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一級建築士設計製図試験に見られる「わかるだろ」では伝わらないこと…出題者、受験者ともお互いに

1.注意事項で求めていること

 『「試験問題」を十分に理解したうえで、「設計製図の試験」に臨むようにしてください。』と、よく読み理解することを、試験問題の[注意事項]で受験者に求めています。

2.採点のポイントとして求めていること

 『図面、計画の要点等の表現・伝達』を、採点のポイントの一つとしていますので、「伝える力」が試されていることになります。一級建築士として備えるべき「知識及び技能」を形成するものとして「伝える力」を求めていることが伺えます。

3.相手に求める以上自分にも求められること

 出題者は、試験問題を十分に理解することを受験者に求めていますので、当然、受験者が理解しやすいよう問題文を書き、意図することが受験者に誤解なく伝わるようにしなければならないと考えます。
 理解しやすいというのは、建築計画上の難易度とは別な話で、日本語表現としてのわかりやすさのことになります。

4.令和元年再試験における困惑する表現

 屋上庭園についての要求で、『2階の床レベル( 1階の屋上)に、100㎡以上(庇や屋根となる部分は除く。)設ける。』とあります。ここで、その解釈に困惑するのが、庇や屋根の扱い方になります。過去問における出題の仕方を研究していれば、屋上庭園の上部に屋根があったり、庭園への出入口の上部に庇を設けている場合、つまり頭上に空が見えない部分は、面積には算入しないという条件なのだろうと解釈できます。
 平成19年本試験における屋上庭園についての要求で、『1階又は2階の屋上に設けるものとし、まとまったスペースで100㎡以上(上部に屋根又は上階がある部分は算入しない。)とする。』とあります。
 令和元年に比べて、平成19年の日本語表現の方が誤解なく読めると思います。令和元年のものは、下を見た話なのか、上を見ての話なのか、ここでまず困惑する可能性があります。よくよく考えれば後者だとわかることなのかもしれませんが、一級建築士の試験において、ここでよくよく考えさせる必要があったのか?という疑問が生じます。平成19年の日本語表現と比べて、令和元年は「わかるだろ」という出題者のスタンスを感じてしまいます。

5.伝えるスタンス

 人にものを伝える場合、相手側に主体をおかないと、伝わりにくいものになると思っています。「わかるだろ」は、自分側に主体をおいたものであり、そう都合よく相手はわかってはくれないだろうと思います。同じことは受験者の答案にも言え、「わかるだろ」といったスタンスで書いていると感じるものは、イラッとするなど、あまりいい印象を持ちません。
 問題にも、答案にも言えることですが、書きたいことを書きたいように書くのではなく、伝えたいことが伝わるように書くスタンスが大事だと思っています。


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企業内一級建築士資格取得研修の23年間の実績。前提となる基礎知識を積み上げながら、⾃分がわかりたいところまで辿り着くことが理解。減点要素となり得る問題点のうち、回避すべきものと許容できるものを取捨選択していくことが判断。co-師(学びあう共育者)というスタンスで発信します。