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学力の経済学14)「どうして学校へ行くの」にどう答える?〜非認知能力〜

「どうして学校へ行くの」そう子どもに質問されたことはないでしょうか。されたことがなくてもどう答えるでしょうか。この質問への自分なりの答えが見えてくると思います。

この記事を音声化したものです。内容を少々膨らませながら収録しております ↓

from:ありのまま@9 #教員生活20年 #潜在数秘術士

教育に投資するのは小学校入学前が最も良い

と前回お伝えしました。

ペリー幼稚園プログラムへの追跡研究では次のことが分かりました。

IQや学力テストなどで計測される能力を「認知能力」

呼びますが、幼児教育への投資では、

3〜8歳ごろまでは認知能力を上昇させる効果を持ったものの、その効果は8歳ごろで失われ、決して長期に渡って持続するものではありませんでした。

ではどうして教育経済学者はこの結果を受けても

幼児教育に投資すべきだ

と見解を出すのでしょうか

それは

認知能力には短期的な影響しかもたらさなかったにも関わらず、学歴・年収・雇用などの面で長期的に大きな影響をもたらした

からです。

ペリー幼稚園プログラムは、いったい子どもたちの何を変えたというのでしょうか。

それは

「非認知スキル」または「非認知能力」

と呼ばれるものでした。

これは、IQや学力テストで計測される認知能力と違い、

「忍耐力がある」

とか

「社会性がある」

とか

「意欲的である」

といった、

人間の気質や性格的な特徴のようなものを指します。

非認知能力は本来目に見えないものですが、

心理学的な方法を使って、数値化することができます。

その数値を分析した結果

非認知能力は、認知能力の形成に一役買っている

だけでなく、

将来の年収、学歴や就業形態などの労働市場における成果にも大きく影響することが明らかになってきた

のです。

この研究をしたヘックマン教授ら

非認知能力が人生の成功において極めて重要である

と強調しております。

また、誠実さ、忍耐強さ、社交性、好奇心の強さなどの

非認知能力は「人から学び、獲得するものである」

ということも強調しております。


この点から考えると

学校というのはおそらく、ただ単に勉強する場所ではなく、先生や同級生から多くのことを学び、「非認知能力」を培う場所である

ということになるでしょう。

また、

一歩学校から出て社会人になると、学力以外の能力が圧倒的に大事

という考えは多くの人が納得するでしょう。

だからこそ、学校は大事だと思うのです。

ただ、日本の学校という枠組みにどうしても入れないお子様もいると思います。

自尊心がズタズタにされ、手遅れになる程、傷つけられそうならば、

環境を変えることも大事だと思います。

学校といっても僕が考える学校というのは

公教育もしくは私立も含めての学校だけではありません。

学校というのは「非認知能力」を高められる場だと思っています。

それも自分らしさを保ちつつ非認知能力を高められる場です。

非認知能力が学べる場ならそこも学校だと思うのです。

一般的な学校への話に戻すと、

「授業時間と同じくらい休み時間も大事」

ということはここまでの流れからすると理解できると思います。

小学校って、休み時間に喧嘩などのトラブルが起こります。

そのトラブルの中で人間関係を学べます。

まさに非認知能力を学んでいます

さらにお楽しみ会などのイベント、係活動などの

特別活動などの時間もそうです。

だからこういった時間を奪ってはいけないのです。

僕は休み時間まで授業をしないようにしていました。

中途半端なところで鐘が鳴り、もう少し続けたいと思っても

「続きは次の時間にします」

ってやめました。

子どもにとって、大きなお世話になるからです。

非認知能力を学ぶ時間も奪われます。

家庭教育でも一緒ですよね。

勉強だけではなく、遊びも必要です。

遊んでいると、兄弟がいる子は兄弟喧嘩もします。

怪我などの危険な時は止める必要がありますが、

喧嘩は大きな教育のチャンスでもあります。

お互いの意見を聞き、付き合い方を学ぶ機会にするのです。

そう考えると兄弟喧嘩が待ち遠しくなりませんか?

そんなもの、ならないですね。

でも喧嘩の見え方が変わりますよね。

「子どもの喧嘩に親は出ない」

とはよく言ったものだと思いました。

もちろん、命に関わること、いじめなどの大きな後遺症が残るようなもの

は大人の介入が必要ですが、ちっちゃな喧嘩まで親が丸く治めようとすると

子どもの学びのチャンスを奪うことにつながるかもしれませんね。

お互い愉しみながらね。

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