環境と共に生きる事で豊かさを得る
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環境と共に生きる事で豊かさを得る

写真は約10年前に建てた両親の住宅、いわば僕の実家になります。

建設地は石川県能美市。

石川県は冬は寒く、冬季はもちろん雪に覆われます。
石川県では年間170日ほど雨が降ります。なので年間を通じて湿度も高く夏の暑さも相まってジメジメした蒸し暑い日が続きます。

そのような環境の中、両親はエアコンを全く使わずに、冬も低温設定の床暖房だけで十分に快適にこの家で過ごしています。

今ある環境循環の中に生活空間を溶け込ませる。

広く跳ね出した軒は夏には直射日光の侵入を防ぎ、冬には太陽高度の下がった暖かな日差しを多く受け入れる。(12月でも天気の良い日は床暖房も使わずにリビングは暖かく、その暖かさは深夜にまで保たれる。)
大きな開口部と換気用に適宜配された窓からは年中心地の良い風の通り道を作り出す。
設置された木製建具は完全な気密性は望んでおらず、経年により生まれる微細な隙間風は室内の自然な換気を促す。その隙間は容易に塞ぐことはできるものの閉じる必要は全くなく、現代住宅で起こりがちな乾燥や結露からは無縁の環境を作り出す。
もちろん木による断熱性能は樹脂よりも断然高い。
年中降り続く雨は樋から接続する大きな樽に貯水し、植物への散水や暑い日の打ち水として利用する。
太陽光から得られる無限の力は太陽光発電により姿を変え、この家のインフラを支えている。


これ以上に何が必要であろうか。


これらは何も最新の技術によりなされる環境ではなく(床暖房と太陽光は別として)、むしろ古典的な、環境と共に育ってきた日本建築の持つ特性を借りたにすぎない。

2020年、一定規模以上の建築に対する省エネ基準義務化が決定し、法制度や政策が整備されてきているが、これらの考えの根底にあるのは外部環境と内部環境との遮断であり、共生とは程遠いものである。

それはまるで、東北震災時に築かれたスーパー堤防のような儚い発想と同じように見える。

現代の様々な建築建材の進歩は素晴らしいとも思うし、現在実家に使われているサッシや空調設備や換気設備、断熱材等は10年の時を経て古き技術の寄せ集めになってしまっているのかもしれないけども、この家の緩やかな快適さは格別である



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西和人/Archlife

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建築家|Archlife主宰|株式会社西和人一級建築士事務所|金沢科学技術大学校非常勤講師|日本建築士会連合会青年委員会|Hp:https://archlife.jp|Insta:https://www.instagram.com/kazutonishi_architects/