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一級建築士設計製図試験における「等」の解釈を困惑させる標準解答例

問題文をどう解釈すべきかの答えは、日本語表現に曖昧さが残る場合には、標準解答例に示される解釈の仕方から読み取るしかないこともあります。

令和元年再試験(12月実施)の問題文にある特記事項を、標準解答例②に照らして考察してみます。

1.作業机、椅子、流しを設けるの解釈

アトリエA・B、C・Dに関する特記事項に焦点を当ててみると、以下のようになります。

・創作活動の場として利用する。
・作業机、椅子、流しを設ける。
<図示又は記入>
・要求室の特記事項に記載している室、スペース、什器等

特記事項は、各アトリエには、作業机、椅子、流し、その他必要なものを設け、平面図に図示することを要求していると解釈できます。

その他必要なものは任意の判断になりますので、素直に解釈すれば、作業机、椅子、流しを設ければよいと読め、図示していないことで減点される可能性を考えれば、3つとも図示しておくことが安全側の解釈と言えます。

2.標準解答例②から読み取る解釈

アトリエA・Bには「流し」が図示されていますが、アトリエC・Dには図示されていません。これは凡ミスとも受けとれますが、PSを見ると、あえて「流し」を設けていないとの解釈ができなくもありません。

ここで、あえて設けていないと解釈したいところですが、断面図の寸法の数字に明らかな凡ミスがあることによって、流しについても凡ミスの可能性を払拭できず、アトリエの特記事項の真意が、より探り難い状況を標準解答例が生じさせています。

そうは言っても、そう凡ミスばかりではないだろうと善意の捉え方をし、あえて「流し」を設けていないということで、問題文の解釈の仕方を検討してみます。

各アトリエには、その利用方法に応じて「作業机、椅子、流しなどのうち、必要なものを設ける」と特記事項を解釈すれば、流しのないアトリエC・Dを計画し、A・Bと使い分けをしていくという考え方ができなくもありません。

さて、以上の通り標準解答例②で「流し」が図示されていないことによって、謎を残された形になっているのが、「等」の解釈の仕方になります。

「等」について、別な角度からも見てみるために、平成26年本試験にある以下の特記事項を、標準解答例①②と照らしてみます。

<地域特産品売場 >
・陳列棚及びレジカウンターを設ける。
<レストラン>
・テーブル、椅子を設ける。

上の通り、什器の要求について、「等」の有無による違いがあります。

標準解答例①②とも、レストランには、テーブル、椅子の他、レジカウンターが図示されていますので、「等」「その他必要なもの」との解釈になると思われます。

このことから考えても、やはり、令和元年の各アトリエについても「作業机、椅子、流し、その他必要なものを設ける」との解釈が妥当ではないかと思います。

以上を鑑みると、各アトリエには「流し」を設け、それを図示することを問題文は要求していることになりますので、標準解答例②で図示していないのは、凡ミスであったと言えるのではないでしょうか。

3.適正な試験実施に影響を及ぼす日本語解釈の困惑

6時間30分の切迫感のある中、受験者の答案に多少の凡ミスが生じるのはやむを得ないと思います。こういった合否に影響しない程度の減点にとどまる凡ミスも含めて、標準的な解答を示しているのが標準解答例であるとするなら、それはそれで一定の理解はできるところです。

しかしながら、「要求室の床面積」の記入を求めているのに、ここ1、2年の標準解答例では、エントランスホール他、記入していないものがあるようになり、記入すべきか否かの基準に曖昧さが出てきています。

標準解答例に図示又は記入されていないことをもって、図示しなくていいと結論づけるのは危険だと言えます。なぜなら、減点に繋がる凡ミスが標準解答例には含まれている可能性もあるからです。

標準解答例の公表に当たり、『計画の要点等については、公表することにより、解答パターンが定型化するなど、適正な試験実施に影響を及ぼすことが想定されることから、公表しておりません。』との記述が示されています。

こういったことから、標準解答例(図面)についても、意図的に真意をぼやかすこともわからなくはありませんが、アトリエの流しのように、問題文の解釈を左右してしまうところで、意図的か否かは別にして凡ミスをされてしまうと、試験対策をしていく受験者は困惑することになります。

問題文の日本語表現の解釈をしていく中で、意図しないところで困惑させることは、適正な試験実施に影響を及ぼすことになるように思いますが、いかがでしょうか?


以下の記事も参考にしてみて下さい。


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企業内一級建築士資格取得研修の23年間の実績。前提となる基礎知識を積み上げながら、⾃分がわかりたいところまで辿り着くことが理解。減点要素となり得る問題点のうち、回避すべきものと許容できるものを取捨選択していくことが判断。co-師(学びあう共育者)というスタンスで発信します。