小説・成熟までの呟き 36歳・2

題名:「36歳・2」
 2026年秋、美穂は36歳だった。日奈子が通う幼稚園で毎年恒例のおまつりが開催された。お遊戯会・バザー・作品展示などの多様な要素から成り立った。幼稚園の行事とはいえ、島の周辺の住民にも密着した大きな行事であった。メインは、夜に多くの人々で輪のように踊ったことだった。中央では太鼓の音が響き、地域一体となった動きであった。美穂も日奈子も、夫の康太も息子の健も、着物のようなものを着ていた。そして、最後には花火が上がった。これは、日奈子にとっては幼稚園生として最後の秋で、強い思い出になった。そして、翌年には小学生になるのである。

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