人生を豊かにしてくれたカメラ。 Leica Q2を1年使ってみて
こんにちは。Ariです。
このたび、Leica Q2がうちにやってきてから1年が経ちました。
しょっちゅうカメラを取っ替え引っ替えしている自分ですが、Qシリーズは唯一無二の存在として初代Qから本当に気に入って使っています。
完全に生活の一部と化したQ2とともに東へ西へと撮り歩いた記録を一旦振り返ってみようと思い、このカメラについて書くことにしました。
長所や短所、そしてあまり他のレビューで触れられていないようなことも紹介していきますね。
まずは作例を数枚。
Leica Q2とは
まずはQ2の基本スペックや特徴について書きますが、今回はかなり長くなってしまったのでスペックやカメラ本体の造り云々に興味がない方は本題にスキップしてください。
基本情報
まずはQ2の基本情報について、ライカ公式さんがまとめてくれているものを引用しました。
簡単に言うと、コンパクトなのに高スペックのレンズが外せないカメラです。あとは高いです。これは否めないですね。。
細かいスペックは他に素晴らしいレビュー記事が沢山出回っているのでそちらを見てください。
2015年に発売された先代のLeica Qの後継機にあたるのですが、自分もQ2の前はQを半年ほど使っていました。こちらも素晴らしいカメラで、Curbonさんの「わたしのカメラ」という連載に寄稿させていただいた記事があるのでぜひご参照ください。
2019年の発売から4年が経ち、最近Q3の登場によりQ2は生産終了となってしまいました。
レンズについて
Q2はレンズが取り外せないため、カテゴリーとしてはコンパクトデジカメになります。
レンズは専用設計のSummilux 28mm f1.7 ASPH.です。画角は大体iPhoneのメインカメラと同じくらいですね。(※公称は28mmですが、実際の画角は24mmに限りなく近いみたいです。)
特筆すべきはこのレンズの光学性能です。広角なのに歪みが少なく、恐ろしくシャープながら線が細くどこか優しさを感じる写りをします。2015年の光学設計なのについこの前発売されたQ3まで同じものが使われているのがレンズの優秀さを物語っていますね。
また、レンズ内手ぶれ補正(2.5段分)に加えて17cmまで寄れます。手振れ?気合いで止めろよ思想の、70cmまでしか寄れないM型も愛おしいんですけどね。F値もF1.7と明るく、ボケも綺麗です。
明るいレンズなので暗闇でもよく写ります。上の写真は肉眼ではほぼ何も見えない場所で撮ってます。
MTF曲線等を用いたもっと詳細な性能を知りたい方はとても参考になる動画があるのでぜひご参照ください。
圧倒的高画素
4730万画素のセンサーと優秀なレンズの共演のお陰で出てくる写真は驚くほど解像感が高いです。
Q2はズームレンズを搭載しない代わりに35mm,50mm,75mmにクロップする機能があります。もともとクロップを前提としていることもあり体感では50mmまでクロップしてもほとんど違和感はありません。
自分はほとんど50mmまでしか使わないので、ありがたいです。
これは50mmクロップで撮った写真なんですが、元の写真はこれ↓です。個人的には全く違和感がありません。
どこまでもシンプルかつ堅牢な造り
正面・背面・上下どこから見てもとにかくシンプル。特に背面のボタンは極限まで削ぎ落としてあり、日本製のカメラだと必ずあるゴミ箱のボタンもありません。
これで足りるの?って思うレベルでボタンが少ないですが、全然大丈夫です。すぐに慣れます。自分はこのシンプルさが本当に好きです。
筐体の造りについてよく海外のYoutuberの方が"Tank(戦車)みたいな造り”という表現をしていますがかなり的確だと思います。一つの塊みたい。
あとはボタンの押し具合、マクロリングの回し心地や絞りリングのクリック感、全ての触覚フィーリングが気持ち良いんです。なんでこんな所こだわってるの?ってなりますがしばらく経つと手と一体化したかのように感じました。「掌(たなごころ)」という表現を最近知ったのですがそれに近い気がします。
意外と動画もいける
Q2は動画性能も結構使えます。4K30PやフルHDの120fpsスローモーションはスペック上は最新のミラーレスカメラに見劣りしますが、ただのおまけ機能と侮るなかれ。多くを求めなければ満足できる動画性能です。
先月イタリアでVLOGを撮ったのですが、色がすごく良かったので色編集せずに動画を作ってみる予定です。
ただ、動画のオートフォーカスはかなり迷いが多くAFモーターの音が動画に入るので、MFで撮りました。
本題
お待たせしました。ここからが本題です。
これを見ている方のほとんどはおそらくこれまで書いたことは周知の事実だと思います。これからは私が1年使ってみた率直な感想を撮った写真と共に振り返っていきます。
おもちゃみたいなカメラ
友達と遊びに行った時に「そのカメラ、おもちゃみたいだね」と言われた時がありました。確かに普通の一眼カメラとは違う小さくてのぺっとした見た目、コカコーラみたいなロゴ。言われてみればそうかも、と思うと同時にその時は少し嬉しくも感じました。
というのも、カメラとしての存在感の薄さがこのカメラのお気に入りポイントの一つだからです。一眼レフとか大きいカメラは人に緊張感を与えたり、日常的に持ち出すのに抵抗が生まれると感じてしまうので個人的に性に合わないんですよね。
Q2ならカメラを向けても意識されにくく、リラックスした自然な表情を撮ることができます。そして、画質にも妥協することなく。
この記事を書くにあたってQ2で撮った人の写真を見返しましたが、やっぱりいい笑顔が多かったです。
でも大きいカメラでもいいポートレートを撮る方は沢山いるのでこの辺は好みや気の持ちようにもよるんでしょうね。。
また、高そうなカメラという認識を割とされにくいので海外旅行にも重宝します(ロゴだけテープで隠しますが)。
集合写真や自分の写真を撮ってもらう時にこのカメラを人に渡す時があるのですが、ほとんどの人が使い方を少し教えたら何の気兼ねもなくパシャパシャ撮ってくれるんですよね。なんならカメラ貸してーって取られる時もあります。こっちは心臓バクバクですが。
迷えない。言い訳できない。
レンズも画角も固定、設定の幅も狭くUIもシンプルなので余計な雑念を取り除いて撮ることに集中させてくれます。
このシーンならこのレンズいるかもな…と持っていくレンズに迷ったり、撮っている時に違うレンズに変えようかな…と考える時間がゼロになります。
センサーも、レンズも最高峰のものが付いてる。これでいい写真が撮れないなら君は写真が下手ということだ。
こう言われてるような気がして言い訳ができなくなります笑
カバンに入れる。電源を入れる。あとは撮るだけ。
このスムーズさが好きです。
立ち位置は、すごいスマホ
画角が大体スマホと同じ、ということもあってスマホの延長のように気軽に写真が撮れるのも長所の1つです。裏を返せばスマホで撮ったのと変わらないような写真が量産されることにもなります。
だからこそ、そうならないようボケや望遠に頼ることなく、素直に目の前の光や影・対象物に集中していい写真を追い込む(追い込まれる)ことにより新しい世界の見方が生まれると感じています。
作例集
カメラのことばかり書いてしまいましたが、結局どんな写真が撮れるんだい?と言う声が聞こえてきそうなので、1年間の作例をランダムにお見せします。
撮って出しとLightroomで編集した写真が混ざっていますがお許しください。
記事を書くにあたりQ2で撮った写真を隅々まで見返したんですが、ここには載せていない家族や友人のいい写真も沢山あって、改めて買って良かったなと思いました。
M型とどっちがいいか論争
ライカユーザーの中では鉄板のネタになるM型とQシリーズの比較。Qを入り口にずるずるとMの沼にハマった自分のような人の話もたくさん聞きますし、逆も然りです。
自分は両方使ってみて、やっぱりどちらも撮影体験が全然違うカメラだと思いました。
結論から言うと、M型の方が感動できる写真が撮れます。これはレンジファインダーで撮るが故に偶然性のある写真が撮れることにも起因しますが、Qはレベルの高い合格点をオールウェイズ出してくれるカメラである一方、Mは下手っぴな写真ばかり量産するけどたまに5000億点の写真が撮れるカメラだと勝手に認識しています。
撮影体験に重きを置きながら写真を作品として突き詰めていきたい方にはM型、日常的に持ち出す気軽さと機動性、耐候性を求めるならQをおすすめしたいと思います。
総評
ここ一年、Q2は自分にとって究極のオールラウンダーとしてあらゆる場面で活躍してきました。犬の散歩から荒れ狂う波の中のヨット航海、イタリアの極寒のアルプスまでどこへ行くにも持ち出して、人生を鮮やかに記録し、豊かにしてくれました。またこれを持って旅に出たいです。
画角や値段など制約の多いカメラなので決して万人におすすめする訳ではないですが、ここまで読んで自分に合ってるかもと思った方ならQ2はきっと素晴らしい体験をもたらしてくれることでしょう。
Q2を持っている方、欲しいと思った方へ
ここからはQ2を持っている方や購入を検討される方に向けて他ではあまり語られていない、細かい欠点やそれを補う小技を紹介したいと思います。
既に知っている方も多いと思いますが。。
ノイズを除去する方法
Q2はISO3200あたりからかなり目立つノイズが出始めます。Q3は暗所のノイズがもう少し改善されたみたいですね。ノイズも場面によっては活かすこともできますが、そうでない場合は劇的にノイズを消す方法があります。LightroomとPureRAWという写真編集ソフトです(どちらもデスクトップ版のみでできます)
例えばこの写真、これはISO1600ですが、LightroomのAIノイズ除去を使うとここまでノイズが消えます。
ISO6400でもかなり自然にノイズが消えるので必要な方はぜひ試してみてください。
防塵防滴を強化する方法
Q2はIP52の防塵防滴規格をクリアしていますが、IP52は「20cmの高さから、毎分3〜5mmの水滴で10分間というテスト環境下で、垂直から15°以内の範囲で落ちてくる水滴に対して、有害な影響を受けない」とされています。
ここから推測すると大雨の中で使うのは想定されていないようです。故障した事例も耳にするので自分は裸で使うのは小雨程度までに留めています。
しかし、大雨でもカメラカバーがあれば水の侵入をほぼ防げます。
今使っているのはETSUMIのレインカバーです。今は販売終了していますが、似たようなものをAmazonで入手できます。
https://www.amazon.co.jp/-/en/gp/product/B01EKTWT0K/ref=ppx_yo_dt_b_asin_title_o08_s00?ie=UTF8&th=1
充電器を小さくする方法
Q2は電池持ちは良いものの、USB給電に対応していない上充電器も大きいので旅行の時は充電器が嵩張ります。
この問題を解決するのがNitecoreのUSB充電器です。これでモバイルバッテリーから給電できるので旅先のストレスを軽減できます。アフェリエイトじゃないですよ。
動画の手ぶれ補正強化
動画の手ぶれ補正の性能はあまり強くないQ2ですが、DaVinci Resolveという動画編集ソフトでかなり手ぶれが軽減されます。他の編集ソフトでもできると思いますが、試していません。
ファイルサイズを小さくする方法
Q2の弱点の一つ、ファイルサイズが大きすぎる問題。DNG(RAW)ファイルだと1枚80-100MB、JPEGも20-30MBくらいの大きさで気軽に撮れる割にどうしようもないほどデータがデカいです。
対処法として、JPEGファイルをLightroom mobileに一旦取り込んでから再度JPEGで書き出すことでファイルサイズが1/2、写真によって1/3ほどまで圧縮されます(画質は100%設定のままでも)。小さいものだと1枚7MBくらいになります。
もっと良い方法があるかもしれませんが、前後の写真を見比べても違いは分かりません。いつもスマホに入れておきたい写真はこの方法でファイルサイズを小さくしています。
どうしようもできない欠点
ここまで弱点を補う方法を紹介してきましが、どうしても補えない欠点が2つあります。
シャッタースピード制限
Q2はなぜかISOによってシャッタースピードが制限されます。例えばISO6400だと4秒までしかシャッターを開けることができません。これは特に星景写真を撮るときに大きな制約になります。ノイズは前述のソフトである程度消せますが、Q2で長秒露光をしたいと考えている方は注意が必要です。
モニターとファインダーの色
Q2はモニターもファインダーも解像感が高く綺麗ですが、2つの色合いが微妙に異なるのと、どちらもパソコンやプリントした色味と若干違うんですよね。
自分はそこまで気にしていませんが、こだわる方はお気をつけて。
これらの2点、なんとQ3では解決されているみたいです。ちょっと欲しくなってしまった。でもひゃくまんえん…
これだけの長文を一気に書いたのは人生で片手で数えられるくらいです。実はもっと長かったのですが流石に読みにくいだろう、と短くしてもなおこの長さです。
ここまで読んでくださり本当にありがとうございました。
それではまた。
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