【靴屋の小話】靴作りに欠かせない、クロムなめしのこと
こんばんは、blueover のzuccoです。
私たちの靴作りに欠かせない素材のひとつ、革のお話を、過去の記事で何回書かさせていただきました。購入するときの業者さんや、疑問に思ったこと、タンニンなめしのこと。
今回はクロムなめしについてです。
クロムなめしとは
重金属系の薬品を使ってなめす方法です。
1日~5日程度の短期間でなめすこと出来るようです。
といっても、タンナーさんから上がってくる期間はタンニンなめしとほば変わりませんよ。だいたい1ヶ月~1ヶ月半で出来ます。
(※ドラム式ではなくピット槽の場合のヌメはもっと期間がかかります。)
それは、世界のほとんどの革がクロムなめしだからなのかな。
たぶん順番待ちなのかな?
クロムなめしのメリット・デメリット
・製品に加工しやすい
クロムなめしの革は、植物性のタンニンなめしの革と比べて、
柔軟性、伸縮性があり、耐久性、耐熱性があります。
加工のときに革が傷んだりしにくく、柔らかさや伸びがあるので、加工自体がしやすいです。
・色がきれいに表現できる
クロムでなめした革はウェットブルーという薄水色の下地になります。タンニンなめしがベースだと、アースカラーになりがちなのですが、
クロムだと染色性がよく、鮮やかな色を再現できます。
・経年変化しにくい
革製品の経年変化に期待するお客様も多いかな、とも思うのですが、
クロムなめしの革はタンニンなめしよりも経年変化によって起こる艶や色が濃くなる現象は見られません。その分タンニンなめしよりもケアが少なくてすむのですが、革を育てたい人には物足りないかもしれません。
前に書いたのですが、環境への影響はないそうです。
そのときの記事はこちら!
靴つくりにおいてのクロムなめしは?
靴のアッパーのメイン材に革を選ぶなら、クロムなめしの革を採用することが多いかと思います。
タンニンなめしよりも水分にも強いので、製品になった後、シミなども気になりにくいかもしれません。
靴は革を裁断し、ミシンで縫い、出来上がったアッパーと呼ばれる部品を木型に合わせて、引っ張ったり叩いたりして作っていきます。革がかわいそうなくらい引っ張ったり叩きます。
でもそうしないと、木型にしっかり馴染みません。
(※写真はblueoverのグッドイヤー製法のモデル『PHOLUS』)
硬すぎたり、伸びなかったりすると、靴にしていくのも大変ですが、
むかし個人的に作った靴で、靴が硬くて足が痛かったケースもありました。。
また、釣り込みという作業のとき、つま先やかかとに入れる芯を熱で溶かしたり、薬品で溶かす必要があるのですが、クロムなめしの革は傷みにくいので、私からすると、とても助かっています。
まとめ
タンニンなめしも、クロムなめしも、それぞれメリットとデメリットがあります。
私たちblueoverは、革以外の素材でも共通するのですが、
その素材の個性を活かして、商品作りをしていくことが大事だと考えています。それが長く使っていただける商品につながっていくはずです。
zucco
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