5年3組学級目標 『みんな仲良く明るいクラス』
放課後の5年3組の教室は剣呑な雰囲気が漂っていた。
「――ドンジャラで随分儲けたようだな」
「はて、なんのことやら」
二人の男子児童が机を挟みサシで座っている。互いの後ろには立会人が三人ずつ。只事ではない。
「噂通りだ、『ボス猿・佐々木』の面の皮はコロコロコミックより分厚い」
「ハハハ、小冊子の付録がついたときには及びませんよ」
「他にもお前が勝手にナメた真似してるって話は挙がっている」
今日何度目かの鋭い沈黙が流れる。
学級委員にはフダ*を20ほど握らせてある。この教室に入ってくる者は一人もいない。
*学校で配布される児童相談電話の番号が書かれたカード。児童の間で通貨として流通している。
「盃を交わしたのをもう忘れたのか」
「ハ! あんな即席でステンレスの給食皿に牛乳注いだだけの代物ウチは盃とは呼びません!」
「テメェ!」
場の緊張感が爆発し、今にも乱闘かとなったその時!
「そこまでだよバカ共!」
「――姐さん」
【続く】
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