ai小説胸に秘めた想い


春風に誘われるように、桜の花びらが舞い散る中を、僕は毎日通学路を歩いていた。きょうも校門から見えるあの女の子の笑顔に、胸が高鳴る。

クラスで1、2を争う成績で、生徒会長でもある彼女。だけど教室に入ると、ひとりぼっちのおとなしい女の子に戻っている。周りは彼女の美しさに気づかないふりをしているけれど、僕だけは気づいていた。

僕らに言葉を交わすことはほとんどない。でも、たまに廊下で肩がぶつかりそうになった時、彼女はいつも僕を見つめ、怯えたような笑顔を見せてくれた。あの笑顔に、僕の心は射抜かれるのだった。

そんな日々が続く中で、僕らは卒業を迎えた。教室を出る時、彼女はひとりで立ち尽くしていた。胸を撫で下ろしながら、僕は通り過ぎようとしたが、足が止まってしまった。こうして、この人の心の奥底に秘められたままの想いを、自分だけが知っているのだ。

けれどもその後、僕らの人生は別々の道へと進んでいった。あの頃の、胸に秘めた片思いの想いは、削れそうもない永遠の宝物になっているのかもしれない。

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