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一級建築士学科試験で学ぶ「黄金比」について、知らないと諦めず、数学的に解いてみよう

黄金比は、線分AB上に点PをとってAP×AB=PB2となるときのAP:PBをいい、その比は約1:1.414であり、モデュロールに応用されている。
     
 以上、平成27年一級建築士学科試験問題 
  学科Ⅰ(計画)〔No.7〕
   選択肢2.の記述(不適当なもの)より

    ✳PB2:PB2乗(PB×PB)

<解き方・考え方①>
 黄金比を知っている場合

・黄金比は約1:1.618であり、記述は不適当
 (見出し画像参照)

<解き方・考え方②>
 白銀比を知っている場合
・約1:1.414は白銀比であり、記述は不適当
 (見出し画像参照)

<解き方・考え方③>
 フィボナッチ数列と黄金比の関係を知っている場合

1、1、2、3、5、8、13、21、…
 N1、N2、N3、…とした場合、
 N3=N1+N2のように、前の2つの数字を足したものが次の数字になり、これを繰り返しながら続いていくのが、フィボナッチ数列です。
 上の21の次に続く数字は、13+21=34になるということです。
 3/2=1.500
 5/3≒1.666
 8/5=1.600
 13/8≒1.625
 21/13≒1.615
 34/21≒1.619
 といったように、フィボナッチ数列の前後隣り合う2つの数字の比は、黄金比に近づいていきます。
 上のように一定のルールのもと、フィボナッチ数列を再現していくこと自体は難しくはないので、適当なところで前後隣り合う2つの数字の比を出せば、
約1:1.414が、黄金比ではないことがわかり、記述は不適当となります。

<解き方・考え方④>
 問題の記述の矛盾を数学的に証明してみる場合

・問題の記述より
 - 1 ---1.414--
  AP=1
  PB=1.414
  AB=AP+PB=1+1.414=2.414
 よって
  AP×AB=1×2.414=2.414
  PB2=PB×PB=1.414×1.414≒  2 
  ∴AP×AB≠PB2
 上により、問題の記述は成立していないと結論づけることができます。黄金比が何なのかを知らなくても数学的に解いてみると、不適当な記述だと判断できるということになります。
 ちなみに、上式の1.414を1.618(≒1/2+√5/2)に置き換えると問題の記述が成立することがわかります。 

 以上のように、問題の記述の正誤判別をするに当たり、いくつかの<解き方・考え方>ができる場合があります。 
 記述を読んで、即、「知らない」「わからない」と結論づけずに、解く手がかりを頭の中で検索することを習慣づけ、思考のトレーニングをしていくことも、試験対策として必要だと思っています。

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