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最新家づくり事情!省エネ、断熱、充電、デジタル家造り、VR内覧の話(コンワダさん34週目)

 こんにちは、株式会社アーキロイドの津久井です。今週も社内で話題になった事例(コンワダさん)からいくつかをご紹介します。今週は事例数が多いので、ライトにポンポン紹介していきたいと思います。バックナンバーはこちら

事例1:新築住宅、2025から省エネ基準義務化

―――概要
 住宅を含む全ての新築建築物に、2025年度から省エネ基準適合を義務付ける建築物省エネ法等改正案を閣議決定しました。50年に温室効果ガス排出量ゼロ目標達成のため、省エネ対策を加速。
―――現状
◯新築建築物の省エネ基準適合率は、非住宅98%に対し住宅は81%にとどまる。(2019年度)
◯省エネ基準の義務付け(断熱性能など)は、延床面積300平方メートル以上のオフィスビル等が対象。
―――参考

▲現在の建築物省エネ法について(国土交通省)

事例2:新築戸建てやマンションに充電設備の設置義務検討…小池都知事「ZEV普及に不可欠」

―――概要
 東京都は一定規模の新築建物に、電気自動車などのZEVの充電設備設置を義務化する方針で検討を始めました(ZEV=ゼロ・エミッション・ビークル)。都は2030年に都内の新車販売におけるZEVの割合を50%まで引き上げる目標で、充電設備の普及は必要不可欠です。設置は施工者側に義務付けられ、コストは建築主側が負担する可能性がある。都の担当者は数千円の充電設備もあることや、補助制度も充実させるとしている。

事例3:CO2削減でコスパ最強なのは断熱!

―――概要
 【元ネタ】東京電力グループの公開資料
 昨日、東京電力が公開した資料の中の1ページ。カーボンニュートラルを実現するためのコスパ(CO2削減量あたりのコスト)を表しています。左下に行くほどコスパがよく、右上に行くほどコスパが悪くなります。水色のグラフが供給・素材側で、緑色のグラフが需要側を表しています。

事例1,2,3について

 事例3のグラフで事例1と事例2のコスパを確認してみましょう。事例1の新築住宅の省エネ基準の肝である断熱は一番左にあり、最もコスパが良いことがわかります。続いて事例2のZEVの充電池ですが、こちらは電化(乗用車)という項目で、こちらも左から4つ目と高順位です。画像内で述べられているように「電化(赤丸)と蓄電池(青丸)が鍵となる需要側施策はCO2削減の費用対効果が高い」事がわかりますが、電化でも蓄電池でもない「断熱がCO2削減のコスパキング」であるとは予想外です。高気密高断熱であれば寒さや暑さに強く冷暖房の使用が少なく、CO2の排出量の低減につながる。耳にタコができるほど聞いたストリーで、もちろん理解はしていますがまさかコスパ一位だなんて驚きでした。確かに、持ち家でも賃貸でも安くて断熱が弱い家だと、結局のところランニングコスト(冷暖房費)が膨らむと言うのは経験がある方も多いハズ。誰に取っても損得勘定ならわかりやすいし一番行動に直結しますよね。
 マクロにも環境問題は善意で解決できるものではないので経済原理の導入が不可欠
です。例えば環境税。最も代表的な炭素税は、欧州の数カ国では導入されて久しく、世界で最も早い導入はフィンランドの1990年です。日本で2012年から地球温暖化対策税が施行されていますが、平均的な家庭負担額は月100円と言われており期待薄です。世界的にも2018年にフランスでは低所得者層が中心となった燃料税の引き上げに対する抗議活動が起こり、2020年に日本でも業界団体である石油連盟が炭素税に断固反対の姿勢を鮮明にしています。
 排出量取引も注目度を増しています。アメリカのEV企業テスラの大成長のうらに、EU企業に排出枠を販売していたことが要因の1つであることは知られた話です。排出量取引制度(キャップ・アンド・トレード)は2000年以降欧米諸国で導入が進んでおり、日本では2010年に東京都が、2011年に埼玉県が一部運用を開始しました。
 昨今のこうした情勢を鑑みると、環境政策に後れを取る国や企業が世界市場から締め出される未来もありえないシナリオとはいえません。日本は現状進んでるとは言えない状況ですが、SDGs、ESG投資、CSRといったキーワードに敏感になってきています。一方、急速に取り入れようという反動でSDGsウォッシュという問題も起きています。だからこそ本事例のように、必然性、コスト、効果を開示することで企業も消費者も理解を深めること。納得を持って経済原理と重ねていくことが重要であると感じました。

その他の事例

その1:Nesting正式ローンチ

 デジタル家づくりサービス「Nesting」が正式ローンチされました。アプリで設計し、自然と調和した自分だけの家を発注できます。Nestingについては9週目コンワダさんで取り上げているのでぜひそちらをご覧ください。

その2:住宅3Dコミュニケーションのプラットフォーム『ROOV』戸建て版の実証実験を開始

 新築マンション販売の業界No.1コミュニケーションDX化システム「ROOV」の戸建て版の実証実験がスタートしました。こちらについては24週目コンワダさんで紹介して以来、気になっていたニュースです。従来の3DCG制作時間を90%カットするシステム「Nimbus」と、3DCGをみながら任意の箇所に付いて双方向にコメントしあえる「ROOV chat」の2つのシステムで、戸建事業者と施主のすれ違いをなくすコミュニケーションツールになるそうです。(※2つのシステムはともに特許出願中)

まとめ

 今週も最後まで御覧いただきありがとうございました。住宅産業回となりました。前半では住宅産業の環境的ニュースを、後半では住宅産業のDX化の事例を取り上げました。事例数が多かったことも有り個別の事例については足早になってしまいましたがご容赦ください。
 なお、今回のnoteでこのコンワダさん連載の紹介事例数が150を超えました。引き続き種々様々な事例を紹介していきたいと思います。最後に「スキ♡」を押して頂けると励みになります。それではよいGWを!


「今週、社内で話題になった事例」 について
株式会社アーキロイドの社内で話題になった事例(ニュース、リリース、書籍、動画、論文などなど)のうち、いくつかをご紹介します。元記事の配信時期は必ずしも今週とは限りません。数ヶ月前、数年前のものもあるかもしれません。

社外にこれを発信することで、
①アーキロイドメンバーが日々どのようなことに目を向けているのか、を知ってもらいたい。
②せっかく読んでもらえるなら有益な情報をお届けするために、自分たちの情報感度をもっと高めていきたい。
という目論見があります。

メンバーも大半が30代に差し掛かってきたので、備忘録という意味合いが一番強いかも。ご笑覧ください。

【バックナンバー】こちら


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