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サーフィン前に聴けば、前開きタッパーのスソをはためかせたくなる一曲

僕は音楽に対して雑食である。

かつて(高校生頃)はパンク〜HR/HM一辺倒、「邦楽はダサい」という根拠のない歪んだ価値観に凝り固まっていたが、大学、社会人と歳を重ねるごとにそれは解れていった。

新しい音楽との出会いはMTV、スペースシャワーTV、ラジオ、タワレコ&HMVの店頭など様々だったが、邦楽洋楽ジャンル問わず色々聴くようになった。

サーフムービーが新しい音楽との出会いの場に

そして、サーフィンにハマったのちに、僕にとって新しい音楽との接点になったのがサーフムービーだ。

YouTubeやVimeoの隆盛と共に、名だたるプロサーファーが無料で3、4分のクリップを次々と投稿し始めた。これまでそこそこな金額を払ってDVDを入手しないと観ることのできなかった異次元のサーフィンが、いくらでも見放題になったのだ。これは衝撃的な出来事だった。

加えてそれらのクリップにあてられるBGMは、軒並みセンスが抜群だった。

それ以前、僕がサーフィンにハマった頃のサーフムービーと言えば、オフスプリングをはじめ、テンション高めのメロコア一辺倒だったというのに。

サーフィンの在り方に新時代を感じさせた一曲

前置きが長くなったが、そんな過去のサーフムービーの印象を打ち砕き、サーフィンも新しい時代に突入したことを感じさせたビデオクリップに使われていた曲が、I Break Horsesの「Winter Beat」だった。

I Break Horsesはスウェーデン出身のシューゲイザーバンドで、一部では「スウェーデンの宝石」とまで呼ばれているらしい。

「らしい」というのは、正直なところ、彼らの曲はこれ以外聴いていないからだ。

そもそも、これまでシューゲイザーというジャンル自体聴いたこともなかったし、シューゲイザーとサーフィンは「最も対極なところにありそう」と勝手に決めつけていた。だって、「靴を眺める人」ですよ。なんとなく内向的な雰囲気じゃないですか、偏見のカタマリだけど。

しかし、実はサーフィンの映像にシューゲイザーが見事にハマるのだ。

ウソだと思うなら、以下のビデオを見て欲しい。

オーストラリア出身、ノマドサーファーとして世界を旅するDion Agiusが、ドバイのウェーブプールを貸し切って1人波を切り刻む美しいハイスピード映像。そこに流れるWinter Beatの涼しげなメロディとメリハリの効いたビートがハマりすぎるほどハマっていると思わないだろうか。

今でこそ、ウェーブプールと言えばケリー・スレーターが開発に関わったサーフランチがメインストリームだが、この頃はウェーブプールの存在自体が新鮮だった。そして、そこにシューゲイザーを持ち込み融合させたことで、サーフィン新時代の幕開けを強烈に感じさせるクリップとなっている。

ディレクターの選曲センスに脱帽である。

聴けばタッパーのスソをはためかせたくなる

これはビデオの舞台がドバイだということと、Dionのサーフィンがスタイリッシュであるからこそなのだが、僕にとってこの曲は都会的なリゾートサーフィンの印象だ。

しかし、もちろん普段海に向かうシチュエーションで聴いても気分がアガること請け合いである。

都内から千葉に向かう車内で曲をかけている時のイメージで言うと、九十九里有料道路で真亀インターを超えて、夜明けとともに海が見えてきた瞬間、サイズはムネカタ、ゆるいオフショアが吹いている、なんていうシーンがよく似合う。

そして、気分的には前開きジップのタッパーを全開にして裾をはためかせるDionのように華麗にカットバックをキメようとして失速し、ダサいワイプアウトをキメるのである。

それにしても、上のビデオに一言物申したいことがある。

……

プールサイドではしゃぐインフルエンサー的な女性モデルたち!Dionのサーフィンちゃんと見て!ほんとにスゲーから!

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