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FF5で考える、定年退職後の「すっぴん」化対策

どうもこんにちは、アリタ マナブです。ITの「リスキリング」の講師として活動する傍ら、自分自身も日々「スキルアップ」して新しい能力を身に付けようとしています。

前回FF5を題材にスキルアップとリスキリングの違いについて説明いたしました。

私自身、この話は一般論を並べるよりも、思い切り身近な話に振って説明したほうが分かりやすいと思っていますが、いかがでしたでしょうか?

「分かる人にはすごくわかるけど、FF5やったことない人にはさっぱりわからない説明」だったかもしれませんが、すべての人に薄く理解してもらうよりも、わかる人には濃く理解してもらうのも時には重要。そう思っています。

さて、上の記事を書きつつ、ゲーム中でも最終的には重要なジョブ(?)になる「すっぴん(無職)」というものについて、いろいろと思うところがありました。
もしよろしければもうしばらくFF5で考えるリスキリングにお付き合いください。

1. 人生は「すっぴん」に始まり「すっぴん」に終わる

FF5は最初「すっぴん(ジョブなし=無職)」からスタートします。

前の記事でも書いた通り、ゲーム途中で、プレーヤーは様々なジョブを経験するでしょうが、終盤になると、多くの人がジョブを捨てて「すっぴん(ジョブなし=無職)」にまた戻るんじゃないでしょうか? 

というのも、FF5にはそれまで蓄積してきたジョブレベルを放棄してまでも、「すっぴん」に戻るたくさんのメリットがあるからです。

  • すべての武器・防具を装備可能

  • アビリティを2つまで付けることができる。

  • マスターしたジョブの能力値とジョブ特性を引き継ぐ

ゲーム終盤の「すっぴん」はゲーム序盤の「ただの無職のすっぴん」ではありません。

それまで経験した「ジョブ」と得てきた「アビリティ」を受け継ぎ「アビリティ」で武装した「すっぴん」なわけです。

「すっぴん」はゲーム終盤で最強になりうる。FF5ではよく知られたことです。

従って多くのプレーヤーが「すっぴん」を最後に選ぶのです。

「すっぴん(無職)」に始まり「すっぴん(無職)」に終わる。

これがFF5というゲームです・・・改めて、わたし、FF5って人生みたいだなと思いました。

ただ「人生」というゲームの場合、FF5と違ってゲーム終盤に自主的に選んですっぴんになるというよりは、強制イベントで無理やりすっぴんにさせられてしまうのですけど。

そして、ゲーム中盤で得られる「アビリティ」の特性が、(FF5とは異なり)「困ったすっぴん」が生みだす原因ともなります。このあたりをもう少し掘り下げてみます。


2. 定年退職とすっぴん

「人生」というゲームでは、生まれてから成人を迎えるまで、多くのプレーヤーが「すっぴん(無職)」の状態です。

(タイミングは人それぞれだと思いますが)ある時、親の家計を離れて、自分自身で生計を立てるために、何らかの「ジョブ」に就くと思います。
そして40年余りの「ジョブ」生活の中で様々な「アビリティ」を入手します。

例えば、前回の記事に書いた営業職なら、就労期間で身に付けるのは「プレゼンテーション」「第一印象〇」「値引き交渉」のような「アビリティ」かもしれません。

経理職ならば「簿記3級」「簿記2級」「簿記1級」のようなアビリティかもしれませんね。スキルピラミッドが分かりやすい。

こういう専門職はFF5で言うと「黒魔導士」や「白魔導士」のようなもので、「黒魔法Lv1」「黒魔法Lv2」のように資格も込みで自分の「アビリティ」が増えていきます。

やがてやってくる「定年退職」という強制イベントを迎えると、多くの人が就いているジョブを辞めて、再び「すっぴん(無職)」に戻らなくてはなりません。

長ければ40年余り、務めてきたジョブを辞めた後、「すっぴん」になっても、FF5同様、その人には人生の中で得てきた「アビリティ」が手元にあります。

従って、退職して「すっぴん」になっても、「アビリティ」を付ければ元のジョブと同じようなことをする能力はあります。

ですが「何らかのジョブ(職業)についていること」と「アビリティを持ったすっぴん(無職)であること」は、人生というゲームでは大いに異なることです。

多くの人が定年したときにこの違いに戸惑うのではないかと思います。

「アビリティ」は確かになんかある、けれども就ける「ジョブ」がない。

いままでそれで「ジョブ」についていたのに・・・

そして、どういわけか「アビリティ」を豊富に持った多くの人が、老後になってから、これまでの「ジョブ(職業)」とはつながりがなさそうな仕事をする結果になっているようです。なぜこういうことがおこるのでしょうか?


3. 人生の終盤で入手できるアビリティ

「人生」というゲームの場合、多くの人がジョブの後半(40歳以上)になると、徐々に「プレイヤー」としてのアビリティを得る機会が減ります。

自分が手を動かす代わりに部下が手を動かす。

そうした環境の中で、部下を管理する「管理者」としてのアビリティをジョブの後半では身に付けることになります。

管理者としてのアビリティには、例えば「チームビルディング」「部下のモチベーション管理」「組織目標管理」などが挙げられます。

年齢が上がれば上がるほど、部下の数が増えて、ますます「プレーヤー」としての経験を積む機会が減ります。

意図的なアップデートがない場合、「プレイヤー」として得たスキルは「20年前に得たものが最後」なんて方も多いのではないでしょうか?

このように、ジョブの後半「管理者アビリティ」ばかりを身に付けて、「20年前の錆びたプレーヤーとしてのアビリティ」だけ持った状態で定年を迎えると、何が起こるか?

プレーヤーとしては20年前のアビリティしかもっていない「すっぴん」が爆誕するわけです。

今から20年前というと、2002年。

ゲームで言えば「キングダム・ハーツ」や「バーチャファイター4」が売れたころです。

いかに、当時それらのゲームが得意であったとしても、

「おい、バーチャファイターやろうぜ」

といって一緒にプレイしてくれる人は、2022年現在においてはそう多くはいないでしょう。
またそのアビリティをすごいと思ってくれる人もごくわずかです。プレイしている環境が20年前と全く異なるのですから。

その結果、かつて得たプレーヤーとしてのアビリティを生かせる機会は、定年退職後ほとんどないということが起きてしまうのではないでしょうか?

現実的に就職するシニアが多いのがマンション管理や清掃、警備の3つの仕事。職種別就職データを見ても、いずれも65歳以上の比率が50%以上と高い。

上記リンクの日経マネーの記事

4. ジョブについている間のアビリティ選択は重要

プレイヤーとしてのアビリティを錆びさせないために、どのような対策が可能でしょうか?

会社という組織は、社員のスキル獲得のために様々な制度を用意してくれています。

「研修制度」「資格受験料補助」「資格取得補助」etc. 

あまり今の自分には関係ないと思われる「アビリティ」であっても、定期的に「プレイヤーとしての勘所」をアップデートするためにこうした制度をお使いになることを強くお勧めします。

FF5ではゲーム中盤のジョブ選択とアビリティ取得の方法によって、ゲーム終盤の攻略難易度は大きく変わってきます。

ただ、最大のアビリティポイントの稼ぎどころが終盤のラストダンジョンであるため、ある程度、中盤の選択をミスしても、ゲームの終盤だけで挽回することがFF5では可能です。

終盤になればなるほどレベルも上がりますから、上昇したHPやMPでごり押しするというプレイもとれなくはないです。

ただ人生の場合はそうではないです。

ゲームの終盤、多くのプレーヤーはHP(体力)やMP(精神力?)がむしろ下がりますし、何かを経験したときの学びの速度も早くなることはありません。

となると、FF5よりもシビアに、ゲーム中盤の、すっぴんになる前のスキルアップやリスキリングをしておかないと、ゲーム終盤「詰んでしまう」リスクが高まります。

この人生というゲームは、どういう形でエンディングを迎えるかは分かりませんし、そもそもいつがゴールなのかもわかりません。

走る力がある時に、走っておく。

こうした観点で、現在自分が持っているスキルの棚卸をし、またスキルアップ・リスキリングのプランを練り直してみてはいかがでしょうか?

この記事の内容・・・一番言い聞かせている相手は、もちろん自分です。

・・・次は、なぜ能力が高い高齢者でも定年後ジョブに就くのは難しいかを、FF5ではなくFE(ファイヤーエムブレム)で考えてみようかと思っています(次はこんな長い記事にはならないと思う)。

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