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一級建築士設計製図試験とは、考えを整理し、それを伝える試験である

まず

平成27年以降の問題用紙の「Ⅱ.1.要求図面」に記されている以下の点に着目してみます。年によって多少の表現の違いはありますが、考えたことがあるなら、それがわかるように補足説明することを求めていることに、違いはありません。

なお、各図面には、計画上留意した事項について、簡潔な文章や矢印等により補足して明示する。(令和元年)

次に

合格基準等の採点のポイントに明示されている以下の点に着目します。これについても、平成26年までは『図面表現等』とされていたものが、以下の通り、相手に伝わる答案であるかどうかまで評価の対象としていることを、明示するようになっています。

図面、計画の要点等の表現・伝達

以上から

「設計製図試験とは、考えを整理し、それを伝える試験である。」と言っても、過言ではないと考えます。日常の中で感じることもあると思いますが、具体的な話は伝わりやすいですが、抽象的な話は伝わりにくいところがあります。考えがよく整理されていると具体的に語ることができますが、整理できていないまま話しはじめると抽象的な内容に留まり、説得力に欠けるものになりがちです。

考えが浅く詰めきれていなければ、伝えることそのものが不足している状態となりますので、どれだけきれいな図面、文字で書いても、相手に伝わることはありません。逆に、いくら深い考えがあっても、雑であったり稚拙な図面、文章では伝えたいことが誤解されて伝わってしまう危惧があります。

まず自分の考えをよく整理し、他者に伝えるつもりで表現していくトレーニングを積んでいくことが、設計製図試験の対策において大切だと言えます。

エスキース

フランス語の『esquisse』は、スケッチ、下絵という意味になります。エスキースなのか、エスキスなのかは、発音寄りか、スペル読み寄りかの表現の違いであるように思います。

見出し画像の通り、エスキースの情報は、自分自身に考えを伝えるためのものであると言えます。他の人には解読しにくいエスキースを描く人もいますが、それでも不備なく製図化できれば、それでいいと言えます。なぜなら、自分自身に考えを伝えられる情報であれば、エスキースとしての役割は果たせるからです。考えが整理され、作図する上で自分自身にとって正確な情報であるかどうかが大事なところとなります。

要求図書

要求図面、面積表、計画の要点等といった答案は、日本語、数字、JIS記号によって表現するものとなります。エスキースとの違いは、他者に考えを伝える情報となりますので、自分自身ではわかっていることでも、それが相手に伝わらなければ意味をなさないと言えます。

伝わりにくいかもしれないと思うところや、誤解される可能性があると思うところがあれば、こういったところにこそ、簡潔な文章や矢印等により補足して説明すればいいわけです。図面を見ればわかるようなところに、コピペしたような補足を過剰に書き込んでいる図面を見かけることがあります。ゴチャゴチャし過ぎて、逆に読み取りにくいものになっていないか?自分自身で一度客観的に見直してみる必要を感じます。

不備の要因

自分自身に伝えるための情報であるエスキースが、よく整理されていなかったり、正確さを欠いていたりすれば、このツケは作図や記述の工程を経て、必ず図面や計画の要点等の答案に不備として表れてくるはずです。

図面の不備が多いことを改善しようとしたとき、エスキース段階に原因があるなら、エスキースにメスを入れる必要があります。

自分で考えたことが、エスキースを通して自身に正確に伝わっていないのなら、エスキースの書き込みを工夫し、正しく漏れなく伝わるようにしなければなりません。

考えが整理できていないまま、作図に入ることを繰り返しているようなら、一つの課題に向き合ってじっくり検討してみることも必要です。対策に入った初期の段階から、タイムトライアルのようなことを繰り返せば、見切り発車が習慣づいてしまいます。

諺に『習慣は第二の天性なり』とあるように、「設計製図試験とは、考えを整理し、それを伝える試験である。」との意識をもって課題に取組みながら、不備の要因を確実に潰していくことを習慣づけることが大事であると思います。

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企業内一級建築士資格取得研修の23年間の実績。前提となる基礎知識を積み上げながら、⾃分がわかりたいところまで辿り着くことが理解。減点要素となり得る問題点のうち、回避すべきものと許容できるものを取捨選択していくことが判断。co-師(学びあう共育者)というスタンスで発信します。