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読書の備忘録

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ビジネス書、マーケティング、リベラルアーツ関連の読書備忘録です
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記事一覧

経営戦略原論

経営戦略原論(琴坂 将広 著) 経営戦略論は、実務と理論にギャップが生まれがち。経営戦略論が歴史的にどのように発展してきたかを知る必要性がある。 「経営戦略の定義」「3つの階層」 ・全社戦略(コーポレートストラテジー) ・事業戦略(ビジネスストラテジー) ・機能戦略(ファンクショナルストラテジー) 組織、目標、道筋の要素を骨格として、何らかのゴールに辿り着くためもの。一般的に「外部環境」と「内部環境」の2軸から考えるものが共通している ミンツバーグの戦略の5P Pl

3つのステップで成功させるデータビジネス

「3つのステップで成功させるデータビジネス」 データで稼げる新規事業をつくる (EYストラテジー・アンド・コンサルティング 著) スマホなどデジタル化によりデータは増大し新規ビジネスの機会になっている一方で、データは曲者でもある 「データ活用の2つの分類」 1:データによる業務レベルアップ → データによる効率化、省力化、ミスやエラーを減らすなど 2:データマネタイズ → 新規事業による収益化 「データビジネスの3つの段階」 3つの段階を連続して進化していくわけでは

桁違いの成長と深化をもたらす10X思考

「桁違いの成長と深化をもたらす10X思考(テンエックス思考)」 〜これまでの思考法の限界を超える知の全技法〜(名和 高司 著) 第1部 思考法の進化  第1章 ロジカル・シンキングの限界  第2章 デザイン・シンキングの罠  第3章 システム・シンキングの可能性 第2部 異次元へのワープ  第4章 3つのマクロトレンド  第5章 5つのパラダイム・シフト(PS:軸ずらし) 第3部 組織と仕事の未来  第6章 進化する組織  第7章 ライフ・シフト、ワーク・シフ

NOISE (上・下)

NOISE 上下 〜組織はなぜ判断を誤るのか〜 ダニエル・カーネマン、オリヴィエ・シボニー、キャス・R・サンスティーン(著) ファスト&スローのダニエル・カーネマンによる著書。続編。 ■ 二種類のヒューマンエラー 医者の病名の判断、面接や人事評価、裁判の保釈審査、特許の是非の審査、アナリストの市場予測など実際の場面において多くのヒューマンエラーやばらつきが起こる。人によるばらつきだけでなく、同じ人でも異なる判断結果をするケースもある。 背景 ・犯罪の刑罰において、裁判

ブランド論 無形の差別化を作る20の基本原則

「ブランド論」 無形の差別化を作る20の基本原則 (デービッド・アーカー 著) 1部 資産としてのブランド1.1 ブランドは戦略を左右する資産である 顧客は購入を決める際にブランド要因に基づいて判断しており、ときに価格や機能的特徴を上回る。ブランド構築が広報宣伝チームに任せる戦術的取り組みから事業戦略へと再認識された。 1.2 ブランド資産には真の価値がある 組織の3つの重要な資産として「人」「情報技術」「ブランド」がある。どれもバランスシートに現れず、価値の定量化が

価格決定戦略

利益を最大化する「価格決定戦略」(上田 隆穂 著) 1. 高価格帯の商品を買う心理としてのブランド価値構造 (例:シャンプー) 1 自己表現価値(例:身だしなみ) 2 情緒的価値(例:使用後の爽快感) 3 機能的価値(例:かゆみ防止) 4 基本価値(例:洗髪) サービスドミナントロジック 経済活動のすべてをサービスと考えて、企業は顧客と一緒になって価値を作っていくという価値共創の視点でマーケティングを実施する考え方。(従来は、商品の価値が価格を決め、顧客はその対価を

未顧客理解

「未顧客理解」 なぜ「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか(芹澤 連 著) なぜ未顧客理解なのか ・ヘビーユーザーとライトユーザーはすぐに入れ替わってしまう ・ブランドの売上の半分は、そのブランドに興味のないライトユーザーに支えられている ・市場の大部分を占めるノンユーザーに目を向けるべき ・顔が見える顧客と、顔が見えない未顧客(顔が見える顧客が市場のすべてだと思いこんでしまう) →未顧客の文脈に応じてブランドを再解釈することで興味を持ってもらう (お風呂嫌いな子供に、

顧客起点の経営

企業の成長の壁を突破する改革 「顧客起点の経営」 (西口 一希 著) 序章|経営が顧客を見失う理由 第1章|顧客起点の経営改革の全体像 顧客理解:顧客の心理 経営が取り戻すべき顧客理解の第1は、顧客の心理と顧客の行動の関係 顧客理解:顧客の多様性 マス思考での意志決定は、どの顧客に対しても最適化されず、プロダクトの便益も凡庸になる 顧客理解:顧客の変化 顧客は常に変化し続けている。今日と1年後では異なる。 「課題解決の3つのフレームワーク」 第1のフレームワーク:

因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか

「因果推論の科学」 なぜ?の問いにどう答えるか(ジューディア・パール, ダナ・マッケンジー 著) 因果推論は新しい科学 原因と結果に関わる問いに直面したときに過去の科学者はどのように立ち向かってきたか。因果推論の能力は元来、人間に備わっている。人類はあることが原因で別のことが起きる現象に気づいていた(前者を操作すれば、後者に変化が起きる) ・この治療は特定の病気にどの程度有効か ・新しい税制のおかげで売上が上がったのか、別の広告が影響したのかなど → 因果的な問いは非

言語はこうして生まれる -即興する脳とジェスチャーゲーム-

言語はこうして生まれる -即興する脳とジェスチャーゲーム- (モーテン・H・クリスチャンセン、ニック・チェイター 著) 言語はどのようにして生まれたのか ・他の動物にはない人間特有の言語が生まれたのはなぜか ・世界中に異なる言語、地域や民族で異なる言語が生まれるのはなぜか ・赤ちゃんがしゃべれるようになるのはなぜか 稚拙なやりとりでも通じるのは、共通の文化的基盤があるから。どの言語でも一つの単語に複数の意味が割り当てられている場合が多いのは、文脈によって新しい意味が追

イノベーションの競争戦略

「イノベーションの競争戦略」優れたイノベーターは0→1か? 横取りか? (内田 和成 著) セグウェイは失敗例 画期的な発明(インベンション)であったが、コストや利用シーンが合わなかった。イノベーションにはならなかった。Google glassも社会プライバシーに適用できなかった。 Zoomの成功例 同様のサービスは多数あった。しかし、社会の行動変容、仕事のあり方を変えた。社会の変化や映像の圧縮技術によるオンラインの多人数の参加を可能にした。 イノベーションの本質は行動

イノベーターのためのサイエンスとテクノロジーの経営学

イノベーターのためのサイエンスとテクノロジーの経営学(牧 兼充 著) 論文をもとに、統計的手法(因果推論)を用いてイノベーションを起こす法則を解き明かす ・アントレプレナーとは リーダーシップをもち、曖昧さやリスクを許容でき、イノベーションを生み出し事業を起こすことができる人。新しい価値を生み出し、雇用を生み出す。 ・イノベーションとは 発明は新しい技術や価値を生み出すもの。イノベーションは新しい価値を生み出して実用化すること。社会的な価値を生み出すもの。イノベーション

データ分析の力 因果関係に迫る思考法

データ分析の力 因果関係に迫る思考法 (伊藤 公一朗 著) データ分析は、XがYに影響を与えたかを証明することが多い。 介入グループと比較グループの差を見極める。 因果関係の立証は難しい 「2010年は広告を出稿し、アイスの売上が昨年よりも40%が増加した」 →売上は広告の影響と言えるのか ・(経済状況)消費が上向きだった? ・(気温)2010年は猛暑だった可能性は? ・(逆)猛暑だったので広告を出稿していた 介入効果 因果関係は介入効果で定義する ・介入を「受けた

原因と結果の経済学 〜データから真実を見抜く思考法〜

「原因と結果」の経済学 〜データから真実を見抜く思考法〜 (中室 牧子、津川 友介 著) 1. 因果推論 因果関係とは:2つの事柄のうち、片方が原因となってもう片方が結果として生じる場合 相関関係とは:片方につられてもう片方も変化しているように見えるが原因と結果の関係にない場合 ・因果関係を探る3つのチェックポイント 全くの偶然:地球温暖化が進むと海賊が減る(見せかけの相関) 第3の変数:体力がある子供は学力がある(体力と学力に両方を影響している親の教育熱心さの要因