読書感想文(129)武田尚子『チョコレートの世界史:近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石』

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今日はバレンタインデーということで、チョコーレートの本です。
この本を読むのは二回目で、初めて読んだ時も二月でした。
この本を読むと、チョコレートを食べるのがより楽しくなるのでオススメです。チョコレートの奥深さを垣間見ることができます。

先日この本を読書会で紹介し、その後みんなでチョコーレートの食べ比べをしたのですが、とても楽しかったです。
一緒に食べた二人はこれまであまりチョコレートの奥深さにあまり関心が無かったようなので、少しでも魅力が伝えられてよかったです。

と、前置きが長くなりそうなのでこの辺りで本の感想へ。

感想

面白かったです。
以前読んだ時に一番印象に残っていたのはカカオが主に3種類あること、カカオの学名がテオブロマ(神の食べ物)・カカオだということでした。
逆に社会との繋がりなどは比較的関心が薄かったのですが、今回はそちらも面白く読むことができました。やはり予備知識があったことによって余裕ができたからでしょうか。
ちなみにカカオの種類については、今年のチョコレート博覧会でアリバ種(ナシオナル種)とチュンチョ種というものを見つけ、なんだこれは?と思いました。
アリバ種はフォラステロ種系統で、フォラステロ系統の中では最高級だそうです。チュンチョ種は調べても詳細がわからなかったのですが、ペルー南部の渓谷で作られているカカオのようです。
ちなみにちなみに、先日の読書会でカカオの種類の説明をしたところ、フォラステロ種はザコ、みたいなイメージを伝えてしまいました。しかしこの本を読み返すと、チョコレートの苦味成分かつ健康成分であるポリフェノールはフォラステロ種が最も多く含まれているので、味を重視するか健康を重視するかという棲み分けができて、それぞれ良い所があるのだと思い直しました。

さて、今回は二回目なのでじっくりと読んでみたのですが、この本の知識をまとめてプレゼンしたい!と思いました。でも誰に?という気もします。
とりあえず気になった所を年表にしてまとめてみようかなと思います。間違っていたらすみません。

1828年
・ココアの近代化
→ヴァンホーテンがココアバターの抽出の特許を得る。ココアが飲みやすいものになる。

1847年
・チョコレートの誕生
→イギリスのフライ家がココアバターをカカオマスに加えて、固形のチョコレートを発明。ココアバターが増えた分、より多くの砂糖を溶かすことができるようになり、甘くて風味の良い固形物となった。これ以前は一般的にココアの為にカカオマスから油脂成分をより多く抜く方法に関心を寄せられていたが、発想を逆転させたジョーゼフ・フライは天才だと思う。

1876年
・ミルクチョコレートの誕生
→スイスのアンリ・ネスレによる。フォラステロ種の力強い味とコクがミルクで程良くなり、風味の良いミルクチョコレートができあがった。しかし、まだチョコレート→ザラザラするものであり、チョコレートの売れ行きはいまいち。ココアの方が好まれた。

1878年
・日本発の国産チョコレート誕生
→米津風月堂による。ただし、カカオ豆から製造したわけではなく、原料チョコレートを輸入し、加工して売ったと推測される。

1879年
・現在とほぼ同じチョコレートの誕生
→スイスのルドルフ・リンツがコンチェ(材料を撹拌し、すり混ぜる過程)を改良し、ザラザラ感を解消。リンツはテンパリングの研究も行う。

1918年
・日本初のカカオからチョコレートの一貫製造
→森永製菓による。原料用ダークチョコレートとミルクチョコレートを製造。
ミルクチョコレートは1920年時点で1枚10銭。女工の賃金が1日20銭だったので、高価な贅沢品だったことがわかる。

1926年
・明治製菓がカカオからチョコレートの一貫製造を開始

この他にもベルギーチョコレートやキットカットなどの話も面白かったのですが、あまりにも長くなってしまうのでこのくらいにしておきます。

社会問題については、イギリスでココアビジネスを牽引したクエーカー教徒たちがその教義に則り、ワーキングクラスのアルコール依存改善などの社会問題解決を行ったのが印象的でした。手っ取り早くカロリーを摂取できるアルコールに代わる飲み物として、長い間薬品としても扱われていたココアを普及させたようです。
また、工場労働者が週休二日制や週44時間以内の労働の権利を獲得した話も印象的でした。こちらはチョコレート業界に限った話なのかわかりませんが、クエーカー教徒の心とマッチしているように思いました。

身近なチョコに対する視点が変わりそうだなと思ったのは、プラリーヌの地域特性の話です。
ベルギーのプラリーヌはモールド(型)を使って、しっかり固まった厚みのあるチョコレートの外枠を作ります。その為、中に柔らかなフィリングを沢山入れることができます
一方で、フランスのプラリーヌは中身のフィリングを完成させてからチョコレートを上がけします。その為、薄く繊細なチョコレート・コーティングのプラリーヌができあがります。
本に書かれていたのは大量消費用のチョコレートに対するクラフツマン的工房のチョコレートとしての話です。現在はグローバルマーケットになっているはずなので、今もこの通りかどうかはわかりません。今度見る時には注目してみようと思いました。

おわりに

他にも色々とメモを取ったのですが、上手くまとめられそうにないのでこの辺りで終わっておきます。
他には特にキットカット周辺の話が面白かったので、興味のある方は是非読んでみてください。

ということで、最後まで読んでくださってありがとうございました。


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