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ついに公開! UAPレポートは「錦の御旗」となるか

期限通り公開された、UAPタスクフォース・レポート

アメリカ東部時間の6月25日、国家情報長官オフィス(ODNI)が、UAPに関する「予備的評価」という形で、UAPタスクフォースの報告書の非機密版を公開した。
9頁(実質6頁)のPDFファイルで、誰でもダウンロード可能となっている。

もっとも、議員らに対しては、事前に機密版を含めて説明会も行われており、

一部内容がリークしていたので、サプライス的な内容は含まれていなかった。
公開報告書の内容は、CBSと日本でもNHKなどが速報で解説しているが、

他からの情報も混じって分かりにくいため、全文の機械翻訳を多少手直ししたものを、noteでは見づらくなるので、拙ブログのほうに掲載した
今後、特に国内メディアがおかしな記事を書いていないか、これでチェックできるだろう。

公開報告書のポイント

内容について、自分なりに気になった点を簡単にビックアップすると、
・これはあくまで「予備的な」評価であり、調査は今後も続ける。
・今回の調査は、2004年11月、つまり「ニミッツ事件」(前記事参照)以降、今年3月までに起きた事例に絞っている。
 (つまり、それ以前のUFO/UAP事件は全く含まれていない。)
・報告データが不足していて、UAPの性質や意図についてしっかりとした結論を出すことはできていない。
 (そりゃ、対象期間絞ってるし。)
 ただし、2019年3月以降は、海軍が報告方法の標準化を行い、空軍も採用している。
・報告されたUAPの大半は、複数のセンサーで記録されていることから、おそらく物理的な物体を表していると思われる。
 (国内の大学教授が「渦」とか言ってたような。)
144件の報告のうち1件のみ、風船を誤認したものと分かったが、その他は原因不明である。
・航空機とUAPとのニアミスが11件報告されていて、明らかに飛行安全上の問題を提起しており、米国の国家安全保障にも影響を与える可能性がある。
・ほとんどの報告でUAPは、軍事活動を妨害する物体であるとしている。
・社会文化的なスティグマ、つまり、UAPを観測、報告したり、議論しようとしたりすることに関して、蔑視されること(disparagement)が、UAPのデータ収集の障害となっている。
 (自分らでやっておいて、まるで他人事のように。)
・米軍のセンサーは一般的にUAPの識別には適していない。
 (反応しないこともあるという。)
・18件のインシデントで、UAPの異常な動きや飛行特性が報告されている。
 (これは思ったより少ない。)
・UAPは単一の説明はできないので、5つのカテゴリーに分類した。
 即ち、「空中浮遊物」「自然の大気現象」「米国政府または産業界の開発プログラム」「外国敵対勢力のシステム」「その他」
 (ETクラフトは、その他?)
・「米国政府または産業界の開発プログラム」は今回、含まれていなかった。
 (断言するわけね。)
・現在、UAPが外国の諜報計画の一部であることを示すデータや、潜在的な敵対者による主要な技術的進歩を示すデータはない。
・UAPTFの長期的な目標は、作業範囲を拡大し、空軍や、連邦航空局(FAA)などからの、追加のUAPデータを分析に含めることであり、人工知能/機械学習アルゴリズムも用いる。
 (中国に先を越されて、悔しいのかな。)
・研究開発への投資拡大が必要。
 (予算増やして、が結論?)

以上、ということで、今月初めには一部で、ハイパーソニック(極超音速)兵器だと思わせるような報道もあったが、日本にも大勢いる航空・ミリタリーファンをナメてるだろという話で、軽信しないようにしたい。

2つの大きな意義

期待された新たなUAPビデオ(既に公開された4~5本は、「大したことない」ものを選んでいるという。)などの証拠資料は、すべて機密版のほうに入っているようだし、また公開報告書には、"extraterrestrial"(地球圏外の)という言葉も一切出てこないので、UFOコミュニティーの間では、がっかりな内容とする意見も見られるが、今後もリークはあるだろうし、本報告書の意義を、はっきり言って、「全然分かっていない」と思う。

まず1つ目の大きな意義として、アメリカ政府のUFOに対するこれまでの公式見解は、プロジェクト・ブルーブック(1952~1969年)の終了時に発表されたもので、当時報告された12,618件の目撃情報のうち、701件が未確認のままであったが、
「空軍が報告、調査、評価したUFOで、わが国の安全保障に脅威を与えるものはない。」
「地球外の乗り物であることを示す証拠はなかった。」
として、あとは民間で調査したければどうぞと、表向き、政府は手を引くという事にしてしまった。
しかし民間で真実に迫るような調査をすると、諜報界から妨害されるという状況が半世紀も続いたのである。
ところが今回、過去の経緯を無視することで(UFOとUAPは違いますという官僚思考をある意味うまく使って?)、「国家安全保障上の脅威はない」から「あるかもしれない」に変わった意味は計り知れない。
再度「ない」と言い切れるまで、政府と軍が関与しないわけにはいかないのだから、まさに歴史的転換と言えるだろう。
実際、Kathleen Hicks 国防副長官は、報告書の内容を受けて早速、ペンタゴンに対し、UAPTFの拡充を計る指示を出したようである。

既に、フロリダにUAP追跡基地建設中?という未確認情報も。
(ウルトラセブンの世界?)

また、今回の最大の功労者と言える、ハリー・リード元上院院内総務(前記事参照)も、これは最初の一歩に過ぎないと強調している。
イギリス、カナダなども、以前からアメリカに追随する姿勢を示しており、ロシア、中国もまた独自に調査を進めていることから、場合によっては、国連の場で協議される日が来るかもしれない。
宇宙作戦隊作った日本はどうするのですかね。自衛隊にも目撃者は多数いるらしいけど。

UFO問題を嘲笑することは、もはや許されない

2つ目の意義は、UFO目撃・報告者に対する「スティグマ」(差別、偏見)が調査の妨げだと、明記されている事だろう。
長年、UFOコミュニティーにいる者としては「お前が言うか。」と言いたくなるが、これまで、はっきり言って「敵側」だったペンタゴンが、なんとこちら側に「寝返った」と言っても過言ではない。
UFOコミュニティーは、まさに「錦の御旗」を手に入れたのだろうか。
今後は、UFOの話題が出ただけでニヤニヤするような者に対しては、「ペンタゴンの妨害をしている!」と言ってもいいだろう。(言わないけど、笑)
いや冗談ではなく、LGBTの人達に対する差別的な態度が、今はもう殆ど見られなくなったように、UFO/UAP問題をただ単に冷笑するような事は、やがて社会的に許されなくなるだろう。
実際、ニミッツ事件のレーダー・オペレーター、ケヴィン・デイ氏(前記事参照)が、キャリアに傷がついたとしてペンタゴンに謝罪要求している。ごもっともだが、今後訴訟の嵐?
勿論UFO/UAPを否定してはいけないというのではなく、オカルトではない現実問題として、取り上げるなら真面目に議論しなければならないということだ。
昔のように、少年誌とかもガンガンとり上げて欲しいね。親からクレーム来たら、「ペンタゴンが許可しています。」とかなんとか。笑

ネクスト・ステージは、科学界か

と言いつつ、やる気満々になっているペンタゴンとUAPTFには悪いのだが、
例えAIを使おうが、今のままのやり方を続けても、またブルーブックの繰り返しかもしれないし、結論が出る前に世界が終わってしまうかもしれない(^^;
そこで注目なのが、最近就任した、ビル・ネルソンNASA長官の、UAPに関する発言である。

まず、ジョージ・ナップ氏も出ている超常サイトのインタビューに、NASAの長官が真面目に答えている時点で驚きなのだが、ネルソン長官は、下院議員になってからスペースシャトルに搭乗した経験(1986年)を持つ、異色の政治家で、上院情報特別委員会で、UAPに関する報告を直接パイロットから聞いたという。
それで、長官としてNASAに来たとき、科学者たちにこの現象を科学的な観点から調べるように命じた!と言っている。
これまでNASAは、UFO/UAP問題に対しては、全く関知して来なかったはずだから、これも大きな方向転換だろう。

また、TicTacなど3本のUAPビデオは自分がリークしたと主張している、
クリス・メロン氏(前記事参照)も、「エイリアン仮説を忘れてはならない」とし、次は科学者の出番だというような声明を出している。

メロン氏は、ある大物の懐刀の疑惑があるので、今後も注目していきたい。

1980年代には、地球外知的生命体探査(SETI)の推進に貢献した、カール・セーガン博士という天文学者が、「コスモス」という科学ドキュメンタリー番組の司会で有名となり、地球外生命の可能性を語りながらも、一方で、UFO否定論者として活動していたから、50代以上なら、博士の影響で否定的意見を持つようになった人も多いのではないだろうか。
80年代はそのような、正統科学による"教育"の時代だったと言えよう。
しかし実は博士も、若いころはUFOに興味を持ち、プロジェクト・ブルーブックの評価委員会にも選ばれていたのである。

今後は、オウムアムアは宇宙船だと主張している、ハーバード大学の
アヴィ・ローブ教授のような人が、逆の役割を果たすのかもしれない。


以上、私の記事を初めて読まれた方は、マガジンの過去記事も参照してください。

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