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【建築学生・就活】突き詰めると建築の仕事は2種類しかないというお話

建築職として企業で働き、リクルーターを経験した立場から、大学ではあまり教えてくれない情報を建築学生向けにお伝えしています。
今回は、これから建築を生業にしていこうと考えてる皆さんに、これだけは知っておいてもらいたい建築業界の全体像をお話しします。


1.建築の仕事は2つ -それは「発注者」か「請負者」か

初めに結論を言ってしまうと、建築を生業にする際に押さえておいてもらいたい全体像は、

 ・「発注者」として建築に携わるか
 ・「請負者」として建築に携わるか

この2つしかないということです。

これを読んでピンと来た方はこれ以上読んでいただく必要はありませんが、
いまいちイメージできなかった方は、就職活動ひいては今後の生き方に関わる重要な観点だと考えていますのでぜひご一読ください。

2.なぜこれを理解することが重要なのか

一言でいえば、これを理解していないと「あなた自身が本来やりたいこと」と「就職した企業でできること」にミスマッチが起こり、せっかく企業の採用活動を突破した努力や苦労が水の泡になってしまうからです。

また、企業の立場からすると、これを理解していない学生のESや面接での受け答えは全く的を得ていないものが多く、一発アウトとなってしまう可能性がかなり高いです。

実際、私がお会いした学生でも、この辺りを理解していない方は意外に多く、特に大学3年生で就職活動をしている方にみられます。
でも実際、大学3年生というと就職活動時点ではまだ研究室が決まっておらず、建築のアカデミックな部分を学ぶので時間的に精いっぱいだと思うのでやむを得ないを思います…

だからこそ大学の授業ではなかなか教えてもらえない情報を皆さんに提供したい、ということでこのブログを始めたわけですが。

3-1.発注者としての建築の関わり方

それでは、発注者として建築に携わるとはどういうことか。
当たり前ですが、建築が世の中にできるには、それを依頼する人と依頼される人がいます。

この依頼をする人が発注者です。
発注者としては個人・法人がありますが、具体的にどんな企業や職業があるかというと以下の通りです。

 ・不動産会社(ディベロッパー)
 ・インフラ企業(鉄道,高速道路,空港、電力など)
 ・公務員(国交省,地方公共団体,独立行政法人など)
 ・その他、土地や建物を所有している一般企業

「発注者」はその建築の事業主として、後に述べる請負者の様々なリソースを用いて、建築の完成に導くという役割を果たします。

また、その事業の意思決定権は発注者にあるため、「自分が実現したいものを実現できる」立場にあります。

したがって、発注者に求められる要件は、建築の専門性ではなくプロジェクトをまとめていく力や、ファイナンスの知識だったりします。

その証拠に、上記の会社のなかでも特にディベロッパーは、就職活動をしている学生の多くが文系で、実際に働いている人も文系のほうが圧倒的に多いです。

3-2.請負者としての建築の関わり方

つぎに請負者として建築に携わるとはどういうことか。
それは発注者以外ということになります。先ほどと同じくどのような会社があるか挙げてみます。

 ・設計会社(組織設計事務所,アトリエ系事務所)
 ・建設会社(ゼネコン,工務店)
 ・建設コンサルタント会社
 ・コンストラクションマネジメント会社
 ・維持管理会社(FM)

このように多岐にわたりますが、発注者から依頼される条件に対してそれぞれが持っている専門性を活かしてソリューションを提供するということには変わりません。

したがって、専門性を売りにしているわけですので、設計や施工などそれぞれに特化した知識や経験が重要になります。

先ほど発注者で述べたような「最終的な意思決定権」は無いかもしれませんが、自らの専門性を活かして発注者にそれを示し、プロジェクトを進めていくことで建築に携わっていくことには大きなやりがいがあると考えています。

実際に私が仕事でご一緒させていただく設計会社の方に「なぜ設計者の立場を選んだのか?」を聞くと、「自分の生み出した案でクライアントを納得させ、実現していくプロセスが快感だから」と答えてくれました。

4.まとめ

「発注者」と「請負者」のちがいをまとめると以下のようになります。

なぜこのちがいをまず理解することが大事なのか。
それはできることや求められていることが全く異なるからです。

私は発注者として建築に携わっていますが、リクルーターとして接した学生から「設計がやりたいです」とか「現場管理がやりたいです」と言われると、「多分この学生がウチに来てもらってもミスマッチになってしまうだろうな」と思って、違う企業を薦めていました。

ただ勘違いしてほしくないのは、発注者と請負者どちらが上か下か、偉いか偉くないかではないということです。
どちらが欠けても建築はできませんし、どちらも大切です。

重要なことは、ご自身がどのような立ち位置、スタンスで建築に携わりたいかを考えることです。

それが建築学生にとっての自己分析になるでしょうし、それを突き詰めていくことでいわゆる「軸」が形成されます。

まずは今回お伝えした大きな枠を押さえたうえで、就職活動を進めていきましょう!

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