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【11週目】 今週、社内で話題になった事例。(コンワダさん)

こんにちは、株式会社アーキロイドの津久井です。

先週とうとう2桁回に(10回)に突入してちょっとやりきった感に浸った筆者ですが、次に桁が増えるの(100回)は2023年8月4日金曜日だそうです。筆者そんなに頑張れないかも。バックナンバーはこちら

さて今週も社内で話題になった事例から、いくつかを紹介します。

事例1:地球のデジタルツインを開発する豪Blackshark.aiが約22億円を調達

【概要】
 Blackshark.ai(ブラックシャーク・エーアイ)は、Microsoft Flight Simulatorに搭載されている「デジタル地球」を開発した企業です。「地球のデジタルツイン」の潜在的な用途は多様で、同社はGoogleのようなマッピング大手より先行しているそうです。

▲2020年の記事。当時すでにFlightSimlatorで、驚くほど正確な地球が再現されていました。

 同社が構築した機械学習システムは、住宅地と商業地の別、屋根の種類(傾斜屋根か陸屋根か)、空調設備の有無などの要素を考慮し、輪郭を推定し、3D再現を行います。地球上のすべての建物の3Dモデルを計算するプロセスはたったの3日だそうです。元々約1ヶ月かかっていたので1/300の短縮です。
 リアルな「キャンバス」を提供するという点では、表面的にはGoogleやAppleの3Dマップに似ていますが、目指す方向性が違います。GoogleMapは「ローカルビジネスのためのキャンバス」で、場所、レビュー、道順などが大事です。一方でBlackshark.aiは「現実世界のキャンバス」です。例えば、気候変動による洪水予測のためにシアトルの3Dデータを提供し、流体シミュレーションの専門家が、キャンバスとしてそのデータの上で研究を”描く”事ができます。サンディエゴのとある地区で利用できる平らな屋上の総面積は?4000㎡の空きスペースがある地方空港は?こうした問いに答えることができます。

「政府機関、災害救助、スマートシティ、自動車や飛行機などの自律型産業などで応用できます。これらの産業はすべて人工的な環境を必要とします。単に『これをやりたい』ということではなく、必要とされていることでした。そして、この2D-3Dは巨大な問題を解決する唯一の方法なのです」(CEOプッツ氏 記事より抜粋) 

 調達した資金はプロダクトのブラッシュアップではなく、市場投入に向けて使われるようです。「3D合成地球の世界的プロバイダー」になるために!

【アーキロイドポイント】
 地球上全ての建物の3Dモデルが3日とは驚愕ですね。時間軸を伴う真の意味でデジタルツインの地球実現に最も近いと感じました。
 例えば、(デジタルツインとは違いますが)GoogleMapで国宝『松本城』を見てみましょう。ストリートビューの最新は2010年11月、実に11年前です。NYタイムズスクエアを見てみると、こちらは2021年8月、つい最近ですがそれでも3ヶ月前の写真です。3日に1度地球全体のデジタルツインを作れるというのが、これまでの常識からすればいかに”リアルタイム”なことなのかがよく分かります。

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▲上:松本城 @Google
 下:NYタイムズスクエア @Google

 どれだけ筆者が驚いたかというのをお伝えできたところで、「これまでもこれに関連する事例を取り上げてきたぞ」というお話をさせてください。大雑把に分けると都市の精巧な3Dモデルを作るデジタルツイン系や、多様な情報(気候、緑化率、交通データなどあらゆる情報)を取り扱えるWebMap系の事例を紹介してきました。一貫して、いずれarchiroid.comにも利用していきたいという思惑でウォッチしています。

▼これまでコンワダさんで取り上げた関連項目
1.株式会社スペースデータ(コンワダ1の事例3
2.Mapbox Tiling Service(コンワダ3の事例1
3.toMap beta(コンワダ4の事例1
4.PLATEAU(コンワダ4の事例1内で言及)
5.Google Tree Canopy(コンワダ5の事例3
6.天地人コンパス(コンワダ6の事例1) 
▼その他関連記事、事例
7.ドラレコの映像からリアルタイムの都市のデジタルツインをつくるNexar
8.Synspective

 当社は住宅を設計、評価、内覧、比較、検索できるWebサービスarchiroid.comを提供しています。現在設計できる敷地は1つしかありませんが将来的には、archiroid.comはあらゆる敷地で自由に設計できるようにしたいと考えています。
 そのために必要な情報は主に、①正確な敷地形状(公図、地積測量図など)、②法規情報(用途地域や条令など)、③地図・地理情報(WebMap、GISなど)、④周辺環境の高精度な3Dモデル、の4種類です。
 ①②が一般的に建築の設計、検討が可能になる条件で、③がればより広域的に敷地、そこに建つ住宅への評価が可能になり、④によって現実の都市、自然環境と(視覚体験的には)同等レベルの検討が可能になります。
 ①②はローカルな社会環境情報で、行政が整備しています。③④はグローバルなデジタル情報で、民間企業が作っています。あらゆる施策を情報環境で仮説検証するための”キャンバス”として需要が顕在化してるので、世界中の民間企業がこぞって開発しています。(日本国内のローカルPJとしては国交省のPLATEAUもあります)
 このように現状①~④の情報は、扱うプレイヤーが官民の別も含めてそれぞれに独立しています。とても他力本願な話ですが当社としては、①②がAPIで叩けるように公開され、③④を開発している各国企業のサービスが日本もカバーした状態でサービスローンチしてくれると理想状態です。(①②の情報が公開されれば、③④のシステム上にその情報は付与されそうですが)

事例2:あつまれどうぶつの森「ハッピーホームパラダイス」

【概要】
 大人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森」の有料追加コンテンツ(11/5配信開始)です。プレイヤーは、タクミライフというリゾート開発会社の別荘コーディネーターとして、どうぶつのお客様の理想の別荘づくりをお手伝いします。
 お客様の要望を元に、島(敷地)を選択します。島によって気候だけでなく庭の大きさなども変わってきます。庭(外構)のデザインをしたら、お部屋の設計をします。部屋のサイズを決めたら、仕切壁、柱で部屋のレイアウトをし、家具、ライト、壁紙を使って部屋の中(インテリア)を作っていきます。屋根や家の形(エクステリア)も要望に応じて変更が可能です。
 ひと仕事終えると、タクミライフで給料を受け取ります。タクミライフのショップでしか変えないインテリアグッズを購入して、自宅に設置することもできます。
 新築のデザインだけでなく、メンテナンス、リフォームの仕事もあります。またお客様を招待したり、シェアハウスの提案をしたり、現実のハウスメーカーの業務さながらといった具合です。

【アーキロイドポイント】
 多くの人にとって家は一生に一度の買い物です。食事や洋服のようにこれまでの人生で好みや良し悪しがわかっているものと違い、住まいや暮らしへの要望を出すことは、顧客にとって容易なことではありませんでした。
 これまでアバターが家や部屋をデザインするゲームは、アバターとなった自身(つまりプレイヤー)の理想の家をデザイン、カスタマイズしていくというのが主でした。本事例では、プレイヤーが営業兼設計社員として、顧客の要望を叶えるミッションを背負います。ゲーム内では、ツクッターというSNSで自身の設計した作品を公開共有できる機能もあり、現実の設計者さながらです。
 また、業務で培った知見を自分の島、自分の家に持ち帰って実践することも可能です。様々な要望に応える試行錯誤を通して、自身の要望もますます顕在化していきます。あつ森なのでもちろんデフォルメされていますが、家づくりの要望を叶える作り手の立場と、そこに住まう使い手の立場の双方をロールプレイできる、素晴らしい学習環境だ!と盛り上がりました。(税込み2,500円)

まとめ

 ここ3回ほどは事例少回が続いていますが、楽しんでいただけていますか?
 事例1の中にこれまで取り上げた関連記事をまとめていて、コンワダさん事例インデックスが欲しくなった筆者です。記事としては1編ずつで楽しんでいただけるように書いていますが、一方で連載モノではすので過去記事との関連はまったくないわけではありません。noteのマガジンとしてまとめてはいますが、個々の事例やアーキロイドポイントについて、俯瞰して見れる状態にできれば便利です。とは思いますがだけで、とてもゆるい気持ちで挑んでいるので、たぶんそこまでのことはやりません。(素直)

 面白い事例があれば、コメントいただけると嬉しいです。「スキ♡」も押して言ってください。筆者が来週をウキウキ生きる糧になります。あと、誰か筆者にNintendo Switchをください。

 それではまた来週。良い週末を。

「今週、社内で話題になった事例」 について
株式会社アーキロイドの社内で話題になった事例(ニュース、リリース、書籍、動画、論文などなど)のうち、いくつかをご紹介します。元記事の配信時期は必ずしも今週とは限りません。数ヶ月前、数年前のものもあるかもしれません。

社外にこれを発信することで、
①アーキロイドメンバーが日々どのようなことに目を向けているのか、を知ってもらいたい。
②せっかく読んでもらえるなら有益な情報をお届けするために、自分たちの情報感度をもっと高めていきたい。
という目論見があります。

メンバーも大半が30代に差し掛かってきたので、備忘録という意味合いが一番強いかも。ご笑覧ください。

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