Running Leanを少しまとめてみた
顧客に欲しいものを聞いていたら、彼らは「もっと速い馬が欲しい」と答えていただろう。
-ヘンリー・フォード<Henry Ford>
この言葉を引用して、顧客と話をしても意味がないという人がいる。しかし、この言葉には顧客の課題が隠れているのだ。顧客が「もっと速い馬」と言ったのは、既存の代替品よりもっと速いな何かを求めていたから。「馬」というのは既存の代替品に過ぎない。
リーンスタートアップにおいては、最も乏しいリソースの有効活用を第一に考える。そのリソースとは、時間である。単位時間あたりの(顧客に関する)学習量の最大化を目的とする。
メタ原則
方法論を正しく利用するには、原則と戦術を区別しなくてはいけない。原則は何をするかを導く。戦術はどうするかを示す。
1. プランAを文書化する
2. プランで最もリスクの高い部分を見つける
3. プランを体系的にテストする
手順1:プランAを文書化する
頭の中で高速に反復して考えるのは、「現実歪曲フィールド」を強化しているだけ。最初の手順はビジョンを書き出して、少なくとも一人の人間と共有することが必要となる。事業計画書を書いても、「誰かと会話する」という本来の目的は達成できないから。
1枚のビジネスモデル図(リーンキャンバス)は、1ページに収まり、以下の3つが特徴として挙げられる。
高速性
簡潔性
携帯性
あなたの「製品」は製品では「ない」
起業家はソリューションに注目する。しかし、投資家や顧客は、課題のことを気にかけているのであり、本当はソリューションには関心がない。
あなたの仕事は、最高のソリューションを構築するだけでなく、ビジネスモデルの全体像を把握して、各要素をうまくまとめること。
メタ原則は、スタートアップのプロセスを分割統治する技法に他ならないのだ。
リーンキャンバスとは、ビジネスモデルを9つの部分に分解し、リスクの高いものから体系的にテストするものである。
手順2: プランで最もリスクの高い部分を見つける
成功する製品を構築するというのは、リスクを緩和するということ。スタートアップの最も大きなリスクとは、誰も欲しくないものを作ることだ。
スタートアップの3つのステージ
第1ステージ:課題/解決フィット
重要な質問:解決に値する課題はあるか?
・それは顧客が必要としているものですか?(必要性)
・顧客はお金を支払ってくれますか?支払ってくれないのであれば、誰が支払ってくれますか?(成長性)
・それは解決可能ですか?(実現性)
リーンキャンバスの作成
①見込み客を考える
顧客とユーザーを区別しよう。
製品にお金を支払ってくれる人が「顧客」である。実際「ユーザー」はお金を支払ってくれない。
顧客セグメントを細かく分けよう。
あらゆる人をターゲットにした製品を効果的に設計・構築・出荷することはできない。
最初は1枚のキャンバスにまとめよう。
顧客セグメントごとにリーンキャンバスを書こう。
②リーンキャンバスをスケッチする
一気にスケッチしよう。
最初は15分以内にスケッチしてみよう。まず考えていることを全て書き出し、次にリスクの高い部分を見つける。最後に建物の外に出て、自分以外の人たちにテストする。
空欄があっても構わない。
空欄にしておけば、そこが最もリスクの高い部分だったり、テストが必要な部分だったりすることがわかる。キャンバスは、時間をかけて進化する有機的なドキュメントだから。
簡潔に書こう。
今わかる範囲で考えよう。
リーンキャンバスは「やったるで」の姿勢で書こう。現時点でわかっていることを考慮した上で、製品を前進させるのに検証が必要な仮説はなんだろうか。
顧客主導型を使おう。
顧客セグメントを調整すると、ビジネスモデルが完全に変わってしまう。
課題と顧客セグメント
この二つを埋めると、キャンバスの残りの部分が楽に描けるようになる。
上位1~3位の課題を挙げよう。
ターゲットとなる顧客セグメントに対して、解決すべき課題の上位1~3位を記述しよう。
顧客は何らかの「ジョブ」を処理する必要があるだけなのだ。そこで、ジョブを処理する必要に気づくと、簡単に言えば、商品を「雇い」、自分の代わりにそのジョブに当たらせるのだ。したがって、マーケターの役目は、顧客の実生活において、自社の商品が雇われる可能性、つまりどのようなジョブが発生するのかを理解することに他ならない。
-クレイトン・M・クリステンセン
既存の代替品を列挙しよう。
これらの課題にアーリーアダプターがどのように対処しているかを考えて、それを文書化してみよう。
チャネル
顧客への経路の選択肢はいろいろある。
無料と有料
無料のチャネルは存在しない。SEO・ソーシャルメディア・ブログなどのチャネルを無料だと思っているかもしれないが、これらは人件費を無視している。
一般的な有料チャネルは検索エンジンマーケティング(SEM)だ。
インバウンドとアウトバウンド
インバウンドチャネルでは、「プル型メッセージ」を使って、顧客にこちらを見つけてもらう。アウトバウンドチャネルでは、「プッシュ型メッセージ」を使って、こちらから顧客に接触する。
インバウンドチャネルの例
・ブログ
・SEO
・Ebook
・小冊子
・オンラインセミナー
アウトバウンドチャネルの例
・SEM
・印刷広告やTVCM
・展示会
・営業電話
コピーする価値のあるものはコピーされる。
実現可能なビジネスモデルを披露するときには注意しよう。
本物の圧倒的な優位性とは、簡単にコピーしたり購入したりできないものだ。-ジェイソン・コーヘン、ブログ「A Smart Bear」
本物の圧倒的な優位性
・内部情報
・正当な「専門家」の支持
・ドリームチーム
・その人の信頼性
・巨大なネットワーク効果
・コミュニティ
・既存顧客
・SEOのランキング
開発・デザイン・マーケティング
開発
製品を構築するには、チームに強力な開発スキルが必要となる。使用する技術の専門知識だけでなく、これまでに何かを開発した経験が重要である。
デザイン
「デザイン」とは外見やユーザビリティのことだ。新しい市場では外見よりも機能の方が重要となる。しかし、起業の世界では、外見を無視できない「デザイン重視」の世界に少しずつ変わってきている。また、製品は機能の集合ではなく、ユーザーフローの集合である。顧客の世界観に合致するような適切な体験を提供できる人がチームに必要となる。
マーケティング
マーケティングは製品の認知を高めるためのもののため、顧客の立場になって考えることのできる人が必要となる。指標・価格設定・ポジショニングの理解だけでなく、優れたコピーライティングとコミュニケーションのスキルが大切だ。
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