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interview bondoi 澤田結衣さん 〜民族への究極の愛のかたち〜

エシカルな活動をされている方をインタビューさせていただく、私の新しい夢への道。

エシカルジャーナリストの活動。


4人目のインタビューは、

タイの山岳民族の手仕事品を、フェアトレードで届ける、bondoiの澤田結衣さん。

山岳民族への愛に溢れたお話で、心があたたまるインタビューになりました。

プロフィール

澤田 結衣さん
1年間、タイのチェンマイに滞在。
2022年1月に帰国し、フェアトレードファッションを扱う、シサム工房へ転職。
タイの山岳民族の手仕事品をフェアトレードで取り扱う、bondoiを運営している。

オンラインショップ bondoi

“山岳民族の生活と伝統的技術の継承に少しでも貢献できますように…”

“bondoiはあなたにお山の人の手仕事と笑顔を届けます。
お山の人にはお仕事と笑顔を届けます。”

bondoiは北タイ語で「山の上」
山岳民族にとっては、自分たちの住む世界を表す言葉。

扱うアイテムはバッグやポーチ、服、アクセサリー、ネクタイ、インテリア雑貨(クッションカバー)

カレン、ラフ、リス、アカ、モン、シャンの6民族の商品を取り扱っている。

インタビュー

ーどんなきっかけでタイに行ったのですか?

社会人2年目の冬に、当時働いていた会社で、仲良くさせてもらっていた営業先の社長さんから、「タイのプーケットにリゾート地を作るためにバンコクへの進出を考えているんだけど、行かないか?」と誘われてタイに行くことになりました。

でも、コロナの影響でプロジェクトが止まってしまったので、仕事を辞めることにしました。

元々、5年くらい働いて世界一周しようと思ってたんです。
でも、コロナもあって難しくて…。

タイの魅力に取り憑かれバンコク以外の土地にも住んでみたくなったので、タイ北部のチェンマイに引っ越して1年間だけのんびりすることにしました。

チェンマイではThai Tribal Craftsというところでボランティアをしていました。

Thai Tribal Craftsとは、山岳民族の人たちの手織りの布や刺繍、パッチワークなどの手仕事を、世界に販売しているフェアトレード団体。

私は、タイに住む外国人(日本人を含む)に向けたネットショップやインスタの運営をしていました。

山岳民族関係でボランティアをしたいとネットで探しまくっていたのですが、募集しているところが見つからなかったので、Thai Tribal Craftsの機織り体験に申し込み、一日機織りをしてから「ここでボランティアさせてください!」と直談判しました。

「コロナ禍でつぶれてしまうかもしれないけど…」と言われたんですけど、1年間参加することにしたんです。

ボランティアに参加したのは、山岳民族と仲良くなりたいからでした。

昔から、民芸品や民族衣装が好きだったんです。
タイに来てからは特に山岳民族の存在が気になっていて…。

だから、ボランティアに参加して、山岳民族の人たちと友達になりたいと思って!

滞在中の写真


ー元々、国際貢献に興味があったんですか?

国際貢献に興味はありました。お世話になったタイに恩返ししたい気持ちもありましたし。
今の活動は国際貢献につながっていますが、結果的にという感じです。

私は山岳民族に興味があるんです。
大好きなんです。

神秘的に感じるというか、自分たちとどんな違いがあるんだろう?と興味が湧くんです。

存在自体に興味を持っています。

親しい関係性が伝わってくる写真

ーbondoiを始めたきっかけは何ですか?

カレン族のスナーさんという女性の存在が大きいです。

元々、スナーさんの妹のメイさんと私が友達で、ある日メイさんの実家に招待してもらったんです。

スナーさんとは、その時に出会いました。

その時、ちょうどスナーさんが機織りをしていて、私が興味津々に写真やビデオを録っていると、その出来上がったバッグを「あげる」とくれました。

それがこのバッグです。

そんなスナーさんの服を、日本に帰っても売ってほしいと、妹のメイさんにお願いされたんです。

「彼女はこれまで辛い経験をしてきたけど、作品が日本人に喜んでもらえれば、彼女の生き甲斐になるから!」と。

同時期に、Thai Tribal Craftsにも、ボランティアが終わっても、タイの山岳民族が作ったものを、日本で販売し続けてほしいと言われていました。

自分自身も帰国してからも支援を続けるためには、日本でネットショッピングを開くのがいいかなあとぼんやり考えていたので。

なら、やるしかないか!やるか!と始めました。

ーショップを始めることに、不安はなかったんですか?

ボランティアの時に、販売する流れはわかっていたので不安はなかったです。

もし、売れなくて在庫を抱えてしまうことになっても、可愛いからきっと日本でも売れると信じていました。

たとえ、売れなくても自分自身が可愛いと思うものだから、自分で持っててもいいかなって。

好きだと言ってくれる人にプレゼントしてもいいかな、と思っていました。

モン族のクッションカバー
綺麗な刺繍が特徴 アカ族のクラッチバック


ー売れないという不安よりも、可愛い!という気持ちが強いんですね。

彼女たちのために買うんではなくて、彼女たちの文化や暮らし、伝統にリスペクトを持った対等な
関係があるからこその考えですね。

ーアイテムはどのように選んでいるんですか?
澤田さんが色やデザインをお願いすることはありますか?

基本的にデザインは現地任せなんです。

こちらからは、数と大きさと柄や色のイメージを伝えるだけ。

私自身、デザインを伝えるほどの知識があるわけではないし、頼んでないデザインが届くこともあるので。笑
今は好きに作ってもらっています。

ー民族が大好きな澤田さん。推しの民族がいるんですよね?

そうなんです!ラフ族が推しです!笑

ラフ族は、こんなカラフルなパッチワークのアイテムを作る人たちなんですけど

パッチワークが可愛い ラフ族のポーチ

優しいし、家族思い。
私のこともとっても大切にしてくれました。
そして、面白くて大胆で、なんといってもご飯が美味しい!!笑

名刺の裏には、ラフ族の村の写真を使っているんです。

ボランティア中、特にラフ族カレン族との交流が深かったんです。

カレン族はbondoiの生みの親でもあるスナーさんの民族です。

山岳民族同士は話す言葉は違うけれど、みんな仲良し。

でも、共通言語として、タイ語の教育が進んでいます。

それによって、民族の言葉が失われつつあるんです。
民族の言葉を残していくために、子供たちは教会でそれぞれの民族の言葉を学んでいます。

リス族のコースター
アカ族のコースター

素人目では見分けがつけるのが難しい…
民族愛に溢れる澤田さんは
それぞれの魅力を、目をキラキラさせて語ってくれた。

ーbondoiは現地と直接的なやり取りをされていますが、澤田さんのフェアトレードに対する考えを教えてください。

フェアトレードについてはまだまだ勉強中です。

私はただ、山岳民族の伝統が続いてほしいと思っています。

こんなにすごいものを作れる彼女たちを、心から尊敬しています

だからこそ、お金にならないことを理由にもの作りを諦めて欲しくない、と思っています。

現地では伝統の継承が進んでいません。

高度経済成長期の日本と同じように、伝統=古いと思われています。

現代に通じるおしゃれなデザインにしていきたいと思っています。

ー先日、若い女性に人気のkastaneでバッグを販売されていましたよね?

嬉しいことに、たくさんの方に手に取ってもらえました。

作り手さんたちにもこの結果は伝えました。

作り手さんたちにも世界で通用するということを知ってほしいし、日本人にも山岳民族についてもっともっと知ってほしいなと思っています。

kastaneで販売したカレン族のバッグ

ー今後、やりたいことはありますか?

bondoiを大きくしたい。

そして、現地にもっと注文を増やしてあげたいです。

kastaneへの出店で、間口を広げることはできました。
でも、それによってインスタのフォロワーがぐんと増えたわけでもないし、売り上げが増えたわけではない。

商品を手に取ってもらった方に、bondoiや山岳民族にも興味を持ってもらうために、インスタや
Shopをおしゃれにしていこうと勉強中です。

帰国するときに餞別でもらったワンピース
カレンシルバーとの相性もいい

ー大切にしていることや考えは何ですか?

自分の直感を信じることです。


民族への深い愛と、民芸品それを作る人たちへのリスペクトに溢れている澤田さん。

澤田さんの原動力は、『民族への究極の愛』だなと感じる場面が何度もあった。

フェアトレードについては、まだまだ勉強不足で…と謙虚な姿勢を見せられているが、
澤田さんのフェイスブックでは、フェアトレードに対する生産者との関係について、このように綴っている。

私は個人的にとりあえず作り手さんとのフェアな関係を目指してます。

作り手さんとやりとりする中で感じるのは、作り手さん本人もフェアな対価がいくらか全くわかっていないこと。

特にお世話になっている作り手さんの提示価格に従うと逆にフェアじゃない取引が発生します。

なので、買い手のはずの私がたまにお説教します。

安すぎる値段を提示してきたらこっちから却下。
頼んでもないのに向こうが勝手にする値下げも却下。

(以上、bondoiのFBより一部抜粋)

このお話を聞いて、これぞ『フェアトレードだな』と感じた。

お金のやり取りではなく、生産者とのフェアな関係に重きを置いている。

本来、作り手と買い手の関係は一緒にビジネスをする仲間であるから、対等であるべき。
そのパワーバランスが崩れてしまうことで、買いたたきなどのフェアじゃない取引が生まれてしまう。

私自身、インタビューを通して、フェアトレードの本質に改めて気づく機会になった。

澤田さんのインスタグラムでは、作り手さんのことを“お友達”と紹介されている。

現地で過ごしてきた時間が長いからこそ、澤田さんにとって作り手さんは友達や家族のような存在なのだろう。

ショップを始める時にも一切の迷いなし。
「なんとかなる!」の柔軟な楽観性と、「私がなんとかしてあげる!」の強い包容力

大切にされている自身の直感と、これまでの経験や努力。
これらが掛け合わさることで、bondoiのさらなる躍進への力になるだろう。

澤田さんのインスタグラムはこちらから。
魅力あふれる山岳民族のアイテムや、現地の様子なども配信されています。



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instagram @ft_lady

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