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トマトの記憶


朝の陽射しが
キッチンの窓辺を照らす
真っ赤なトマト いくつか
白い皿の上で 微笑んでいる

あなたが育てたトマト
畑の土の匂いがする
指先に残る 緑の茎の感触
あの夏の日々の 記憶


果汁が まるで涙のように
皿に零れて 輪を描く

ひとかけら 口に運ぶ
甘酸っぱさが 舌先を刺激する
あなたの笑顔が 胸に広がる

窓の外 風が吹く
カーテンが そっと揺れる
ふと気づけば トマトは
もう半分 食べ終わっている

静かな朝の中で
トマトの味と あなたの温もりが
私の中で 静かに揺れ動く

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