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アメリカ航空宇宙学会でUAPセッション! UFO学者と協力すべきか議論😅

アメリカ航空宇宙学会 (AIAA) は、91カ国約3万人の個人会員と95の法人会員を擁する、世界最大の航空宇宙関連専門学会で、8月2日から5日間に渡り、年次総会である AVIATION Forum が開催された。
スポンサーは、ロッキード・マーティン、ボーイング、ノースロップ・グラマン、NECとなっている。
そのフォーラム内で行われた数多くのセッションの中で、「未確認航空現象の科学的研究のための提言 - 航空安全を中心とした技術的視点」と題する、パネル・ディスカッションが、同6日に行われた。
「航空宇宙管制管理および設計工学」トピックの、テクニカル・パネルに分類され、アジェンダには、
「航空宇宙コミュニティに情報を提供し、未確認航空現象(UAP)として認識されている物体を予測する、技術的に専門的な研究を行うことを提唱するために、技術プレゼンテーションとパネルディスカッションを行います。
本セッションでは、未公開映像、レーダー観測、実験、パイロットの直接遭遇などをもとに、UAPの技術的特徴や飛行安全への影響などについて議論します。
この現象の背後にあるアクター(操縦者?)や、周辺理論(疑似科学?)についての推測は、予定/許可されていません。」とある。

パネリストには、NASAとESAの科学者、技術者のほか、2014~15年に米東海岸で演習中にUAPを目撃した、空母USSセオドア・ルーズベルトの飛行隊パイロットだった、ライアン・グレイヴズ氏も加わっていたが、彼は、航空工学修士でもある。

オンラインでの学会員視聴者は100人近かったというから、専門会議のセッションとしては盛況だろう。

AIAAの航空交通管理統合委員会委員長のエドワード・スタントン氏は、5時間近くに及ぶセッションの司会を務め、同委員会とAIAA全体がこの新たな安全状況を真剣に受け止める必要性を強調した。
パネリスト達は、過去にUAPを研究した科学者達の歴史から、現象の背後にある物理法則の検討、軍民のパイロットから報告されるニアミスの増加など、UAPに関するさまざまなトピックについて発表した。
情報サイト The Debrief が詳報している。

ラヴィ・コパラプ博士

NASAゴダード宇宙飛行センター惑星科学者
「UAPの科学 - 過去と現在」
科学的な観点からUAP現象の歴史について紹介し、1950年代のUAP(UFO)事件(1952年羽田基地の事件を含む。)につきAIAAでも1971年に報告されていた事や、1969年にアリゾナ大学の大気科学者、ジェームス・マクドナルド博士が行なったUFO分析を例に挙げ、「誤認かどうかに関わらず、科学者の間ではUAPの性質についてオープンな議論が行われていたし、それで汚名を着せられる事はなかった。」 と述べた。
また、空気力学的な解析を試みた後、全てのUAP事件を説明できる単一の答えはなく、多様な科学、技術の専門家が必要であると主張。

ケビン・ヌース博士

ニューヨーク州立大学アルバニー校 物理学准教授,元NASA研究員
「UAPの飛行特性と物理学」
現在、UAP研究団体UAPxで活動している事を紹介し、SCUで分析されたUAP動画(過去記事参照)などを改めて詳細に説明。
ニミッツ事件で、28,000フィートから急降下した Tic Tac が示したエネルギーは、巡航ミサイル並みのTNT火薬100トンに相当することや、ルーズベルト事件のUAP (Go Fast) が非常に低温だった可能性、衝撃波が観測されないのは、プラズマ・ビームを放出しているからではないかという仮説などを紹介した。

ピーター・リアリ氏

UAP研究科学連合(SCU理事、電気工学者
「2004年USSニミッツUAP遭遇事件で証明された、異常な空気力学」
ヌース博士と同じく、ニミッツ事件のUAPの運動力学的な分析について、さらに詳細に解説。
Tic Tacの加速度は40G以上であり、エネルギー換算では、原発の発電量や、TNT火薬1キロトン、即ち戦術核兵器に匹敵する結果も出たと述べた。

テッド・ロー氏

異常現象に関する全国航空報告センター (NARCAP) 研究担当ディレクター
「UAPと民間航空:研究と擁護の20年」
一般にはあまり知られて来なかったが、NASA研究員でUFO研究家でもあった、リチャード・ヘインズ博士と共同で、1999年に設立したNARCAPは、民間と商用航空機の乗員や管制官が目撃したUAP報告を、FAA(連邦航空局)が長年受け取ろうとしなかったので、FAAに代わって20年間収集、分析していると説明。1916年まで遡る、1300件のパイロット目撃情報も収集したという。
これらUAPは通常、民間のレーダーに映らないので非常に危険だと訴えた。
また、電磁(EM)干渉がUAP目撃と関連しているとし、ヘインズ博士らの研究によると、NARCAPに報告されたうち、パイロットが機内電気システムの故障を記録した57ケースすべてで、UAPは光の球として描写されたと述べ、注目を集めた。
実際に、UFO、UAPによって引き起こされた衝突事故があるか質問されると、マンテル大尉機墜落事件(1948年)※や、アラバマ州でのセスナ機の事故をあげたが、確証のあるものはないという。

フィリップ・アレリ氏

欧州宇宙機関(ESA) プロジェクト・コントローラーUFODATA理事
「航空安全上のハザード軽減:UAPのより良い検出と特性評価に向けて」
まず、航空業界で長年続いたスティグマ(汚名、蔑視)の問題をなくす事は、UAPだけでなく、超高層雷放電のような大気自然現象の発見にも繋がるので、重要だと訴えた。
また、地上でのフィールド・ワークの例として、ノルウェーで1980年代から調査が続けられている、「ヘスダーレンの光」を取り上げ、物理学的に解明されれば、新たなエネルギー開発に利用できる可能性があると述べた。
そして、地球観測衛星(EO)などの既存の衛星アーカイブは、十分に高解像度な画像の膨大なデータベースであり、衛星打上げ数も増えているので、UAPの探索に利用できると提言。
実際に航空機を判別した例を示し、検索にはAI技術が利用出来るとした。

ライアン・グレイヴズ氏

元米海軍パイロット、防衛産業研究開発主任研究員
「目撃証言。海軍戦術機による、未登録機(Non-Participating Aircraft)の持続的検出(2014年~現在)」
グレイヴズ氏自身が東海岸で飛行中にUAPを目撃した状況について詳細に語った後、UAPTF(タスクフォース)がDNI(国家情報長官)レポートで、2年間に11件のニアミスがあったと書いている事をあげ、これは継続中で、日常的な航空安全上のリスクだと訴えた。

個別の発表の後の最後のプレゼンテーションには、パネリストの中からグレイヴズ氏が選ばれた。

グループの代表として彼は、AIAAと多くの会員に正式な提言を行なった。 
まず、DNI報告書は、UAPの中には実在する物体があると指摘している事をあげ、UAPを科学的に研究する事に汚名を着せるべきではなく、そのために、キーとなる科学・航空宇宙関連会議を追加する事。
また、必要なデータ収集方法や機器を見い出すために、異なる分野の専門家で構成されるパネル、および、国民への開示と理解のために、非機密データを収集整理する責任を負う、民間科学者パネルの設置を、議員に働きかける事。
最後に、UAPに関する過去のデータの利用可能性が重要であるとし、査読付きの科学的分析のために、UAPに関する非機密のセンサーデータを日常的に利用できるように、ルーチンを確立する事。
それには、標準化されたUAP報告プロトコルをFAAで作成することで、民間航空機の乗務員は、(キャリアへの)報復を恐れることなく安心してUAPに関連する航空安全報告を提出できる事などを提案した。


実は、FAAは既に方針を改めようとしていた。


科学者はユーフォロジストと協力すべきか 

録画には含まれておらず、Debrief が、セッションの正式な勧告ではないとして伝えているところでは、将来の取り組みにUFO研究家を含める事の長所と短所が議論されたという。
ほとんどの人がスティグマ問題に関する懸念を指摘したが、実際に研究を実施する前に、対象となる現象の歴史的背景をまず理解する事が、あらゆる科学的事業における標準的慣例であるという点では、全員が同意した。
「科学者が、そこに立ち入りたくない事は理解しています。
しかし、問題は、科学者がこのテーマを75年間研究していない事です。
我々は75年間これらの事を知っていたが、科学的に研究されて来なかった。
そしてそれが、疑似(知ったかぶり)科学者がやって来る真空を残しました。」
と、ヌース博士は述べた後、話をこう進めた。
「研究していない科学者に落ち度があります。
現時点で、この件について何かを知っているのは、疑似科学を研究してきたUFO研究者だけです。
もし、あなたが何かを始めたいと思っていて、自分が何を扱っているのか知りたい場合、外に出て望遠鏡で観察する前にしなければならない事の1つとして、人々が何を知っていると思っているのか、ある程度把握しておく必要があります。
そのためには、自分が望む専門知識ではなくても、それをもつ誰かを探す必要があります。」
チームに少なくとも1人か2人の選ばれた「UFO専門家」がいることは、おそらく害よりも良いことになるだろうとパネリストや参加者の多くは、同意したようだった。


セッションの録画はこちらに纏められている。

感想

Debrief の記者も書いているように、数年前迄なら、このようなテーマの学術会議を開いただけで、メディアなどから嘲笑されたに違いないが、今回は、何ら他の会議と変わらない調子で開催、議論されていた様子が伺え、実に興味深い。
部外者には理解出来ない技術的な話も多く、刺激の少ない内容にさえ思えるかもしれないところが、まさに専門家会議たる所以だろう。
しかし、何処からも管制されていない物体が実際に空を飛び回っているならば、航空機にとって危険極まりないという主張は、今まで何故問題にならなかったのか不思議なくらいもっともな話だ。
いずれの発表者も、前回記事のハーバード大教授と同様、一にも二にもデータが必要だと言っているのも当然と言えば当然で、特に地球観測衛星の利用は、関係する会員も少なくないだろうから、期待が持てるかもしれない。

ただ、ユーフォロジストの立場からすると、最後の非公式な議論が最も気になる。
若い科学者は、自分達の知らない事例を知りたいだけだろうから、個人的な解釈抜きで情報だけくれ、という話になりそうな予感もする。
半世紀以上、無視しておいて何を今さらと思う人も多いかもしれないし、
特にプロで研究している人達は、自分の足で歩いてコツコツ集めた情報で飯を食ってきたのだから、急に教えてと言われても只では困るかも(^^;
また、一つ分かった気がするのは、スティグマはいけないと言っているのは、あくまで、パイロットや一般の目撃者、科学的な研究者に対してであって、疑似科学やオカルト的な話をする人達はまた別、と考えている人が多そうな事だ。
まあ、それも分からなくはないのだが(笑)、上から目線とか色々なしがらみは抜きにして情報共有出来たとしても、果たしてデータ分析から何が分るのかという疑問も湧いて来る。軍や民間機にUAP警報?とか出したりするのだろうか。笑

実は自分も企業に勤めていた時はエンジニアで、科学者の人達とも仕事をしたから、彼らのやりたそうな事は大体想像がつくのだが、UFO/UAPは自然現象でない事は分かった訳だし、まして社会現象でもないのだから、従来の研究方法、つまり仮説を立てて実験や観察を繰り返す事で分かる事は、限られるのではないだろうか。

また、そういうやり方に慣れていないユーフォロジストとの共同研究は、互いに長年染みついた思考習慣をなかなか変えられないだろうから、正直困難と思われる。(自然科学者と普通の人文社会学者とでさえ難しそう。)
あるいは、一部のユーフォロジスト兼科学者の人達に頼るかもしれないが、科学から離れると一足飛びにスピな話をする人が多いから逆に心配になる(^^;

もし、UAPの正体を"科学的に"探る可能性があるとしたら、ユリ・ゲラーらの能力者に対して行ってきたような、リモート・ヴューイングやテレパシー交信実験をもし公開できれば、有益な進展がありそうな気がするのだが。(過去記事参照

いずれにせよ、Debrief の記事に、ハムレットのもじりで、
"TO UFO, OR NOT TO UFO"という見出しがあったが、
「UFOなのか、UFOではないのか、知りたいのはそれだけだ!」が一般人のホンネなのだと思うけどネ。

まあ今回の会議のような動きも、官製ディスクロージャーの一環なのかもしれないが、70年以上昔に戻って、また一から研究している間に、スポンサーのロッキードが白状するか(過去記事参照)、地球外生命体から正式なコンタクトが申し込まれて終わり、をむしろ期待したいのが正直なところだ。


※ 尚、マンテル大尉事件の真相は、ジョージ・アダムスキーが異星人から教えられたと伝えていて、大尉の機体が巨大なUFOに接近しすぎたために、UFOを保護していたフォース・フィールドと呼ばれる電磁気的な力場に大尉機の翼が引き込まれ、空中分解してしまった、UFOとの本物の接触事故であり、異星人側も大変遺憾に思っているという。


UFOと宇宙問題について長年学んでまいりました。出来るだけ多くのかたにお知らせしたいと思っておりますので、ご協力いただければ幸いです。