精神科⭐︎強制入院日記⑬閉鎖病棟はつらいよ編

明日で措置が解除されて、任意入院に変わる。
ので、明日から私は晴れて外泊扱いで帰宅することができる。

つまりPARTY TIMEである。

もうはしゃいでしまって落ち着かぬ。
なんなら昨日の夜からハイテンションが変な方向へいって人生トラウマ上映会をひとり脳内で行っていたところだ。そんなことするな。

というわけで、いまだかつてなくソワソワしている私である。

今日は措置入院最後の日ということで、病院に来てからつらかったこと番付を発表したいと思う。

私はせっかちなのでさっそくトップスリーを発表しよう。

銅メダルおめでとう、我らが第3位は……
「スマホが持ち込めない閉鎖病棟」!

これはしんどかった。私も現代っ子らしくちょっぴりスマホ依存気味のシャイな女の子♡なのでスマホを持ち込めない暮らしはつらかった。
自由に使えなかったのはほんの数日だったが、それでもあの時はまだ彼氏もいたので(笑うところです)連絡が取れないのはつらぽよ〜という感じでした。ま、別れた今となっては関係ないね!
あはあはははは!!

………………あはは。

さてさて、気を取り直していこう!
つづいて銀メダルの第二位は……
「本を持ち込めない閉鎖病棟」!

なぜか一日だけ本の持ち込みOKだったのでスマホはダメでも本はOKなのかな、と思いきやその一日のほうが伝達ミスか何かのイレギュラーだったらしく、そのあと一切本の持ち込みは禁じられた。ご存知の通り私は読書ラヴな人間である。
ましてや、スマホが持ち込めないとなれば。
私のなかの現代的文化人の人格は本に依存することとなる。しかしその本すら持ち込めない。
ハッキリ言って「絶望」であった。
やや体調が優れない日も閉鎖病棟に戻らずホールで本にかじりついていたのは部屋に戻ると「無」の時間が発生するからだ。
一回だけ、本を服の中に隠して閉鎖病棟に持ち込んでいたのはナイショの話。

さてさて、記念すべき第1位は……

「手を洗えない閉鎖病棟」!

閉鎖病棟ってそもそもどんな感じのお部屋なの、とお思いの方。
大体5歩×5歩の部屋の床にマットレスが置かれ、部屋の隅にトイレが備え付けられているところを想像してほしい。

え?独房が脳裏に浮かんでるって?
そう、それで正解である。
閉鎖病棟とは独房のことである。

そこの独房、なんと手洗い場がなかった。
しかしトイレはある。

これがどういうことかというと「用を足したあと手が洗えない」のである。
もう一度言おう。
「用を足したあと手が洗えない」のである。

大であろうと小であろうと関係なし。
超不潔である。

ちなみに食事の時にはおしぼりが一緒に配布された。
が、それだけである。ただ湿っただけのおしぼりである。
あまりにも心許なさすぎるだろう。

ここに運び込まれる前にいた病院では手洗い場があったので、ここで初めてトイレを使ったとき
私は最初よく理解ができなかった。
そしてしばらくしてから自分の受けている扱いを理解し、そのあまりのひどさに咽び泣いた。
うえーんしくしく。

数日後、食事を配膳するための小さな窓にウエットティッシュを置くことができたときの嬉しさといったらなかった。
私はそのウェットティッシュをこのうえなく大切に大切に使い、入院生活がつらいときは匂いを嗅いで「私は自由な意思のある人間だ」と自分に言い聞かせていた。

私にとってアルコールとは自由の匂いであった。

本をこっそり持ち込んだときも、1ページも読まなかったが布団の中に隠してそっとその感触を確かめ、自分に言い聞かせていた。「私は自由な人間なのだ」と。

私にとって本とは自由の象徴であった。

……閉鎖病棟の中で私を支えてくれたものはウェットティッシュと文庫本であった。
まさに健康と文化的な生活をそれぞれ象徴するもの。
そう、私は閉鎖病棟で精神を治すどころか
「人権」について学びを得ていたのである。

…………そんな学びはいらなかったが。

ともかくそんな暮らしも乗り越えた私は明日で一度ここへオサラバだ。再び戻ってくるとはいえ措置が解除になることによる心境的な変化も大きい。
もう2度と前みたいな暮らしをすることはないだろう。そう思って強制入院生活を振り返ってみたのだが、ただ単に「閉鎖病棟はつらい」という話に終始してしまったような気がする。
まあ、つらいんだから仕方ない。
振り返ればいい思い出とか全然ない。
マジであそこには絶対戻りたくない。
その思いだけが私を大人しい模範患者にさせている。

とにかく、閉鎖病棟はつらかった。

というかそもそも入院がつらかった。

しかしもうそろそろそんな生活も終わりである!
約一ヶ月に渡った強制入院生活も今日で最後。
気を抜かず、危ない真似はしないように心がけたいと思う。

全ては帰宅のために…………

また明日!

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