「このひととき」をためていく

ときどき、「このひとときのために生きてきたんだ」と思える時がある。あぁここまで来れて良かったな、本当に良かったなと思える時が、嘘じゃなくて本当にあるから驚く。二十数年間生きていて、何度かそういった場面を迎えることがある。

なんだか分からないけれど、色んなことが心配になったりして自分が押しつぶされそうになることだってあると思う。誰もが。

そんな時に、今までで忘れられない言葉や出来事が自分の中に溜まっていることを思い出すといい。過去に生きることは二度とない。けれども、自分の力になってくれた思い出には、恐らく一生のうち何度も助けられることがあるだろう。

自分を失くしそうになった時にも、小さなことに囚われそうになった時にも、何度でも思い出す。それで今ある問題が解決するわけじゃないけれど、乾いて震えていた自分の心は温まる。そして今の自分を見てみる。温まった心でもう一度。すると、少し解決策を考える気持ちが出てきたり、自分に戻れたりする。

だからこそ、今までかけてもらった言葉や「生きていて良かったな」と思った瞬間をいつも自分のそばに置いていたい。

それに今だって、そういった瞬間に立ち会うために生きている。そうやって生きているのだ。