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コント:診察室

夏に定期診察に行った時の話である。子供の頃からお世話になっている日本でも結構有名な病院。北は北海道から南は沖縄まで、遠方から患者さんがやってくるような大病院である。


診察に入ると、いつもどおり、私の担当医がパソコンをにらみつけながら、私を迎える。


タンクトップいっちょで診察室に入った私を見て医師は「元気そうだね」と声をかけた。つづけて、「どうでしたか?」いつも通りのセリフである。


「あの~。先月は結構発作が起きたんですけど。今月は一回も発作が起きなかったんですよ。先月の受診の時にも言いましたよね」


ニコニコと調子が良かったアピールをする私を横目に医師は「あーそう」
と、気のない返事。ちょっと期待していた反応と違うぞ?と思っていると
「今日の血液検査の値が、あんまりよくないんですよね~」
というのだった。


「よくないっていっても、発作は起きてないし、まぁまぁ、ってことですよね」
と、わたし的には少しでも検査値を楽観できるような形で聞いてみた。


「ん~」と医師は眉間にしわを寄せて「AED、心臓に埋め込みます?」と言葉をつづけた。


「でも先生、それって、お守りみたいなもんなんですよね」
「はい」
「根本的な治療じゃないんですよね」
「はい」
「AEDが誤作動起こしたらどうするんですか?」
「意識があるときに誤作動が起きたら、すごく痛いです」
「!!!」
「当り前じゃないですか、すごく痛いですよ起きているときに除細動器が作動するんだから」
「先生、誤作動ってそんなに起きないんですよね?何万人に一人とか?ほとんど起きないんですよね。」
「わかりません」
「!!!!。AEDって、体に埋め込んだ方がいいですか?」
「わかりません」
「!!!!。私の疾患でAEDの埋め込みした事例ってあるんですか?」
「ほとんどないです。だから、わかりません。」
「!!!!。今日の心電図で異常は出てないんですよね」
「今日はね。でもいつ出るかわからないでしょ」


では、いつも取っている心電図は何のためにとっているんだ?


「そりゃそうですけど。でも先月は発作は起きてますけど、今月は一回も起きてませんし、発作の原因が心臓じゃない可能性はないんですか。」
「可能性はあります。」
「ですよね。私、心臓の発作じゃないような気がするんですよ。心拍数の上がり方が心臓のものと全然違うので、心房細動じゃないと思うんですよね。だから、神経症的なやつかなって。それだったら、AEDは勿論いらないですよね。」
「ん~」
「精神的発作ではないという確証もないんですよね」
「そうですね」
「精神的発作の可能性もありますよね」
「そうですね」
「なら、手術しなくてもいいですよね」
「ん~」
「手術した方がいいんですか?」
「わかりません」
「AED埋め込むのにリスクは当然ありますよね」
「そうですね。リスクのない治療はありません」
「そうですよね」
「手術した方がいいんですか?」
「わかりません」


振出しに戻る。同じような押し問答が数分続く。


こりゃらちがあかんと話を少し変えてみた。


私 「あのー先生。薬の飲み忘れってあるじゃないですか?あれ、さっきの んが気がするんだけど、もしかしたら飲んでないかも?って感じの時。そんなときどうしたらいいんですか?重複して飲んだ方がいいんですか?それとも一回の投薬は飛ばした方がいいんですか?」
医師「ん~。そうですね。そんなことはないようにしてください。」
私「いや、だから、ないようにしていても、「うかっ」としていて、「あれ?」ってときあるじゃないですか」
医師「「うかっ」って、「あれ?」って、ならないでください」
私「だから・・・」


毎回こんな感じ。なんだかなぁ。

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