サメに襲われたサーファーが起ち上げたビール
2020年4月8日(水)
【Day 20】
今日の晩御飯は夢屋で手に入れた餃子を「焼き」と「水」でいただく。餃子と言えばビールなので、いつもは週末のみと決めているビールを開栓。
前にも書いたが、オーストラリアで市販されているビールは、どれも驚くほど美味しい(その代わり高い。故に週末のみを自分に律している)。
いや、もちろん最近では日本でも小規模ブルワリーやブルーパブの数も増え、少し街を歩けば質の高いクラフトビールが飲める(今はそれもできない状況だと思うが)。しかし、やはり広く流通している缶ビールなどは、どうしても大手メーカーのものが中心となるし、どのビールも味の方向性で言えば画一的だ。
しかし、オーストラリアではホームブルーイングが合法で、ビールカルチャーが深く根付いているからなのか、選ぶビールによって明らかに味わいが違う。選べるビールのスタイルも豊富だ。
日本のビールとの圧倒的な違いは、ホッピングだと思う。どのビールを飲んでも華やかなホップの香りが鼻腔をくすぐる。こっちの人はおそらくガバガバ飲むことも多いため、究極にドリンカビリティを上げたアルコール度数の低いビールも多いが、そのようなビールでも贅沢にホップを効かせてあり、飲めば飲むほど虜になる感じがある。
今日飲んだのも、そんなビールの一つである。
Balter Captain Sensible
スタイルとしてはセッションペールエールといったところだろうか。ABV3.5%、IBU20とスーパー飲みやすいのに、カスケード系のホップが芳醇に香っていくらでも飲める感じがする。
この「Balter」は、僕が最も贔屓にしているブルワリーだ。何しろサーファーの聖地ゴールドコーストが本拠地であり、ファウンダーに4人も元CT※サーファーが名を連ねているのだから贔屓にしないわけには行かない。(※CT=チャンピオンシップツアー。トッププロ30名程度だけが参戦を許される、サーフィンにおけるF1のようなもの。日本人では五十嵐カノアのみが史上ただ1人のCTサーファー)
それにしても、飲むだけでは飽き足らず、ブルワリーを起ち上げるに至るなんて、オージーサーファーはどれだけビール好きなんだよ、と。サーフィンとビールが好きな僕にとってBalterは、リスペクトの対象でしかないのである。
ファウンダーの1人であり、3度のワールドタイトルを手にしたミック・ファニングは、試合中にシャークアタックに合うという衝撃的な事件でも話題になった(幸い、本人は無事だったけど)。その様子はこちらの動画で確認できる。
当時、ライブでウェブキャストを視聴していた僕は、インタビューで「背中にパンチしてやったよ〜はっはっは」と笑うミックをみて、いかにもオージーっぽいなあと感じたことを記憶している。死ぬほどヒマだったので、この事件をヘタクソな漫画にもした。
ミック・ファニングは、僕が今日飲んだ「Captain Sensible」のキャラクターとしてコマーシャルムービーにも出演している。全体的に演技が雑だし、ゲロを吐くシーン(マネだけど)がビールのコマーシャルに使われるというあたりも、大らかなオージーらしさが全開である。
サメとかゲロとか、ヒドい話題ばかり取り上げたが、「ホワイト・ライトニング」と呼ばれるミックのサーフィンはものすんごいので、そちらも要チェック。
Balterは本業のビールの方でも数々のアワードを受賞しているようだが、最も興味深いのはヘッドブルワーのスコットの経歴で、ホームブルーイングを初めてたった1年後に、オーストラリアのアマチュアコンテストで新人賞的なものを受賞していることだ。
好きこそものの上手なれとは言うが、めちゃくちゃ競合と強豪が多いであろうオーストラリアのコンテストで、たった1年で。このような話は他にもゴマンとあるだろうが、興味がある分野におけるそれは、やはり新たに勇気をもらえるものである。
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