小説・成熟までの呟き 37歳・1

題名:「37歳・1」
 2027年春、美穂の娘の日奈子は小学校に入学した。入学式当日、日奈子は橙色のトップスとスカートを着た。日奈子の雰囲気に似ていると思い、美穂が選んだ。日奈子の髪はやっと肩に付くぐらいの長さで、元気そうな姿だった。苗字が「綾田」ということで出席番号が1番のため、代表で花束を受け取った。母親の美穂は日奈子の姿を見て、自分の小学校入学の当時を思い出した。美穂が入学した小学校に比べれば、島にある日奈子が入学した小学校は小さい。でも、自分が覚えている限りの小学校入学当時の様子は日奈子にそっくりで、まるで自分の人生を再生しているような感じなのである。そして、日奈子の小学校への通学が始まった。通学路は自然が豊かで、多くの虫がいる。登校や下校の際に、そんな虫の動きを見ることが楽しみではある。学校でも積極的に動き回るような子で、活発な姿を見せていた。給食にはいろいろな献立があり、それも楽しみであった。もちろん、勉強にも日奈子なりにしっかりと取り組もうとしていた。

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