イノベーターのためのサイエンスとテクノロジーの経営学
イノベーターのためのサイエンスとテクノロジーの経営学(牧 兼充 著)
論文をもとに、統計的手法(因果推論)を用いてイノベーションを起こす法則を解き明かす
・アントレプレナーとは
リーダーシップをもち、曖昧さやリスクを許容でき、イノベーションを生み出し事業を起こすことができる人。新しい価値を生み出し、雇用を生み出す。
・イノベーションとは
発明は新しい技術や価値を生み出すもの。イノベーションは新しい価値を生み出して実用化すること。社会的な価値を生み出すもの。イノベーションを起こす人と発明家は別の人であることが多い。
1.科学的思考
科学的思考法がどのようにビジネスにつながっていくかを探る。イノベーションとアントレプレナーシップを体系的に把握する。
考え方のアプローチ
・統計手法の妥当性
・内的妥当性(因果関係があるか、偏りがないか)
・外的妥当性(因果関係がどの範囲まで当てはまるか)
・構成概念妥当性(意図するものを対象にしているか)
2.大企業と小企業の比較
どちらがイノベーションに向くか。500人以上を大企業として産業別に分類
→ 産業によって大きく異なる
・産業自体が大きく寡占が進んだ市場だと大企業のイノベーションが増える
・勃興産業は小企業のイノベーションが増える
3.職場環境の影響(同僚と起業の関係)
キャリアで得た経験や同僚の影響を自分の起業に活かすことができる。過去に起業した同僚が多いと自ら起業の割合が増える(統計的な手法による検証。因果推論)
スターサイエンティストがベンチャー企業に与える影響
・論文数のようなパフォーマンスへの影響
ベンチャーに関わっている研究者のほうが論文が多い傾向であり、研究者に好影響を与えている。
・論文の謝辞での計測(どんなサポートを行ったか)
地域に固まるベンチャー企業
・スターサイエンティストのいる地域にベンチャーが多い
・企業の研究室に通って共同研究をするため、スターサイエンティストと同じ立地になることが多い
・大企業からベンチャーへのスピンオフ
・同業種での転職
4.特定の大学が多くのベンチャー企業を生む
仮説1:VCが多い地域
仮説2:産学連携による資金調達
仮説3:研究レベルの高さ(統計的に有意)
仮説4:大学の特許扱いルール、報酬の安さ(有意)、大学が持つファンド
5.成果主義のインセンティブの効果
3つのインセンティブ設計
1 固定給型
2 成果報酬型
3 探索型(前半は固定給+後半は成果報酬型)
→3の探索型が最もたくさんレモネードを売った
→前半で思考錯誤して、後半で成果を狙うことができる
成果報酬型は人のリスク回避傾向により差が出る。インセンティブ設計を間違うと成果報酬型はイノベーションの効果にとってマイナスとなる。