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月白 tsukishiro #02

夏 真っ盛りの8月11日は、初代李参平の命日です。
1655年に過去帳に記載されているので、今年2020年で365回目の命日となります。金ヶ江家では毎年過去帳が保管されている有田町西部地区 龍泉寺にて、お経をあげていただいています。

 月

初代李参平の戒名は「月窓浄心居士」といいます。龍泉寺の和尚様に聞くと、戒名とは 今も昔も その人の人生を表す字を使っていくとのこと。

1650年代、この当時の過去帳に記されている戒名は1年間に4~5名程度。戒名まで付けられ記録されるという状況がどれほど稀有であり、加えて墓石まで建立されていることを想像すると、藩や他の陶工たちに初代が丁重に扱っていただいたかということがわかります。

龍泉寺の和尚様がいいました。
「李参平さんは、とても大きなことを成し遂げた人です。故郷に帰ることが出来たにも関わらず日本に残り、日本文化の礎を築くことに人生をかけた……そんな人でも、やはり故郷とは大切な場所です。きっと窓の外に見える月を見ながら故郷を思い出す日があったかもしれませんね。そんなときに当時の和尚が酒を酌み交わしながら、いろいろな話をしていたのかもしれません。
そして、戒名の後半にある「浄心」は仏教にとって、とても意味がある言葉です。浄心という言葉には、心を清らかにして向上させる心のはたらき という意味があります。しかし、漢字の成り立ちを見てください。「シ(さんずい)」に「争い」、これはきっと 時代に翻弄され争い事に巻き込まれはしたけれども、その恨は水に流し清らかな心を持って有田を導いた、、、私にはそのような人柄を感じることが出来ます。
窓から入ってくる「月」の清らかな光は、まさに李参平さんの清らかさを感じるものだったのではないでしょうか?」

この話を聞いてから、弊窯の山水文や吹き墨技法には 必ず『 月 』を描くようにしています。これは十四代と私なりの「初代への想い」であり、「大きなテーマ」となりました。
 
それは十三代も同じだったようです。

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月白 tsukishiro 展 開催中
期日 2020年8月7日~16日23:59まで
オンラインショップにて

本展ではsummer-saleのひとつとして、先代の白磁作品をオンラインショップの新規登録いたしました。 白い透き通った月のように涼やかで繊細な作品たちをご覧ください。 また、有田をのせる「白磁彩菓」や 令和2年7月佐賀豪雨災害 応援企画も実施しております。
 
佐賀豪雨災害 応援企画01

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