何をしたって守りたいもの

自分のやりたいことをするには何かを犠牲にしなければならない、という話を時々聞く。もちろん自分がどんなやり方で、なにを優先するかなんて人それぞれ自由だ。

ただ大切なものを犠牲にしなければ、自分の望みは本当に叶えられないのだろうか。私は大事なものを大切にしてこそ、叶えた望みは本物になると思っている。

私にとって大切なものといえば、たとえば家族とか、自分を休ませる時間とか、そういったもの。そんな時間は当たり前で平凡かもしれない。

でも淡々と続いていく毎日の一部をないがしろにしてまで自分のやりたいことをやったとしても、つくり上げたものはどこか空虚だと思う。土台のない場所にビルを建てるような。きっと何かの拍子に崩れてしまうのだと思う。

そんな脆いものしか残らないのに、大切なものまで手放して生きようとは思えなかった。

周りを見回してみたり、自分もあんなふうになりたいと思う人たちを見てみた。ちゃんと大切なものを大事にしながらも、自分のやりたいことや自分の生き方を貫いて生きている。

それを見て、大事なことは犠牲になどしなくてもいいのだと思えた。

大切なものは、何をしていたって自分がどう変わっていったって、大切にしながら生きていく。

私にとってはそれができてこそ、自分の人生だ。自分の守りたいものを守りながら、思い存分に生きていくのだ。