一級建築士学科試験│仕様書改定により過去問が出題根拠を失うこともある
下記は、平成25年学科Ⅴ(施工)の問題の適当な記述の一つです。この記述は『公共建築工事標準仕様書(建築工事編)』の規定に基づき出題されたものだと思われます。同仕様書は3年ごとに改定されており、最新のものは『平成31年版』になります。
<平成25年学科Ⅴ>
鉄筋コンクリート造の建築物における内部工事の下地材として使用する木材について、代用樹種の使用が認められていたので、すぎの代わりにべいつがを使用した。
『平成28年版』までは、下地材に用いる「杉、松」の代用樹種として、「米つが、米もみ、えぞ松、とど松等」を使用することができると規定されていました。これに基づくと、上の記述は、適当なものとの判断になります。
『平成31年版』を見てみますと、「樹種は特記による。」とだけあり、「特記がなければ、所定の代用樹種を使用することができる。」という記述がなくなっています。代用樹種に関しては、『令和元年版建築工事監理指針(下巻)』においても、仕様書と同様の改定がされています。
つまり、平成25年の問題の記述の出題根拠としていた規定が改められたことで、試験問題としての引用元を失った形となります。(問題の記述が即不適当になるということではなく、出題するに当たっての根拠の話になります。)
過去問の記述を覚えることは大事な勉強方法の一つですが、覚えるべきことを選別する上においては、法規と同じく、仕様書等も改定されていくものだということを、頭におくことも必要だと思います。
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