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一階の作り方 能登被災地視察を振り返って

能登の被災状況をみて耐震設計について考えたこと。

最近では開放的なエントランスを実現するため、高耐力の幅の狭い耐力壁も提案されていますが、個人的にはこう思います。
木造の耐力壁の壁倍率は強度や初期剛性といった複数の要素から決定されます。
実験では高い初期剛性が見込まれるとしても、現実の建築物として長期間、経年変化に晒されるものがいつまでも固く堅牢な壁であるとは余り思えません。

あまりにも机上の計算に則って必要な耐震壁を狭くしすぎると、柔らかい壁が2階の重量でユサユサと振られて、一階が層破壊する、そんな壊れ方をイメージしてしまいます。

私は柔構造を良いと思いますが、固めることが前提の壁構造では、やはり自然素材である木のこと、そして建築が長い時間で経年劣化していくことも考慮に入れる、感覚や感性がとても重要だと思っています。

能登でも同様に、道に面した一階で壁量の少ない建物の倒壊が多くみられた。
計画の中にものとしての強さも織り込まれると人を守るいい住宅になると思う。

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