イノベーションの競争戦略
「イノベーションの競争戦略」優れたイノベーターは0→1か? 横取りか? (内田 和成 著)
セグウェイは失敗例
画期的な発明(インベンション)であったが、コストや利用シーンが合わなかった。イノベーションにはならなかった。Google glassも社会プライバシーに適用できなかった。
Zoomの成功例
同様のサービスは多数あった。しかし、社会の行動変容、仕事のあり方を変えた。社会の変化や映像の圧縮技術によるオンラインの多人数の参加を可能にした。
イノベーションの本質は行動変容
世の中に存在しなかったものの発明ではなく、人の行動に浸透させることがイノベーションを起こす鍵になる。技術的に新しい要素はなくてもイノベーションになりえる。社会変化、心理変化が変化のきっかけとなる。
アップルの発想は、ユーザーに生活を変えることができるかという追求。それにより、iPhoneやItunesへとつながった。ソニーは技術革新を目指して敗北した。
イノベーションのドライバー
3つのドライバー
1 社会構造の変化(業界の構造の変化、法規制、需給バランスなど)
2 心理変化(消費者の思考の変化、常識の変化)
3 技術革新(社会インフラの技術を含む。5Gなど)
4つのステップ
STEP1 トライアングル(社会、心理、技術革新)によるドライバー
STEP2 価値創造 (顧客に新たな体験をもたらす)
STEP3 態度変容(顧客の世界が広がる)
STEP4 行動変容(顧客の習慣が変わる)
イノベーションは企業努力だけで生み出すことはできない。自動洗濯物たたみ機の「ランドロイド」はユニクロのエアリズムがつかめずに破産した。
イノベーションの連続
後発者がイノベーターになる場合
1 同一市場において先行者の課題を後発者が解決するケース
→後発者のメルカリはターゲットを絞らず、誰でも出品できる形を作った
2 後発者が先行者の価値を別市場で転用させるケース
→マクアケは資金調達だけでなく、商品化テスト目的で成功した
同一顧客へのイノベーションの連続
1 一度目のイノベーションでつくった顧客との関係性からさらなるイノベーションを捉える
2 トライアングルの変化からくるインパクトを想定する
3 既存ビジネスに影響しない環境を用意して、ゼロベースで解決を熟考する
異なる顧客へのイノベーションの連続
1 1つ目のイノベーションがなぜ起きたのかを把握しておく
2 トレンドに自社の強みが活かせるかを考えておく
イノベーションへの提言
新しい価値を生むだけでは不十分、顧客の行動変容を変えたものが勝ち。
1 行動変容にコミットする
・商品やサービスがどうやれば行動変容が起こせるかを考える戦略(Push)
・行動変容を変えるために商品サービスを修正する戦略(Pull)
2 イノベーションを見るレンズを変える
・組織論などではなく、自社で解決する必要もない。新しいサービスを生み出すよりも社会変化に合わせたほうが効率が良い
3 事業継続にこだわる
・消費者が習慣を変えるまで、企業の資源が持つかどうか。
4 自前主義を放棄する
・自社だけでなく分業でやる。他人の力を借りる。