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人生の楽園
家に間違って買った棒がある。長さが 100cmほどの木の棒。一見、子どもの折檻にしか役に立ちそうにない棒。
(私が小さいときは、オカンに竹ぼうきの柄でどつかれまくりました。こんな棒がもし、私が幼少の頃、家にあったらと思うだけでも恐ろしい(笑))
「麺打ち棒が欲しい」 ある時ふっとそう思った。
よし、形から入ろう。
私が毎週録画で欠かさず視聴している番組「人生の楽園」
子育てが終わり、仕事もひと段落ついた60歳という年から、健康寿命の終焉を迎える75歳までの間。(あくまでも平均値です)
何年もの間、地中に籠っていた蝉が地上に解放されたような瞬間である。
ミミミーン!!
まさに人生の楽園期と呼ばれる時期である。
日頃、障害を負った方ばかり見ているので、元気な団塊の世代が見れる楽しい番組。
「こんな古民家買ったら、後で住宅改修大変になるのになぁ」
などと出来るだけうがった見方はせず、楽しそうだなぁ。と、番組の趣旨に即した見方をするようにしている。
何年もこの番組を見てきて、核心を見抜いてしまった。
「人生の楽園とは:蕎麦とパンと畑、時々ペンションである」と。
私が見た番組のほとんどが蕎麦とパンと畑、時々ペンションである。これでだいたい話がつく。つまり、畑で蕎麦と麦を育て、パンと蕎麦を作って自宅を改装したペンションで一日1組のお客相手に接待する。
おおむねこれで、楽園を制したことになる。麺打ち棒を買えば、楽園に一歩近づくような妄想を抱き、趣味らしい趣味がない事も手伝って、麺打ち棒を購入。
さて、家に帰ってそば粉を綺麗に拭いたオコタの上にばらまき、目を輝かせて、いざ、蕎麦打ち。そば粉と麺棒。出会うべくして出会った双方。オコタの上のアバンチュール。まさにエキゾチックジャパン!!
ふふふ、この絵が欲しかったんだ。水をすこーしづつ入れて粉をこねていく。こね、こね。よし、いよいよ麺棒投入。団子状のそばを引き延ばしていく。
これがなかなかに難しい。うまく広がらず伸ばしている端から、ひび割れ、もろもろになっていく。水を足してこねると今度は、べちゃべちゃで伸びない。粉を足して、水を足してを繰り返していたら、巨大な蕎麦玉が出来上がってしまった。
一日格闘して、結局、鍋の中でもろもろになる、得体のしれない物体を啜る羽目になった。
それから一度も麺棒には近づいていない。人生の楽園への道のりは遠い。
さっ、今からお蕎麦の乾麺ゆでて、朝ご飯にでもしようっと。
(笑)
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