで、底全体に厚みを持たせている靴があります。
トリッカ-ズはグッドイヤー製法ですが、アッパーの周りをぐるりと巻いたウェルトと呼ばれる細革と、ごつごつしたアウトソールの間にミッドソールを挟みこんで、3層で出し縫いをしています。
重厚感、存在感のある靴に仕上がります。
blueoverに入る前の個人で活動していたときは、革底の靴ばかり作っていました。そのときはブラックラピトという製法で底縫いをしていました。
マッケイをしたあと、出し縫いをする方法で、そのときはミッドソールは不可欠でした。
写真は当時の靴。ミッドソールを挟むと、底にボリュームが出て好きです。
レザーソールでも耐久性や耐水性が増します。
ただ、1枚のみ貼ったシングルソールと比べると底全体が硬い印象になります。『かえり』がシングルソールより劣るので、足馴染みに関してはシングルのほうがいいです。
だし縫いは上の写真のようにアッパーの周りにぐるりと底縫い。
ブーツでよく見られるミッドソール
ワークブーツなどでよく見られるのですが、ミッドソールを貼りあわせて、底縫いを施したあと、ラバーのアウトソールを接着している場合もあります。
下の写真の場合はウェルトとミッドソールを2層で縫い合わせて、アウトソールは接着しています。
blueoverのミッドソール
blueoverではマッケイ製法とグッドイヤー製法を採用したモデル、marcoとPHOLUSがあります。
marcoはミッドソールをマッケイ製法で底縫いしたあと、アウトソールを接着しています。
PHOLUSはグッドイヤー製法ですくい縫いと出し縫いをしたあと、アウトソールを貼りあせています。
どちらもミッドソールが底縫いされ、アウトソールは底縫いされず、接着でくっついています。
スニーカーなのに、ミッドソールと底縫いを採用した理由は、アウトソールが減ってきたとき、アッパーにほとんど影響をあたえずソール交換ができるため。ミッドソールがあることで、アッパーに触らずにソール交換ができます。
長くご愛用いただくことを考慮して、採用しています。
あとがき
2回にわたってお話したミッドソール。
すこし難しい内容だったかと思うのですが、お分かりいただけたでしょうか。
まとめると、わたしたちblueoverでは、スニーカー目線のEVAのミッドソールも、革靴目線の底縫いにおけるミッドソール、両方採用しています。
過去からの技術も、今の新しい技術も、メリット部分は活かし、今後もよりよい靴を求めていきたいと思っています。
読んでいただいてありがとうございました。
zucco