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コーチがカフェを始めた理由 その4 ダイアローグ・カフェを目指して

「本の対話会」から始めてみました。

カフェのコンセプトとして「からだによかった、こころによかった、人とのつながりがあった」という、うちでは密かに「りりりウェルビーイング」と呼んでいるものがあるのですが(笑)それを定例のイベントとして形にしようとしているのが「・・・の対話会」です。

「・・・」の部分は、対話のきっかけを作ってくれるテーマで、たとえば本だったり、絵だったり、音楽だったり、お花だったりするわけです。まずはそのテーマに興味を持ってくれる人に集まってもらい、そのテーマを間に挟んでお互いに対話する面白さとか、心地よさを体験してもらいたいと思っています。

本の対話会 その1

そして、ここまで本の対話会を2回、お茶の対話会を1回開催しました。
1回目の本の対話会は、昨年(2022年)の11月に行いました。私の独断で、谷川俊太郎さんの「普通の人々」という詩集を紹介し、予め読んで来ていただいた上で、その感想や、気に入った登場人物について話してもらいました。

普通の人々 谷川俊太郎著

この本を選んだのは、谷川俊太郎さん大好きであるというのはベースにありますが、まず告知期間が短かったので短時間で読めること、ヤマグチカヨさんのイラストもかわいく、「詩集」というより絵本に近く、難しい解釈ではなく感覚的に対話できそうであったこと、「普通の人々」を眺めている視線がカフェでお茶を飲みながら行きかう人々に想いを馳せているイメージをもっていたこと、そして僕自身が今回初めて読む本だったことなどがあります。

特に最後の理由は大切にしたいところで、主催者がその本に触れている期間が長かったり、想い入れが強すぎたりすると、主催者対参加者的な構図になって、対話会というよりは1対多の講義のようになってしまうのではという危惧がありました。なので、谷川さんの本の中でもこれまで読んだことがなく、あまり売れてなさそうなもの(失礼!)を選び、その本と過ごす時間が参加者の皆さんとあまり変わらない状態にしようと思いました。

当日集まっていただいたのは7名。私を入れて8名が定員だったのでちょうど満席でした。喫茶ありをりの2階には「ゆったりサロン ゆるり」という、月~水で妻がやっているマッサージサロンのスペースがあって、そこにちょうど収まる人数であり、1時間半という時間の中で、全員の人が本を読んだ感想や、他の人の発言に質問したり、そこから触発された想いを語れる人数として8名にしました。

「本の対話会その1」に参加された皆様 (画像の質は意図的に低くしています)

皆さんほぼ初対面で、また初めての対話会でもあったので、しーんとなる瞬間がたびたびあるだろうなと覚悟していたのですが、そんな心配をよそに、お一人お一人がいいタイミングでどんどん発言をしてくださって、進行役として特別なスキルを発揮する必要もなく、とても和やかな雰囲気の中での対話会となりました。自己紹介で、ほとんどの方が「私は人見知りの方で、あまり話すのが得意ではないので緊張している」と言っていたのがウソのようでした。

ある参加者の方から、「とても不思議な体験だった。いつも何か正解を求めようとしている中、なんでも自由に話していいと言われると逆に少し戸惑ったけれど、いろんな発言が出る中でもっと皆さんの頭の中、どうなってるんだろうって知りたくなった」という感想をいただきました。

本の対話会 その2

好評をいただいたと判断した私たちは、続く12月にクリスマスのホーリーな雰囲気も出したいという店長のリクエストもあり、「本と喫茶とキャンドルと」というタイトルで、本の対話会その2を開催しました。

「本と喫茶とキャンドルと」ご案内版

1Fの喫茶スペースをそのまま貸し切りにして、お飲み物とスイーツ(当店ではおやつと呼んでます)をセットにし、ろうそくを各テーブルに置いてみました(雰囲気はよかったのですが、暗すぎて本が読めなかった・・・)。

今回は、12名の定員でこちらも満席。お一人お一人にお薦めの本を1冊ご用意いただいて、その紹介と一部を朗読していただきました。

各々の想いがこもった大切な本のご紹介なので、今度は時間が足りなくなるのではないか?と心配していて、コンパクトなご紹介をお願いしたところ、今回もまた皆さんの見事な配慮で、時間の中にちょうど納まり、おひとりが紹介した本に対する別の方の想いや共感が示され、とても興味深い時間となりました。

ただ、じっくり対話をする時間が取れなかったのが心残りだったのですが、ある参加者の方がこんな感想を話してくださいました。
「今日こうしていろんな方から、いろんな思いがこもった本を紹介してもらったことはとても価値があった。でも、実はその前から・・・この会に参加しようと決めた時から、どの本を選ぼうか、その本のどこを朗読しようか、という自分との対話の時間が始まっていて、その時間自体がとても豊かなものだった」

こんなことを言われてしまっては、続けないわけには行きません。「本の対話会」は、参加された方から、またこれから参加しようとしている方からもいろいろと提案やご要望をいただいて定期的に開催しようと思います。

キャンドルだけだと暗かったのでデスクライトも使いました。

そして、対話会のもう一つの側面として、カフェにご来店いただいているお客様や、ご近所の皆様が持っている知識や技術や経験を分かち合って、それをベースに対話していくような会も開催したいと思いました。

そこでまず実施したのが「お茶の対話会」です。

お茶の対話会

私の前職の同僚で日本茶をこよなく愛し、時々会社の昼休みに「お茶会」を開いていたO氏が、ご近所に住んでいるということを知り、ご家族でご来店いただいたときにガイド役をリクエストしてみたところ、快く引き受けてくれました。

お茶といっても、茶道の抹茶ではなく、日常使いの煎茶について、おいしい淹れ方や、味わい方、お菓子との相性などを教えてもらいつつ、実際に飲み比べなどもしてみようという会となりました。

こちらは今年の1月21日に開催して、1回で入れられる急須の大きさに合わせて、各会4名ずつの定員で2コマ実施しました。

こちらも一方的な講師からのレクチャーにならないように、ご参加の動機を伺ったり、質問したいことなども募集しました。またそれぞれのお茶の味わいに関しても率直な感想をいただきました。

当初「参加される人とのやり取りに自信がないので、時間が持たないかも」と心配していたガイド役のO氏は、参加者からの質問に熱く語り、予定していた1時間は30分延長になり、次は夏を前に「水出し茶」特集を!というリクエストまでいただき大いに盛り上がりました。

お茶を味わう皆さんを見守るO氏

絵の対話会

そして、次なるご近所様のお力拝借シリーズ第2弾は「絵の対話会」です。

こちらも当店のお客様の「ちはるさん」にご協力をお願いして、ご自身の絵を何点か持ってきていただき、ご参加いただいた皆さんと絵を囲んで対話する会にしたいと思っています。

「ちはるさん」はお客様として初めてお会いした方で、最初にご来店いただいたときから「ただものではないな」という気配がありました(笑)

閉店間際のお客様が少ない時間帯にご来店いただくことが多いので、個別にお話をするようになって、絵を描いていらっしゃることがわかりました。でも本格的に描き始めたのはコロナ禍になってからだそうです。SNSに描いた絵を毎日アップしていたら、とある二人展示会にゲストで呼ばれ出展することになったり、大倉山記念館で行われた合同展示会に招待状が届き出展することになったり、そして昨年の8月には2週間にわたって同じ大倉山にある「喫茶ぽるく」さんで個展「色彩のクレパス展」を開催されました。

ちはるさんの作品。ポストカードになっています。

じわじわとファンが増えている「ちはるさん」ですが、実はとても気さくで、今回の対話会のご提案にも喜んで承諾をいただきました。

描き手からの一方的な解説ではなく、鑑賞者(つまり今回の対話会の参加者)が感じた印象や、数点の中で一番好きな絵を選んでもらってその理由を話していただいたり、もちろんちはるさんへの質問もどんどんしていただければと思っています。

絵に詳しい、詳しくないとかに関係なく、ちょっとした刺激や体験、面白さを求めている方にはぜひお勧めです! ただ今(2023年2月2日時点)参加募集中ですので、ご興味のある方はぜひご連絡ください。

絵の対話会
■日時 2023年2月11日(土・祝)
    ・3時の会 午後3時〜4時
    ・5時の会 午後5時〜6時
■定員 各会6名
■会場 喫茶ありをり2階 ゆるり (横浜市港北区大曽根1-9-9)
■参加費 1,100円(税込) 当日、現金にてお願いいたします。
飲食代は含まれておりません。必須ではありませんが、会の前後で喫茶ありをりにてご一服していただけると嬉しいです❣️
■お申し込み方法
・お店にて直接
・お電話(070-8347-2337)
・メール(kissa.ariori@gmail.com)

最後に対話に関してちょっとだけ

ここまでお読みいただいた中で、対話に詳しい方(あるいは厳しい方)は、「対話会って言ってるけど、ただのおしゃべり会なんじゃない?」って思われたかもしれませんが、実際、ほぼその通りです(笑)

ただ、1つだけルールがあって、それは「誰かが発言している時は、話し終わるまでその人の話に耳を傾ける」ということです。

そして、お互いの「違い」を楽しむということ。価値観やものの見方や、経験してきたことなどなど、違うからこそ面白く、学びや刺激がある。もちろん「同じ」であることも大いに楽しむ。そんな場にしたいと思っています。

「ワールド・カフェ」というグループでの対話の手法があるのをご存じでしょうか? フォーマルな会議よりも、移動も自由なオープンなグループのやりとりの方が豊かな発想が生まれる、という考えに基づいて生まれたものですが、進め方の解説や、実践事例なども紹介されて、いろんなセミナーやワークショップなどでも実践されていて、私も参加したことがあります。
実はそこにヒントを得て、考えたのが「ダイローグ・カフェ」という名前と発想で、「ワールド・カフェ」ほど立派なものでなくても、ちょっとした対話の機会と場を提供することで、お互いの幸福感や「いい感じ」に貢献できるのではと考え(これが冒頭に書いた「りりりウェルビーイング」ですね)、現在いろいろ試行錯誤中というわけです。

対話会的なものは、すでに、多くの人たちがいろんなフィールドで、いろんな目的でやっていらっしゃって、もっとたくさん学びに出かけたり、交流ししたいと思っていますが、まずは自分の身の丈にあったところから、ぼちぼち始めていきたいと思っています。

そんなわけで、「ダイアローグ・カフェとしての 喫茶ありをり」も(そうじゃない、ただの喫茶ありをりも、ありで)どうぞよろしくお願いします。 


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