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一級建築士学科試験で学べる晴れた日の空は、なぜ青く見えるのか?

 「晴れた日の空は、なぜ青いのか?」
 こんな疑問を好奇心旺盛な子どもの頃は抱くことも多かったと思います。好奇心によって抱く疑問があっても、それを解き明かすための前提知識が整わないと、理解に至るのは中々難しいものがあります。
 理解するとは、前提知識を積み上げながら、自分が理解したいことに辿り着くことであると思います。「晴れた日の空は、なぜ青いのか?」の答えに辿り着くための前提知識を、一級建築士学科試験に必要な知識に絡めて整理してみます。


1.光の色

 光は、その波長の違いによって、色の違いが出てきます。可視光の中で、波長が短いものが紫、長いものが赤になり、可視光より短波長側にあるのが紫外線、長波長側にあるのが赤外線ということになります。太陽の光をプリズムに通すと、紫から赤まで虹色に分散されますが、これは波長によって屈折率が異なることで起こる現象になります。光の波長は、紫・青・緑・黄・橙・赤の順で長くなっていきます。
 空に生じる虹は、大気中の水滴(水蒸気)がプリズムの働きをし、光が分散されて虹が描かれます。

2.加法混色

 光の色の三原色は、赤・青・緑で、三原色を同量混ぜると白になり、このように混色によって明度が上がる現象を加法混色と言います。
 光とは離れますが、絵具などの色の場合、その三原色はシアン・マゼンダ・イエローになり、これらの混色によって明度が下がり黒になります(減法混色)。

3.ものの色

 太陽の光は白色光になりますが、複数の波長の光が混ざっているから白色になります。
 真っ赤なポルシェが、なぜ赤く見えるか?赤の塗料で塗装されているからだと言われれば、それはその通りです。赤く見えるのは、赤の波長の光だけが目に届くから、目は赤だと認識できます。
 白色光が赤い物体に当たったとき、赤以外の波長の光は吸収されてしまい、赤い波長の光だけが反射して視覚で捉えることができるから赤い物体は赤く見えます。
 同様に黄色いバナナは、黄の波長の光を反射する物体だから黄色く見えることになります。(前回に続きバナナの登場となりますが、特段大好物というわけではありません。)

4.プルキンエ現象

 人の目は、可視光の波長によって光として感じる強さが異なります。明所視すなわち明るい所では、波長が555nmの色が人の目にとって感度(視感度)が最も高く、緑の波長が500~580nm程度になります。これより短波長側の視感度は低下していきますが、青の波長の光は、紫の波長の光よりも人の目に強く感じます。つまり、紫より青の波長の光の方が視感度が高いということになり、空がなぜ青いか?についての前提知識となります。

5.光の散乱

 光が粒子に当たると様々な方向に散乱します。長波長の光は散乱されにくく、短波長の光は散乱されやすいという性質があります。短波長の紫や青の光は大気中の粒子に当たって散乱を繰り返しながら、その一部が地上へ向かってやってきます。

6.空の色

 上の通り、地上へやってくる短波長の紫や青の光が人の目に入ったとき青の光を感じ、空は青く見えることになります。紫はどうした?となりますが、4.に書いた通り、青の波長の光の方が視感度が高いので、感度よく青を捉えることができ、その結果青く見えることになります。
 大気中の水蒸気や塵が多くなる曇りの日の空は白く見えますが、粒子の大きい水蒸気や塵が影響しています。大気中の大きい粒子よって波長の長い色の光も散乱されることになります。
 紫や青以外の波長の長い色の光も散乱を繰り返して人の目に届くことになりますので、混色によって白っぽくなっていきます。これが、曇りの日の空が白っぽく見える理由になります。 

7.好奇心あっての知識の獲得 

 以上「晴れた日の空は、なぜ青いのか?」を理解するための前提知識をまとめてみました。これらの知識を獲得できる頃には、空がなぜ青いのか?などといった好奇心は薄れてしまうのかもしれません。
 「知識の獲得量」と「好奇心の強度」が、反比例の関係にあるとしたら、空がなぜ青いのか?は、謎のままになりますね。


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